とんだ高級宿屋。
ギルマスがスタスタとこの街にある高級宿屋に向かって歩いている…………いや、若干スキップをしているような………
「太郎、早く早く!こっちだ。」
(現金なおっさんだな。)
ギルマスの後を足早についていく。
「太郎、ここ、ここがこの街一番の宿屋だ!どうだ、スゲー豪華だろう?」
現代日本の高級ホテルに泊まりなれている(親のグループ会社にホテルもある。)太郎にとっては「へぇー。」
ぐらいにしか感想が出ない程太郎から見たその街一番のホテルは普通に見えた。
「ギルマス、このホテルがこの街で一番の高級宿屋なのか?」
一瞬、太郎はホテルって言ってしまった事に「あっ!」となった。が、ギルマスは聞いてはいなかった。
なぜなら…………
「太郎、ここの宿屋、一番の部屋の値段が一泊金貨10枚するんだぜ?本当に大丈夫なのか?」
は?金貨10枚?
こんなショボい宿屋の一泊の値段が?
詐欺だろう?
しかしギルマスはかまわず宿屋に入っていった。
太郎は、「はぁ。」とため息混じりに、仕方がなくギルマスの後に続いて宿屋に入っていく。
宿屋の中に入るとわりかし広いロビーがあり、正面に受付けがあった。
ギルマスはニコニコしながら受付けにいる綺麗なお姉さんの所に。
「いらっしゃいませ。」
「二人泊まりで、一人部屋で一番高い部屋を頼む。」
ギルマスが意気揚々と話す。
しかし、受付嬢の返答は無惨なものだった。
「………………あなた達みたいな薄汚い冒険者が泊まれるような宿屋じゃないから、さっさと安宿屋に行った方がいいと思うんだけど?」
俺達は唖然とした。
しかし、受付嬢はさらに追い討ちをかけるように言い放す。
「この宿屋は一泊が最低金貨2枚するんだから。それに今満室だからどのみち泊まる事も無理ですから。」
ギルマス撃沈。
しかし、俺は受付嬢を睨みながら言ってやった。
「お前、ウソついてるじゃん。それに、お前魔族じゃない?」
ギルマス少し復活する。
「え?この綺麗な受付嬢が魔族?」
はい、間違いなく魔族なので討伐しましょう。
で、俺は有無も言わさず剣を受付嬢に向かって一振りした。
「ギャアーーーー!」
高級宿屋の受付嬢がバタリと倒れた。
あまりにも一瞬の事で、ギルマスは呆然としていた。
ギルマスよ、ボーッと立ってないで受付嬢を介抱してくれ。
この宿屋、大丈夫なのか?
明けましておめでとうございます。………………って、ちょっと遅いですね。
今年もよろしくお願いします。




