5. [ハンプティー編] ハンプティー・ダンプティーは割ってはいけません。メンドイです。
歌って踊って楽しく生活するのが人間の営みなんじゃないか?と真剣に思い始めています。
哲学的境地ってやつですね。
「ハンプティー、ダンプティー、オンナ、ハイウォール~」
ピアノを前にすると、どうしてもハンプティーダンプティーを弾いてしまいます。
それにしても。
壁から落ちて割れちゃうなんて…プププッ。
とんだ、お間抜けさんですね。
王様の馬も、家来もただの人なのに。
集めて、なんの意味があるんですかね?
不思議です。
でも、「気になります!」なんて絶対言いませんよ!
言いませんからね!
ふと目につくのは、「私の物語」。
そう言えば、あの本にも楽譜がのってた気がするんですよ。
どこだったかな~
□□□
Humpty Dumpty sat on wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men
Couldn't put Humpty together again.
~
□□□
ピアノを弾いている私。
アップライトのピアノの天板には卵みたいなハンプティーダンプティーが座っていました。
「いい歌ではないね、タイニーレディー」
「あら?どうしてかしら?」
「まるで自分が今にでも割れそうじゃないか?」
「まぁ、そうしたら、掃除が大変ですね?お願いだから転がったりしないでくださいな?」
「言われなくてもそのつもりだよ。タイニーレディー。」
襟巻きをしたハンプティー。
彼は、イチャモンをつけながら、私の奏でるメロディーにいつしか、ノリノリになっていました。
「お嫌いなんじゃなかったかしら?」
「嫌いとはいってない。ただ、己が身の破滅を予見する、ちょっとばかし不吉な歌だなと思っただけだよ。」
そう、言う彼はどんどん揺れて…。
ズルッ……ガチャン
ピアノの上で盛大に割れましたとさ。
言わんこっちゃないとはこのことですね。
そこにすかさず現れるおもちゃの兵隊達。
「ハンプティーダンプティーが割れたぞ!」
「どうにかできないものか?」
そう、相談を始めるおもちゃの兵士達。
私は見ていられませんでした。
「皆さん、自分の能力を存分にお使いになったらよろしいんじゃないかしら?」
そのように彼らに伝えたところ、
「タイニーレディー。有難うございます。あなた様からのご忠言。謹んでご参考にさせていただきたく。」
そのように、隊長格のおもちゃの兵隊が私に言って。
自身の部下達に伝えていました。
「レディーから、ご忠言を頂いた。我々は自分達の能力を存分に使おうと思う。」
オー!タイニーレディー、万歳!!
そんな感じで、口を開くおもちゃの兵士達。
おお、口まで開くの?皆?凄いね。
そんな風に何も考えずに見ていた私。
彼らは、ハンプティーダンプティーに群がり、
ハンプティーダンプティーを己が口で割ってしまいました。
「あっ…」
気がついた時には粉々のハンプティー。
もう戻りません。
「おかしい、私たちには確かに能力が備わっていたのに…?」
真剣にお悩みな隊長さん。
いや、あなた。
あなた達、クルミ割り人形だったのね?
そりゃ割ることしか能がないでしょ?
そんな風に思ってしまう私。おかしくないよね?
悲観にくれる彼らはいつしか向き直り。
「ハンプティーダンプティーは、割られてしまった。我らは奮戦するも間に合わなかった。というのはどうでしょう?」
そう誰かが言い。
「そりゃー、いいね」
「ナイスだ」
「お国に帰れる!」
なんて言っている輩まで出てくる始末。
つまり私を討伐するつもりのようです。
一斉に刃を向ける兵士達。
負けませんよ?
転がるのは人形の残骸に次ぐ残骸。
薪にするには程よく乾燥していて良さそうですが…。
家には暖炉がないのです。
残念ですが…ということで。
マッチで火を灯してさようなら、となりました。
綺麗な炎が立ち上っていました。
「燃えろよ、燃えろよ~」
歌ってしまうのは仕方がないと思います。
ピアノを弾くのも大変です。
□□□
ピアノの前でうたた寝をしていました。
いけないいけない。
感情が昂ると眠くなってしまうんですよ…。
「私の物語」
どんな曲が入っていたんだっけ?
まぁ、いっか。
とりあえず。お茶飲もうかな。
いいね!と思ったら評価・ブックマークしていただければと思います。
そうすると筆者のMotivationが更にUpします。