使えないギルマス。
さてと、厄介事がふえそうだな。
案の定、受付けでの騒ぎを聞きつけ2、3人の黒服を着たヤローと、おさらにこの宿屋のオーナーか支配人がやってきた。
しかし、支配人なかなかのいい男だ。
年はいってると思うが、鍛え上げられた体に、180センチメートルを越える身長。
しかし、それらに似合わないイケメン特有のイヤミったらしい笑顔ではなく、なんともホンワカした笑顔だ。
しかし、これがオーナー?……………………隙を見て鑑定だな。
その支配人が口を開く。
「これはお客様、これは一体どういう訳ですか?」
柔らかい口調の支配人に俺は……
「あんたが、この宿屋の支配人かオーナーか?」
「はい、私がオーナー及び支配人でございます。」
「そうか、なら受付嬢の教育と素性をしっかりと調べることだな。」
「それはどう言う意味でございましょうか?私達はお客様に対して最大限のおもてなしと 接客を心構えています。」
「じゃあ、聞くがその今倒れている受付嬢の俺達に対して、客に対してありえない対応や行動、しまいには俺達の姿を見てここはお前達が泊まれる宿屋じゃないから、さっさと安宿屋に行けっ!とまで言ったんだぞ?たいしたおもてなしだな?」
ギルマスは俺と支配人のやり取りを黙って見ている。
(クソオヤジギルマスのヤツ、少しは加勢しろっ!)
しかし、オーナーは反論し始めた。
「それはおかしいですね。私共が見た時には、あなた様が受付嬢に剣を振るっている所でした。」
「なんだと?」
「おい、至急衛兵を呼んできなさい。大至急ですよ。人数も多めで。」
そしてオーナーがもう1人の黒服に話しかける。
「君はすぐに領主様に連絡を。出来れば騎士団も連れてくるように。」
「はい、わかりました。」
二人の黒服の若者は走って反対側の出口から出ていった。
チッ、心の中でも舌打ちをした。
(なんだ、こいつも魔族かよ?)
太郎は時間があった為、オーナーを鑑定していた。
「ギルマス、こいつも魔族だったよ。」
「ま、マジかよ?」
「ふっふふふふ。良く見破りましたね。」
「お前はもう人間にもどれないな。すぐに殺してやる。」
「さて、そう上手く簡単には私を殺せますかな?」
「ザコが意気がってもみっともないだけだぜ?」
「ふっふふふふ。私かザコですか?あなたは何もかも知らないようなので、私が誰かを教えて差し上げましょう。」
「いや、ザコには用は無いから、サクッと殺してやるよ。」
「物を知らないと言うのは…………ガハァ!」
俺はベラベラと喋る鬱陶しい魔族になったオーナーを、瞬動で懐に近づき左肩から袈裟斬りをかました。
「なっ!…………あ。あなたは一体何………もの…………。」
あっけなく魔族は死んだ。
いや、正確にはこの宿屋のオーナーを乗っ取った魔族だ。
しかし、このギルマス使えねぇ~。
結局、何もしなかった。
まぁ、いいや。この後に来る衛兵や騎士団の相手をしてもらうか。
さて、問題が一つできた。
俺達は今日何処に泊まればいいんた?
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
前回も短文ですみません。




