本当の話だが……………。
(しかし呑気な国だ。戦争をしているのに相手の国の事をまったく理解していな。)
太郎はこの国はもう………いやこの世界はもうダメだな。と思っていた。
さっさと違う世界に、いや元の世界に帰る方がいいと思いはじめた。しかし。
「冒険者の太郎とやら、その話を鷲にもっと詳しく聞かせてはもらえぬか。」
(おっ、国王のなのに一介の冒険者の話を信じる気なのか?)
太郎は少し矛盾した考えをしていた。
自分が危なければとっとと違う世界に行けばいいだけの話なのに、心のどこかではなんとか助ける事はできかないかな?と思っていた。
「じゃあ、さっきの話の続きをしよう。まず、魔族の国には魔王を頂点として、その下には四天王の存在があるのは当然知っていると思うが…………。」
「あぁ、それは分かっておる。」
「なら話が早い。その四天王の内の強硬派の1人がすでにこの国にいた。」
「なんだと!」
ガヤガヤ。
魔王の強力な部下の1人がすでにこの国にいることに謁見の間にいる国王や貴族達は驚きを隠せない。
(しかし、本当に呑気な国だな。)
「そ、それでその四天王の1人は今どこに。」
「それなら安心してくれ。既に俺が討伐した。」
偶然に討伐した魔族がまさか
その四天王とはその時太郎は思わなかった。
「まさかっ!お主が討伐しただと?」
「あ~ぁ、それはそうだけど、今は他にも重要な事を話すのが先だ。」
「むむっ、そうだな。では続きを頼む。」
「それでなぜ魔族が人間の国にいるのか。それは魔族の国ではもう生きていけないと1人の四天王が強硬した作戦が、人間の国に潜入し、人間として暮らし、魔族の数が増えたらその国を乗っ取るつもりだったらしい。」
「バカな!そんな事になっていたとは。騎士団や衛兵は何をしていた!」
怒鳴りつける国王。
「あ~まだ話の続きがあるんだが、いいか?」
「むむっ、わかった。続きを頼む。」
「それで実はこの作戦には魔王をはじめ、他の3人の四天王は猛反対だったみたいだ。実は魔王は既に病にかかっているようで、その強硬派の四天王を止める事ができなかったみたいだ。」
「なんと!では、今魔族の国では人間達と戦争をしている場合ではないって事だな。」
「実はそれにも齟齬があって、昔から魔王は人間達と戦争をするつもりは無かったそうだ。逆に人間達とも平和に暮らしたいとも思っていたみたいだ。」
「では、我々はなぜ魔族と長年戦争など。」
「それは戦争をすればもうかる人が沢山いるからじゃないか?」
国王は太郎の指摘に黙ってしまった。
「戦争をすれば食料に武器、それから人が必要になる。そうなると必然と人身売買が………中には誘拐などもあるだろう。中でも魔法を使う人物がいれば当然その人物は高額な金額で取り引きもあるんじゃないかな。」
太郎が周りを見渡すと、一部の貴族の顔色が悪くなっていた。
「で、国王に聞きたい。まずは今流行っている病に対する治療魔法や薬など、人間の国にはないか調べる事。それから、他の国を説得して共同で魔族の人達を助ける事。そして、魔族との戦争を終わらせること。これを人間の国すべてにやってもらいたい。」
すると一部の貴族達から反発が出た。
「何を言っている!魔族は憎むべき相手だ。我々は多くの仲間を魔族に殺された。魔王を倒すまでこの戦いは続けるべきなんだ!」
「そうだそうだ!一介の冒険者風情が、国家間のやり取りに口を出すな!」
「お前、実は魔族から金をもらって魔族の為に働いているのではないか?」
「いや、実はこいつは本当は魔族なのではないか?」
大変な言われようであった。
「俺はこの世界の人間や魔族に対して義理も恩もないからどうなろうが知った事じゃないからな。さっきの話が受け入れられないなら、俺はさっさと別の世界に逃げればいいだけだ。」
すると黙っていた国王の口が開く。
「冒険者太郎。その話はすべて真実なのだな。」
「さっきからそうだと言っているが?」
いや、太郎。言っていないから。
さて、この世界は太郎次第で滅亡するか、助かるかの二択になってしまった。
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