太郎、本気を出す?
「さて、とりあえず外にいるウザい奴等を静かにさせるか。」
太郎は席を立ち上がり宿屋の入口に向かって歩きだした。
慌てギルマスもついていく。
「太郎、一体どうやって…………」
「え?簡単だよ。あ、そうだ。魔族二人はここでちょっと待ってくれ。俺達が外に出た後、また結界を張るから安心して待っててくれ。」
「はい、わかりました太郎様。」
様………太郎はやはりどこに行っても太郎様なのだ。
「ギルマス、おれに離れずついてきてくれ。結界を解除したあと、またすぐに結界を張り直すから。」
「ああ、わかった。」
太郎は結界をを解除し、外に出る。ギルマスが外に出た瞬間にすかさず結界を張り直した。
「お前達か!この魔族のが!」
騎士団の1人が大声で叫ぶ。
俺が魔族?コイツ馬鹿なのか?
「おいっ!コイツを捕縛しろ!抵抗するなら殺してもかまわん!」
「おいっ!話を聞け。」
「お前の話は牢に入ってから聞いてやる。拷問付きでな。」
ニヤリとする騎士団。
「その前にこの中の一番の責任者を教えてくれ。」
「今貴様の前にいる。」
「お前か。じゃあ、一度だけ言うから良く聞いてくれ。この国の国王に至急会わせろ。用件こう伝えろ。『今から話す内容を信じるる信じないかはこの際置いておいて、重大な話を今からする。この世界の人間、エルフ、ドワーフ、ドラゴン等の運命がかかっている。すぐに世界の責任者達協力しないと滅亡するから俺の話を聞け。ただ自分や自分の国が滅亡しても俺は1人で逃げるから別にどうでもいいんだが、それでもわざわざ助けてやろうって思って善意で言ってるんだ。無視したり邪魔するなら、お前らは勝って滅びろ。』とな。」
騎士団の責任者が真っ赤な顔をしてブルブルと震えている。
「そ、そんな話、誰が信じるんだ?大体魔族の言う事が信じられると思うか?」
「だから信じるか信じないかは別にしてこの話をすぐに国王に伝えろ。じゃないとお前達に未来は無いぞ。それでも無理やり俺を捕まえたり、殺しにきたら、まず真っ先に俺がお前を殺す。一瞬だ。痛みも感じないまま、何が起こったかわからず一瞬で殺してやる。」
太郎から発せられる殺気に、太郎に詰めよっていた騎士団や衛兵達は体の震えが止まらず、歯はガチガチと鳴り立ってもいられなくなり、地面に崩れ落ちていく。
「さあ、早くしろ。時間がないんだ。」
「わ、わかった。だ、だ、誰か国王に、国王にすぐに報告しろ。」
しかし、太郎の強大な殺気を当てられ誰も立ち上がる事もできず、地面に座り込んで震えているままだった。
中には気を失った者も、漏らしてしまった者もいた。
「ふ~ん、殺気をやめるか。」
そしてふと太郎はギルマスの方を見た。
「なんでギルマスまで気を失ってんだよ。」
太郎の横にいたギルマスは、一番太郎からの殺気に当てられ、泡を吹きながら気を失っていた。
太郎は、はぁ~。とため息を付きながら殺気を止めた。
「おいっ!お前が責任者なんだろう?早く国王の所に行って俺が話をした内容を伝えてこい。」
騎士団の責任者がガチガチ震えながら、なんとか立ち上がる。
「わ、わかった。今から行ってくる。」
「早くしろよ。時間が無いのは本当なんだから。まぁ、死んでもかまわない。と言うなら俺は何もしないでとっと別の国に行くだけだ。」
「お、俺もまだ死にたくないからちゃんと国王には伝えてくる。…………説得もしてくる。」
「ああ、それが一番賢いやり方だ。そうしたら俺も全力で協力してやる。」
騎士団の責任者はヨロヨロ歩きながら、馬が止めている場所まで歩きだした。
そして、他の騎士団や衛兵には太郎には絶対に手を出すな。と指示を出し、騎士団の責任者と二人の騎士団を連れて王城に向かった。
しかし、残った騎士団や衛兵は死屍累々とした感じで、宿屋の周りに集まった全員が地面に今だに転がっていた。
「ギルマス、お前が一番酷いな。」
太郎の横にいたギルマスは泡を吹きながら、漏らしながら白眼を剥いて気を失っていた。
太郎はため息を付きながら、ギルマスに回復魔法をかけた。
「さて、この国の国王はどうでるか。」
太郎は内心ムリだろうなぁ。と思いながら、連絡待ちしていた。
「しかし………………ヒマだ!」
………………それは知りません。
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