4. [勇者編] 勇者に処刑前ってあるんですね。
私は恥ずかしい人生を送ってきたのです。
私にはおおよそ、人々の言う、勤労意欲とか、職業感とか、理解できないのです。
ゆるゆる~とゆとりを以て育ったからかもしれません。
私には、わかりませんが。
ポチポチとボタンを押しています。
こぎみいいコントローラーの音。
Dual shock。いい仕事、してますね。
お茶と合わせるととてもいいです。
スムーズな方向指示スティックが絶妙です。
ゲームをやっていると、「いつかは勇者に!」なんて思ってしまいます。
できれば努力せずに勇者になって、年金…したいですね。
最高じゃないですか?
残念なことは勇者になる伝手がないこと。
勇者の募集とかないかな?
そんなことを思いながら、私は本を開くのでした。
□□□
小学校の時の先生には今更ながらお伝えしたいことがあります。
「夢を持ちなさい」
とか、
「夢は何ですか?」
とか。
"夢"にしてしまっては、実現できなくなってしまいますよ。
そう、今更ながら思ってしまうのです。
この事を是非ともお伝えしたいのです。
小学校五年生の時の先生は、
「灰色の魔法使いになりたいです」
と言ったら、認めてくれました。
小学校六年生の時の先生は、
「勇者になりたいです」
と言ったら、それは夢とは言えないね。
そう言ってくれました。
なんで、今。
こんなことを考えているかと言うと…。
私が勇者様になっているらしいからです。
小学校六年生の時の先生。
有難うございます。
私の夢を否定してくださって…。
でもね。
もうちょっと、まともな勇者になりたかったなと思うんですよ。
今はダメだと思います。
□□□
「勇者をコロセー!」
「反逆者だー」
「私たちを騙していたんだわ!」
「あぁ!神の思し召しがあらんことを!」
目の前には群衆。
人の群れ。
通称、ゴミです。
雑魚です。
三角コーナーにポイってしちゃう奴らです。
そして私なんですが……後ろ手に縛られておりまして。
どうしたものかな?と思っています。
今朝、王のいる玉座の間まで赴いたら、いきなり捕縛されましたからね。
罪状は国家転覆罪。
有り余る魔力とパワーで、王国に仇成したというのです。
言いがかりもいいところですね?
そもそも、私、行きなりつれられてきて、右も左もわからないのに…。
そろそろ、お布団に入りたいなと思っているんですが…
ゴンッ!
頭にガラス瓶が投げられました。
ちょっとオコですよ。
私を怒らしちゃいましたよ?
いいんですね?
翌日には辺り一面は消し炭となっていました。
私が王国を焦土にしたらしいです。
記憶がありません。
そして。
私の家だけ残っています。
この地域は、魔王の領土と認識され、"荒野の魔王のお家"には近付いてはいけない。
そう、言い伝えられるようになったそうです。
鳩が教えてくれました。
話せる鳩も居るもんなんですね?
今日も太陽が眩しいです。
自己主張の激しいお方だな、と思います。
□□□
目が覚めた。
最近よく眠っているなと思う。
きっと、お布団には重力があるんだね?
一つだけ言えることは、私は悪くないってこと。
うん。自明の理だね。
読みかけの本が無造作におかれていた。
「私の物語」
何だったっけな?
内容、思い出せないや。
とりあえず、いい話だ~ということだけは頭に入ってるけどね。
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