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1.バッドエンドまでの流れ

新参者ですが、どうかよろしくお願いします。

文章が拙いですが、これから頑張って上手く書けるように努力していきたいです。




 何時から私達の関係は崩れてしまったのだろうか……。



「シルフ……様?」







 きっと最初から何処かがおかしかったのだろう、そうでなければ私はきっと私として壊れてしまう。こんなにも心がドロドロとしたおぞましい何かに変わるなんて、やっぱり私は駄目なのかもしれない。

 雨の打ち付けるやや肌寒い夜。私は婚約者であるルシフの浮気現場を目撃した。衝撃が頭から体に伝わるまでに時間はかからず、膝からストンと崩れ落ちた。


「……どう、して」


 掠れるように発した声は今現在進行形で私以外の女性と楽しくキスなどをしている彼の耳には届かない。ボトリと私の手から溢れ落ちたその箱の音さえも、窓に打ち付ける雨の音にて掻き消される。彼らとの距離はほんの数メートル、何故こんな醜悪なものを見てしまうことになったのだろう。

 こんな酷い状況に陥るまで、どうしてここで彼らに出会したのかはおよそ数時間前に遡る。









 数時間前───


 「ねえ、アリス。そんなに上機嫌で、何か良いことでもあったのかしら?」


「はい、お母様!!今日は彼の、シルフ様の誕生日なのです!!」


 上機嫌で答える私に、優しく微笑む母。鼻歌を歌いながらプレゼントの入った少し小さめの箱を大事そうに抱える私は、何時もよりも気分が高揚していた。高鳴る鼓動と彼の喜ぶ顔が頭のなかに浮かぶ度に、顔を真っ赤にして、悶えてしまう。


「その箱には何が入っているのかしら?」


 私が抱える小さめの箱をまじまじとみながらお母様は興味があると私に聞いてきた。私の方も教えたくて仕方がなかったが、やっぱりサプライズで彼に最初に見て貰いたかった為に、お母様に中身を教えることをしなかった。


「これは秘密です」


 顔が赤いままそう母に告げるとまぁ、といった事を言って、嬉しそうな顔になりながら、真紅の髪をサラリと靡かせて私の頭に優しく手をポンっと置いた。


「きっと彼も喜んでくれるわ。サプライズ、成功するといいわね」


「はい!!」


 そのまま母の思うがままに頭を撫でられ、私はそれに身を任せて幸せそうな目をしていた。母と同じ真紅の髪が優しく揺れて、屋敷の使用人も微笑ましい様子でその場はとても心地のいいものだった。





 本日は彼の誕生日。私は彼に驚いて貰おうと思い、彼には都合があって誕生日会には出席出来ないと、そう伝えてある。無論、お母様やお父様はその事情を知っているが、シルフ様には秘密のことだ。今年で十七になる彼は、十六の私より一だけ年上になる。私の誕生日は彼の誕生日の二月後で、私の方が2ヶ月年下ということになる。


「アリス、外は雨が降っているわ、行くときは気を付けて行くのよ」


「はい、お母様。ありがとうございます」


 お母様は仕事があるようで、私の頬にキスをしたあとに出掛けて行った。お母様はとても妖艶な感じの美人さんで、色々と社交的な仕事が多い。背も高くて、スレンダーで、それから胸も……。私には無いような魅力がお母様にはあるのだ。


 父も領地の経営をしているために殆どの時間は仕事に割かれている。父と一緒に居る時間といえば、朝、昼、晩、家で食事を摂るときと、月に二日ある休日だけだ。普段は領土の現地視察、内政の管理や条例の発布などとその他にも山のような仕事がある。父は公爵家の当主なので何かと忙しい。


 つまり、私は公爵家の一人娘。父と母から一身に愛情を受けて育ってきた。社交界の華、公爵令嬢のアリスと言われている。ただ、あまり人と話すのが苦手なのが私の欠点で、特に男性の方と話したりするとすぐに恥ずかしくなってしまう。公爵令嬢ながら情けないと自分で感じている。


