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こうじつ

集中しきれないまま日が沈んだ。今日も又、上滑りした知識が紙に増えていく。

放課後、という言葉の響きと開放感はすぐに消える。

「何か連絡ある人ー」

帰りのHRは荷物に手を付けることなく過ぎていく。

あ、仕事をしなければ。挙手しても気づかれないまま先に進まれる。まあいいか。

「さようならー」

唱和し頭を下げる。今日はいつまでここにいられるか。

「ね、進学だっけ?」

「うん?そうだよー」

外面だけ取り繕う。私は君が苦手かもしれない。

「明日までの宿題やってる?」

「やってるよー貸そうか?」

「いいの?ありがとう!」

どうせそのつもりだったのだろう。でもこれで帰らない口実ができる。

彼女はまだいるだろうか?話したい。呼吸をしたい。ここはあまりに息ができない。

一瞬息を止めて立ち上がる。

「終わったら、机の上に置いといて」

「おっけー」

人を避けて廊下へ出る。この学校というところはどうも近くまで来る人が多くあまり得意ではない。

彼女のクラスはまだ終わっていないようだ。

どうも友人だと思われているらしい男の子から手を振られる。君じゃないのだが。

本を取りに来たの、という風にロッカーへ進み迷うふり。

振り返って軽く目を見開き閉じて、口角を上げる。小さく手を振って教室へ戻った。

誤魔化せただろうか、不自然に思われてないだろうか?気づかれていないことを祈る。

嘘をついて作っている罪悪感を感じないのか、気づけないのか無視しているのか。

そうだ、準備して図書館へ行こう。息をして、私を作る準備をしなくては。

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