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骨の王  作者: 三井崎瑞希
第一章 七つの大罪編、的な
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餓死

 最後に感じたのは、渇きだ。



 最早身体も動かない。段ボールの上で必死に手を伸ばしても、そこには何も無い。あるのは痛みと飢えだ。

 寒い。冬の冷たさが神経を直接突き刺す。何も守るものが無いこの状況で、気温は骨身に染みる。凍てつくような刃は私を容赦無く突き刺し、神経を引っ掻いて、細長く引き裂く。

 骨と皮――どころか、皮も擦り切れて骨も細い右腕。ミイラと言われた方がしっくりくるようなそれが、動かない身体の、濁った視界に映っている。舞ってきた雪が一片(ひとひら)乗っかると、溶ける事無く、過敏を通り越して麻痺しかけた神経には針のような痛みを伝えてくる。

 震えたりはしない。震えるだけのエネルギーが無い。生命維持の為に消費された筋肉はとうに尽き果てて、痛みに反射する神経さえまともに機能していない。冷たさも感じていないんだから、感じる痛みは多分、幻覚だ。

 飢え。渇き。お腹が空いた。喉が渇いた。ああ、ああ。私はただそれだけを考えて、一体どれ位経っただろうか。最後に食べたのは何だったか、最後に水を飲んだのはいつだったか。最後にあの暖かい豚汁を食べたのは、最後に彼等が偽善しに来たのは、いつだったか。

 私は、自分の中で命が失われているのを確かに感じていた。

 元々、吹けば消えるような細い灯火だった。助けてくれる人はいないし、死の気配はどんどん濃厚になってゆく。二年前に左腕を失ってからずっと感じていたそれが、今は大鎌を抱えて間近に立っている。

 私は遠からず死ぬだろう。

 ああ、まったく。

 くそったれな人生だった。


「ああ、可哀想、可哀想。事故で左腕と両親、親戚全てを失って、食べるものも飲むものさえ無く、動く事すら出来ない。心優しいホームレスにさえ見捨てられ、生きているから警察も来ない。ああ、ああ、可哀想。彼女を救えなくて、どうして神を名乗れるだろう。道端に倒れる矮小な凡愚の一人さえ救えなくて、どうして人類全てを救えるだろう。どうして世界を救うなんて言えるだろう。ああ、もどかしい。何も出来ぬこの身が恨めしい。ああ、ああ、どうか奇跡を。どうか無垢な少女に救いを与え賜え。どうか、どうか」


 うるさい。もう一万回は聞いた。

 死んじまえ、クソ野郎。

 ところで、僕は異世界転生とか悪役令嬢ものとか、人外転生とかチート俺tueeeeとか大好きなんですよ。飽和してようがなんだろうが、大まかにジャンル分けされる中から、書く人間の違いから来るちょっとした違いとかを楽しむものだと思ってるんですけれど、皆さんは如何でしょうか。


 あ、異世界転生女主人公人外俺tueeeeです。よろしくお願いします。

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