 そんな恥ずかしがりな私の最初の初恋は伯爵家の次男であるシルフ様だった。貴族のお茶会で私が人混みに酔ってしまい、会場の隅で休んでいるときに彼は話しかけてきてくれた。始めこそ恥ずかしくて、余計に気分が悪くなりそうだったが、彼は常に私に気を遣ってくれていて、すぐに彼に惹かれていた。一目惚れとは違うかも知れないけど、それに近いくらいにすぐ好きになった。




「早く時間にならないかしら」


 公爵家の本邸にて、私はそわそわしながらしきりに時間を確認している。理由としてはサプライズをするタイミングというのをしっかりと明確に定めているため、その時間まではここで待っているのだ。まだまだ幼い十六歳の私はにやにやしながら部屋にあるふかふかの椅子に腰かけた。


「ねぇねぇ、クレーナ今何時?」


「ただ今の時刻は19時37分でございます」


 そう、ありがとう。と使用人に告げて、椅子に座りながら足をパタパタさせている姿はとっても子供らしい。


 こんなことしていてなんだけど、実は私は転生者。日本という国で生まれ育って、そのまま元気に大手企業で働いていたが、三十を越えた辺りの年の夏に交通事故で病院の治療も効果を持たずにそのまま呆気なく他界。彼氏が一度も出来ることなど無く終わってしまったのが唯一の心残りだった。しかし、目覚めてみれば驚きの十歳の幼子に転生。記憶もしっかりと残っていて、おまけにこのアリスとしての記憶もしっかりと刻まれたままになっていた。しかも、彼女の性格である内気な性格を引き継いで……。


 それからここでの生活は以前の人生よりも充実していて、とても楽しかったのだ。何せ可愛いとか、婚約してくれ、なんて色々な貴族から言われたりして、元の世界では考えられなかったようなモテモテっぷりに戸惑いながらも、心は満たされているような感じだった。それから彼に出会い、私の人生はまさに充実していた。


「クレーナ、私は上手くやれるかしら?」


「お嬢様なら余裕にございますよ」


「そっか……そうだよね!!」


 使用人のクレーナとの会話で少しばかりそわそわした気持ちが落ち着いた。金髪で小さく纏めてある彼女の髪はぶれることがなく、まるで彼女の本質を表しているかのような感じだ。真っ直ぐで、真面目で、いつも私の話し相手になってくれている優しい彼女は、私が最も心を許している使用人であった。


 私が仕切りに今何時と、聞くと、クレーナは嫌な顔ひとつせずに毎回、何時何分ですと正確な時間を教えてくれる。私は彼女のこういうさりげない優しさがかなり好きなのだ。


「あの、ごめんなさいねクレーナ。何度も時間を聞いちゃって」


「構いませんよ、お嬢様。お嬢様が楽しみにして今日のことを頑張って準備していたのを私は全て知っておりますから」


 と言って、スマイルひとつを私に飛ばしてくる。一人で殆どの準備を整えていたつもりだったが、クレーナには知られていたようだった。破壊力抜群のクレーナのスマイルに少し心を揺さぶられた。シルフという素敵な婚約者が居なくて、私が男であったのなら心底惚れている気がする。そう思うが思うだけで口には出さない。


「お嬢様、お顔が赤いようですが大丈夫ですか?」


「ふぇ!?そ、そんなこと無いですわぞ」


「何を動揺しておられるのですか。語尾が可笑しくなってますよ、ふふっ」


 またも私をみながら微笑してくる。流石に惚れてしまう……男なら。




「シルフ様のことを考えているお嬢様はとても可愛らしいです」


「へぇぇっ!?」


 自分でも死んでしまいたいくらいに恥ずかしい声を出してしまう。これがクレーナだからいいものを、シルフに聞かれた日には私の黒歴史として笑い話にされそう。顔が真っ赤なのはクレーナの影響なのだが、自分に対しての好意には鈍感なのか、全く気が付いていない。


