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7.失恋令嬢はおおいに絡まれる

本日もありがとうございます!!

引き続きよろしくです!





 おじさんとクレーナのいた場所から大分離れたけど、ここは何処だろうか?早速道に迷っていた。迷っていたと言っても、大通りは脇道はあれども、基本的に広い道は一直線に続いている。大分真っ直ぐに進んだときに、十字路があり、横にも広い大通りが広がっている。何を血迷ったのか、ついつい横に進んでしまった。








「迷ったわ……」


 独り言のように口から出た言葉は、周りの雑音にて、掻き消される。かぶりを振って、気持ちを立て直そうとする。


「良い機会だし、少し休もうかな……」


 近くに丁度あった段差に腰かけて、ゆっくりと溜め息を吐く。ふと、あの日以来の自分の振る舞いについて振り返ってみる。すると、以前よりも大分立ち回りが変化したことを改めて実感する。


 そう言えば、どうしてこんな性格になったんだろう。確かにショックを受けたけど、人格改変するほどって……私、相当メンタルが豆腐なのかしら……お豆腐食べたいな。


「……はぁ」


 頭で色々と考える度に、幾度となく自分の心の弱さを呪う。少なくとも、少しふざけた考えを挟んでしまう辺りは以前の生真面目で内気なアリスでは無くなっているのだろう。カラカラと渇いてしまった喉元を軽く擦る。


「さて、そろそろ移動しようかしら」


 独り言を口にし、ゆっくりと立上がり、軽く服についた砂ぼこりをパンパンと払う。





「なぁ、そこのお嬢ちゃん、俺達と良いことしないかい?」


 立ち上がると、目の前から急に声が聞こえ、見ると三人の見るからに柄の悪そうな男が、周りを取り囲んでいた。当然、大通りのど真ん中で、相当目立っていた。大将格らしき茶髪で図体の良いかなりイケメンの男を筆頭にして、その右に小太りの中年ヘビースモーカー、左側には身長の高い、かなりすり傷だらけの男が並んで立っていた。

 

 変なのに絡まれちゃったな。そう言えば、この男たちを見ても、全然恐怖とかの感情が湧いてこない。ただ面倒だなと思うだけだ。確かクレーナは私の負の感情を私に渡した石で感知出来るから、もしかしたら助けに来てくれないかも……大通りだし。あと、真ん中の男はこんなに良い顔をしているのにこんなしょうもないことをしていて勿体無さすぎて驚く。こんなことしなくても不自由しなさそうなのに……。


「あの、どなたかご存じ無いのですが」


「はぁ?んなことはどうだっていいんだよ!!」


「そうそう、黙って着いてくれば痛い目見なくて済むんだぜ?うひゃひゃひゃっ!!」


「……大人しく従え……」


 三者三様に辛辣に、愉快に、素朴に脅しをかけてきていた。


 なんと言うか、ありふれたチンピラかしら?そこら辺でよくいそうなテンプレのならず者って感じの人達だ。前世では、市内で一番大きい駅前で不良に絡まれたけど、そのまま返り討ちにして交番まで連れてかれたっけか?あれ、誤解解くのに結構苦労したわぁ……、とはいえ、ここは異世界で、以前の私とは違う。


 ふと自分の体を確認する。すらりとした色白い綺麗な細い指に、黒を基調としたドレス、足の方もかなり細くて、身長は160位のモデル体型って感じだった。明らかに喧嘩などに無縁のこの体では、到底屈強な男三人を相手にするには些か不利な展開である。


 流石にこれじゃあ……ねぇ。


「あの、もう少し落ち着いて下さい。ここは沢山人も観ていますし、やめておいた方が良いかと思いますよ……お互いの為に」


「はぁ?お前この状況が分かって無ぇのか?少し離れた所から観ている腰抜けの野次馬野郎どもは誰もおめぇを助けに来ねぇんだよ!!」


 悪態をつきながらそのギラギラした鋭い目付きで、アリスの事を睨みつけていた。周りからの、ヒソヒソとした聞き取れないような話し声を聴き、確かに期待は出来ないと覚悟を決め込む。


「そのようね、なら少しだけ相手をしてあげましょうか」


「大人しくすれば、痛い目見ない……」


「そうだぞぉ?大人しくちょっとだけ気持ちいいことするだけで終わるからよ、抵抗しねぇでくれや、な?」


「でも私、魔法が使えましてよ」







 私の言葉を聞いた瞬間に、場の空気が変化するのが見てとれた。三人チラチラと視界を交錯させる。当然部外者の方にもその兆候が見られ、さっきよりも話し声が減っていた。


「あら、魔法を恐れていらして?」


「んな訳……ねぇんだよ!!」


 そう言っているリーダー格の男は微かに震えているのが、見てとれる。そんなに見え透いた嘘をつくよりも後で恐れの表情をしている二人の方がよっぽどに素直で好感が持てる。まあ、ならず者である時点で彼らに対する私の評価などは、下の方にカンストしているのだが。


「しかも、てめぇが本当に魔法を使えるかなんて分かんねぇだろ。俺達をびびらせて追い払うためのはったりって可能性もあんだよ」


 彼は、小さな舌打ちのあとにしらっとした目付きで固まったまま動かない同胞の方へと目を向ける。まるで使えない役立たずの馬鹿二人を見るような感じだが、現在はその限りではない。


 確かに引いてほしいという、その意味も含んでいる。しかし、魔法が使えるということも実際問題事実であるのだ。相手の言葉を鵜呑みにしないということは、何よりも大切なことであるが、それが相手の言葉を全く聞かないで良い理由にはならない。



「行きますわよ……」


「……っつ!!!!」


 身構える、一人のならず者に今から対峙するのは、あろうことか右手を目の前の男に向けている婚約破棄をされたばかりの、可憐な公爵令嬢である。そんなことはここにいる誰一人として知らず、ピリッとした殺気と緊張感にその場は包まれていた。





 

総合評価も200に到達しました。

主人公のアリスがキャラが変わったことを自分でも感じます。これも失恋の力か……。

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