女神様登場。
暇な時間を宿屋の食堂で静かに待っているヤローが四人。
「しかし暇だ。」
「…………………俺、ちょっと腹が減った。」
「お、太郎俺も腹減ってきた。…………よしっ!任せろ!俺がメシ作ってやる。お前らも食うか?」
ギルマスがいきなり張り切り出した。
が、しかし………………
「あ、いえ自分は大丈夫です。」
「俺も大丈夫です。」
「俺もいらねぇかな?」
「ぐぬぬぬぬ、魔族の二人はわかったが、太郎、お前腹減ったって言ってたよな?」
ギルマスが若干キレぎみに言う。
「いや、腹は減ったけど、ギルマスが作るんならいらない。と思って。」
「た、太郎。お前俺にケンカふっかけてるのか?上等じゃねぇか。」
ギルマスが太郎に向かって…………じゃなく、ジリジリと距離を取り始める。
顔は怒った表情だが、汗が止めどなく流れていた。
しかし、太郎はまったく意に介さず、ジュースを飲んでいた。
「ギルマスのメシ作って食っている時間がないからいらないって言っただけだよ。」
「な、なんだ。そうか。そうならそうと最初から言ってくれよ。………………(死ぬかと思ったぜ。)」
ギルマスとのやり取りをしていると、結界の外から大声で太郎達を呼んでいる者がいた。
「来たか。」
太郎は席を立ち上がり、宿屋の入口で結界を解除した。
「お、お待たせしました。ハァハァ、ハァ。」
「随分早かったな。で、国王はなんて?」
「すぐに話が聞きたいそうです。ですから、我々がお持ちした馬車にお乗り下さい。お城まで案内します。」
「ふぅん、この国の国王って決断力が凄いな。ま、じゃあ案内してくれ。ギルマス、いくぞ。」
騎士団の団員に案内され、馬車に乗り込んだ。
宿屋を出た時に、結界を張り忘れずに。
……………………ガラガラガラ。
馬車は中央通りを真っ直ぐに進むと、段々と大きなお城が見えてきた。
そのままお城の門をくぐり抜け、馬車を止める入口に止まった。
「随分すんなりお城入れたな。」
「騎士団が馬車を護衛してたからじゃねぇか?」
なるほどと思いながら、太郎は馬車を降りた。
「陛下がいらっしゃる場所までご案内させていただきます。」
突然、お城から出てきた近衛兵に太郎は目を奪われた。
「なんだ、この人。」
太郎はその人物から目が離せず、動きも止まったままだった。
馬車を降りてすぐの出来事で、ギルマスがなかなか馬車から降りられず太郎に文句を言っていたが、それも聞こえてこなかった。
太郎が目を奪われたその人物は…………女神様だった。
いや、女神様のような女性だった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
今回は短文ですみません。




