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骨の王  作者: 三井崎瑞希
第一章 七つの大罪編、的な
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序盤ノルマ「設定解説回」

 皆が眠っている間、エスカリさんとお話する事にした。

『ねえエスカリさん。前に言ってた、魔法と魔術って何が違うの? あの蛇の中で格好付けて詠唱したら火出なかったんだけれど』

『あー、そういえば教えてなかったな。よっしゃ、長くなるが構わんな?』

『おーけー、かもん』

『魔術も魔法も、広義では魔導と呼ばれる学問だ。魔術を第一魔導、魔法を第二魔法と呼ぶが、出来る事は大して変わらん。どちらも魔力を燃料に、世界へ干渉する術理だ。

 魔術は基本的に、才能を必要としない。その代わり、大規模な術を使うなら、それ相応の手間が掛かる。お前が魔術を使えなかったのは、最初の時は俺が手間を全部引き受けていたからだな。今なら俺がいるから使えるぜ。

 魔法は、才能によって出来る事が変わる。イメージの強さで何でも出来て、イメージさえはっきりしてりゃ強いも弱いも手間は変わらず、変わるのは魔力の消費量だけだ』

『うーん?』

『数学と妄想、ぐらいの違いだ。例えば基本的な発火(・・)だが、魔法なら火をイメージする。小さいので良いから点けてみろ』

『はあい』

 左手を開いて、元手の平の上で炎が燃える様をイメージする。もう手慣れたもので、色や形も自由自在だ。

『よし。それと同じ事を魔術でやるぞ。言う通りに書け』

『紙とペンを』

『ねえよ。枝とか使え』

 ここ岩の横穴なんですよね。仕方が無いので、強い右手の人差し指で、地面の岩を削って書く事にした。言われるがままに二重丸を書き、間に幾つかの記号を刻む。

 完成したのは、ちゃちな魔法陣のような何かだった。魔法陣と呼ぶには簡素過ぎる。

『じゃ、それは置いといて、その下辺りに俺が言う通りの文言を刻め』

 炎に関係しているという文字だか記号だかの羅列を、魔法陣とは少し離れた所に刻み込む。

『よし。円の方に手を当ててみろ』

『うーっす』

 未だ言われるがまま、指先で円の中心に触れる。と、魔力が僅かに抜けていく感覚と共に、円を刻んだ上の空間に人魂……もとい、火の玉が出現した。

 触れている間は魔力が吸われ続け、火の玉が出続けるらしい。

『文字の方も触れてみろ』

 予想通り、似たような結果だった。ちょっと魔力の消費が多いかな、ぐらいだ。どっちも効率クソ悪ぃじゃねえか。

『まあ、こういう事だ。円の方は魔術陣或いは単に陣、文字の方は魔術式或いは単に式と呼ぶ。これが無けりゃ、魔術は発動しねえのよ』

『なら、魔法が完全に上位互換っぽいね。使い手を選ぶとはいえ、性能的にはさ』

『そうとも限らん。誰でも使えるってのは割と優位だし、魔術は同じ陣や式を使えば、術師の魔力量によらず常に同じ量の魔力が消費され、同じ結果が出る。勉強すりゃ確実に出来る事が広がる訳だな。考えなくても安定すんだよ。戦闘にゃ向いてる』

 だから数学、か。

『そういう事だ。逆に、魔法は同じ文言でも、篭める魔力によって性能が変わる。イメージが変化するからな。緻密にイメージできるなら、同じ威力をより少ない魔力で出せるし、逆に、イメージが適当でもどでかい魔力を篭めりゃごり押しが通る。良くも悪くも才能の世界だ』

『魔法にも文言……詠唱? があるんだ』

『ま、特に必要なものじゃないがな。魔法の開祖がイメージを固めるのに使っていた文言が弟子に伝わって、それが伝統的に受け継がれてるだけだ。当然、術派とか術者によって微妙に違ったりするが、こういう言葉を使えばこういう効果が出る、と覚えるだけでも、イメージの確立に繋がるからな。どこの術派でもよく使われてる手だ』

『……難しいねえ』

 つまり、例えば「灼熱よ、収束し穿て」という言葉で「ファイアーボール」が発動する、と認識していれば、その言葉によって火の玉が発生すると無意識下で理解して、無意識のイメージから魔法が発動する、と。熟練すれば、言葉を変えたり、縮めたり、無くしたり、と。

『この辺は魔導の基礎知識だぜ? ここからそれぞれについて百は下らない術派が深く研究されてるし、第三、第四から第七ぐらいまで、魔術とも魔法とも本質的に異なる魔導が結構ある。そっちの知識はねえがな』

 勉強嫌いです!

『お前は今のまま魔法を使えば良いさ。所謂究極魔法でも、今のお前の魔力量ならごり押しでいけるだろ』

 さいで。深く考えなくて良いならそれで良いか。ありがとさん、流石聖剣。

『ああ、そういえば。この世界じゃ魔術は存在してないらしい。どっかの一術派の魔法が広まって、言葉としての魔術は魔法と統合されている感じだから、お前が使う魔法とは違う。気を付けろよ』

『白ちゃんとかに教えてあげても?』

『ま、その辺は王のご自由に』

 教えるとしたら……白ちゃんぐらいか。緑鬼さんとかラメニさんとかは、多分武人系だし必要無いだろう。もう少し信用出来るようになってからね。


 明るくなる前に、魔力について少しばかり考えておこう。さっき強く放出されて、身体の中、というか骨の中に巡る魔力と、その発散について理解出来ていた。

 となれば、後は止めるだけだ。必要最低限、森全体が現状維持される程度の魔力発散に抑え、抑えた分は私や周りの仲間達に多く渡るようにしたい。

 オーラ的な何かを見えるように、視界を拡張する。魔眼もとい邪視なんてものは人間の創作物の歴史に幾らでも出て来るし、イメージは楽だ。

 まあ、目玉が無いんだけど。その辺は応用ですよ。目玉を作り替えるとかもイメージ出来そうだし、他人にも使えそうですね。

 魔力が見えるようになり、魔力が広がる範囲も感覚的に理解出来るようになった。ので、森の外には出ていかないように範囲を絞る感じだ。

 ま、そんな感じで抑えた。明るくなったら緑鬼さん辺りに見て貰おう。

 最早、この明るい夜にも慣れてしまった。魔力を操作する練習のお陰で暇を持て余す事は無いし、やるべき事、考えるべき事も沢山ある。

 ああ、まったく。楽しい人生だ。

 ところで、広島県の広島焼きは広島焼きじゃなくて、大阪府の大阪焼きは大阪焼きじゃないのに、うどん県のうどんはうどんなのずるいと思います。全く関係無い話なんですけれど。


 あ、僕はそば食べられないのでうどんばっか食ってますが、うどん県の住人ではありません。うどん県の住人召喚したいです。長身ハンサムか、ロリっ子が良いです。

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