魔王…………やっぱりいるんだ。
「そこの使えない(・・・・)ギルマス。」
「だ、誰が使えないギルマスだ?」
(お前以外誰がいるだよ。)
「俺はここにいる黒服を始末するから、後からくる衛兵だか騎士団だかにちゃんと説明してくれ。できなければ俺がコイツらを始末するまで邪魔しないように抑えててくれ。」
「わ、わかった。」
「さて、残りの魔族も…………みんなダメだな。これ、かなり感染?憑依化がかなりすすんでるな。」
「……………ま、待ってくれ!」
黒服魔族がいきなり両手を上げ始めた。
「た、頼む。話を………話を聞いて欲しい。」
「……………どう言う事た?」
二人の魔族が両手を上げ、話し合いを応じてきた。
「俺達、魔族の話も聞いて欲しい。」
「…………聞いてやるから話してみろ。但し、少しでも変な行動を起こしたら、そこに転がってるヤツと同じになるから覚えとおけ。」
「あぁ、わかってる。俺も命が惜しいからそんな真似は絶対にしない。」
太郎は魔族に宿屋に敷設する食堂に…………
「先に行け。話は座ってから聞く。」
ギルマスは呆気にとられ、太郎と魔族二人はスタスタと食堂に入っていった。
食堂内には誰も人がいなかった。
太郎は四人テーブルに座り、反対側に魔族二人が座った。
「で?話ってなんだ。」
「実は、さっきあんたが殺した魔族が…………四天王の1人だった。まさか、あんなに簡単には殺されるとはおもわなかったが……………」
「あれが魔族の四天王?…………なぁ、ちょっと聞いていいか?」
「はい、答えられる事であれば。」
「なんだそのテンプレ返答は。まぁいいや。あの四天王魔族?って、四天王の中で何番目に強いの?」
「………………………………………ばんです。」
「え?」
「ですから………………ぃちばんです。」
「えっ?」
「四天王の中で一番強くて一番性格が悪く残虐で非道で非情で過激で……………魔王様も何かと衝突していました。」
「なぁ、魔王ってやっぱりいるんだ。」
「はい。魔王様は強くてだれに対しても優しくてそして、この世界で一番綺麗な方です。」
「え?魔王だよね?」
「はい。」
「あれ?俺の中の魔王って男だったりドラゴンだったりするんだけど……………女なんだ。」
「はい、それはとても綺麗な方です。」
「それで、さっき話があるって事だけど、それと魔王が関係あるのか?」
「はい。実は今この街にいる人間達に憑依し街を乗っ取り、自分達の生活圏を移す為にやむを得ず協力していました。」
太郎は袈裟斬りにして倒れている魔族を見て。
「アイツの指示か。いや計画か。」
「その通りです。実は他の四天王の他の三人や魔王様は大反対していました。しかし………」
「魔王に何かがあったと?」
「そうです。コイツが魔王様を……………」
泣き出す二人の魔族。
すると、ギルマスがやってきた。
「太郎、まずいぞ。」
「なにがあった。」
「さっき到着した衛兵や騎士団の数が半端じゃない。それにお前に領主様の娘を殺した容疑がかけられている。」
「なんで俺があんな女を殺さなきゃいけないんた?」
「とにかく本人を出せ!って凄い剣幕だ。今辛うじて結界を張ってあるが、俺がかけた結界なんざすぐに破られる。」
太郎はスクッと立ち上がり、多重結界を張りだりだ。
「物理絶対防御、魔法攻撃絶対防御、呪術精神攻撃絶対防御、麻痺毒石化絶対防御。」
見たことも聞いたことも無い魔法を発動した太郎に、魔族の二人はもちろん、ギルマスまで呆気にとられていた。
発動した魔法は、宿屋全体に虹色の光が輝いて覆っていた。
「な!」
「こんな魔法………俺達魔族は知らない。」
「多分、魔王様も知らないし、使えない。」
「そうか。じゃあこれで邪魔は入らないな。話の続きをしようか。」
太郎は再び椅子に座った。
「あ、店員さん、なんか飲み物下さい。」
ギルマスが真っ赤な顔をして、
「俺は店員さんじよねぇ~!」
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
最近、寒い日が続いてます。
みなさん、体調には気をつけましょう。
自分みたいにならないように。笑




