神竜?それっておいしいの?的な。
あれからすぐに王都上空に到達するが困った事に…………
「守備隊!配置につけぇー!」
「近衛隊はただちに王一家の護衛に!」
「騎士団は戦闘準備を!」
「魔法部隊は詠唱開始せよ!」
「衛兵はすぐに民間人の避難誘導を!」
なにやら王都では大変な事になっていた。
王都上空でホバリングをして眼下の人間達の行動を見て笑いが込み上げてくるスターシア。
「クックククク。太郎みたか奴等の慌てぶりを。少し脅す意味も込めて、上空にブレスでも………あいた!な、何をする太郎!」
「あほか。今色々な事で大変な時に何を遊んでるんだ?ちょっと待ってろ。今1人の魔族を連れてくるから、大人しくしてろよ?」
「うっううう。わかった。」
太郎がスゥと消えると、宿屋で待機していた魔族1人を連れて、またスターシアの背中にあらわれた。
「な、な、ななななんでし、神竜の背中に?」
聞きなれない単語がでてきた。
「神竜ってなんだ?」
「た、太郎さん!このドラゴンの事ですよ!な、なぜ私ごときが神竜の背中に…………。」
「なぁ、スターシア、お前って古竜だよな?」
「ふっふふふふ。今頃気がついたか?私はただの古竜ではないのだ。」
「あ、ちょっとその話また後で。先に騎士団の団長に挨拶してくるから。じゃないと、王都がお前のせいで混乱してるからな。」
すると太郎はまた姿を消した。
「あ、ちょ、ちょっと!話は最後まで聞けぇ!」
そんな声もむなしく太郎は地上に降りて、騎士団や衛兵、近衛等に説明をしてまわった。
暫くすると太郎がスターシアの背中に戻ってきた。
「お待たせ。色々大変だったよ。さぁ、行こうか。」
「あ、あ、あのぅ。私はこれから何処へ…………。」
「へ?いや、魔族の国へ行って魔王の治療をしに………。俺だけだと、人間だからまともに取り合ってくれないだろう?だから一緒に。」
「そ、そうですか。わかりました。では神竜様にお願いして、魔族の国まで行くのですね?」
「ちょーーーーっと待った。さっきから神竜、神竜って言ってるけど、それってまさかコイツの事?」
スターシアに指を指す。
「太郎、やっと本当の私の事がわかったようですね。」
「………………いや、何でもいいから早く出発しようぜ。場所は分かるだろう?」
「ちょっとでいいから驚いて!」
「はいはい。驚いた驚いた。さぁ、行くぞ!」
「全然驚いてないし。私、実は神竜だし。」
「はいはい。神竜様。お願いします、さっさと出発して下さい。」
「全然感情がこもってないし、セリフが棒読みだし。」
「いいから早く出発しろっ!」
ガコッ!
太郎がゲンコツでスターシアの頭を殴った。
「ヒィーーーーーッ!」
青ざめる魔族。
「痛いっ!痛いっ!ごめんなさい!すぐに出発します。」
「じゅあ最速で頼むそ。こっちは一応障壁をはっておくか。」
太郎が速度に対して風や衝撃に耐えるように結界をはった。
スターシアはスタートから凄まじいスピードを出した。
太郎にこれ以上殴られたら、頭の形が変わりそうだったからだ。
「さて、少し寝るとするか。スターシア、着いたら起こしてくれ!」
「わかったわ。」
ガタガタ震えている魔族に、太郎は睡眠の魔法をかけて強制的に静かにさせた。
(太郎って本当に酷いわ。ってか、理不尽だわ。私一応神竜なのに。)
涙を滲ませながら、衝撃波を放ちながら飛んでいくスターシアだった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
少し間があいてしまいました。
歯痛(親不知と虫歯がなぜか合体?)と歯医者には勝てませんでした。