「アリス!!ここに居たのか」



 急に部屋の扉が開いて、その開いた音に反応して、私とクレーナは扉の方に視線を移した。私とクレーナがいたのは、母がよく使っている一室。そこに私を探していたであろう父が姿を表した。鋭い目付きで髪型もかなりトゲトゲしていて、仕事には物凄く厳しいので有名な方だが、如何せん私という娘には物凄く甘い父というのを私は知っている。


「あら、どうしたのですかお父様」


「どうしたもこうしたも、お前が何やら頑張っているとシャゼルから聞いてな、何を頑張っているのか気になってしまったのだよ」


 因みにシャゼルとは母の名前、父はセルワルドという名前だ。つまりお父様はお母様に私のサプライズという頑張っていることを教えたということだろう。それにしてもお父様、なんというか執念がすごいです……。


「セルワルド様、お嬢様はシルフ様にサプライズをご計画されています」


「なっ、なんだってぇ!!」


 オーバーなリアクションにどうしたものかと驚いた表情のクレーナ、私に至ってはビクッとしてしまった。





「あのセルワルド様、サプライズに何か問題でもあるのですか?」


「いやぁ、その、サプライズ……一体何をするんだ?」


「「え?」」


「いや、サプライズと言われたら何をするのかと気になってしまってな。可愛い可愛い娘が一生懸命に準備したサプライズだなんてなんだが心がホカホカしてくるではないか」


 ……はぁ、リアクションが大きすぎて本当にビックリした。父はもう少し穏やかになれないのだろうか?なれそうな感じもするので些か反応と対応に困る部分が只ある。お母様に出会った当初はもう少し落ち着いた感じだったと聞いていたけど、今はもうそんな面影を感じさせることは無い。なんだか何事にも全力な体育会系みたいだ。


「お父様、サプライズの内容は秘密にしておりますの。お母様にも話しておりませんので、お父様にもお話しできません」


「うっ……そうか、それは仕方がないな……秘密、だもんな」


 私がそう話すと少しばかりしょんぼりとした表情をする父。心なしか髪の毛のトゲトゲしさも和らいで、なんだか垂れてしまっているような気がする。そんなに落ち込まれると罪悪感とかが凄い。


「お父様、サプライズが成功するように応援してくれますか?」


「えっ!?もっ、勿論だ!!アリスの為ならなんだってしてやれるぞ!!」


 私がそんな感じに言うと元気を取り戻したようで、かなりご機嫌な感じになっている。父に愛されて、私はとても嬉しいが、なんでもやれるというのは少しばかり物騒な感じもするので若干戸惑いがある。


「では、お父様。頑張ってきますね」


「ああ、アリスならなんだって出来るさ、私は仕事で忙しくて今は直接的には何もしてやれないが、陰ながら応援しているぞ頑張れ我が愛しいアリス」


「はい、お父様、ありがとうございます」


 こんなに大人にとっては幼稚でどうでもいいようなことに対して興味を持ってくれた父だが、やはり忙しいらしく、私に対して、頑張れと声をかけた後には、扉の向こうで待っていた父の専属秘書の方に連れられて戻っていった。


「お嬢様、丁度お時間です。早速シルフ様の居るお屋敷に向かいましょう。お嬢様が来ることは、先方には知らせておりませんが、シルフ様の誕生日パーティーに駆け込みでの参加は認められておりますので安心してサプライズを実行して下さい」


「ええ、いよいよね」


 先程まで座っていた椅子からゆっくりと腰を上げて出発の準備をする。無意識に髪を弄っていると、クレーナがそれに気が付いたようで。


「お嬢様、心配はしなくて大丈夫ですよ」


 なんて優しい言葉をかけてくれた。思えばさっきっからずっと励まして貰っている気がする。彼女には、とっても良くして貰っているから、サプライズが成功したらきっと後でお礼を言おう。私のことをいつも勇気づけてくれてありがとう、と。










上手な小説の書き方とか、教えてくれるとうれしいです。

今後もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一部名前がシルフがルシフになっていました。
2021/08/02 17:04 退会済み
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