現金なギルマス
「失礼します。」
メイドさんが応接室に入ってきた。
どうやら領主の娘が見つかったようだ。
メイドさんは領主のそばまでいき、耳打ちをしている。
…………………。
「なんだって!」
領主がメイドさんから聞いた情報に驚いていた。
「それは本当なのか?」
「はい、間違いありません。」
「なんてってことだ………………。」
あれ?領主がかなりおちこんでいるぞ。
「領主様、マリーさんは見つかったのですか?」
時間との丈夫だとさっきおれが話したばかりなのに、いつまでたっても話をしない事にギルマスが焦れて、領主に問いただした。
「申し訳ないが、今は街の住人から調べてはくれないか?」
ん?
「領主様、それはちょっと無理ですよ。一人一人確認をするために、一軒一軒家を訪れてたら何日かかることか分かりません。しかも最初に調べた家の者が大丈夫だったとしても、俺達が調べている間に、憑依される可能性があります。」
「では、どうすれば…………」
「それは簡単だ。領主みずから街の住人にどこか広い場所に集まるよう、御触れを出すんだ。……………そうだな、例えば今年の税金を少しだか住人一人一人に返すから集まれ。これに集まらなかった住人には税金は返さない。とか。」
「太郎の案はなかなかだ。それだと一ヵ所にほぼ集まるようだろうから、一気に肩がつくな。」
「できるか、領主。もし金がなければ俺が出してもいいぞ。」
「太郎君、君は一体何物なんだ。」
「普通の冒険者だが?」
「ウソ言うな。お前が普通の冒険者なら、他の冒険者は全員素人か?」
ギルマスがはっははは、と笑っている。
失礼な奴だ。俺は本当に普通の冒険者だぞ。
「わかった。太郎君の案に乗ろう。街の中央に噴水がある公園がある。そこに集まってもらう。ただ、すぐにとはいかない。………………一週間後の朝からでいいだろうか?」
「そうだな。………あと、人を使って、噂を流すんだ。」
「なぜだね?」
「いきかなり税金を少し返すとか言ってもすぐには信じられないだろう?だから先に噂を流してから、住人に告知して欲しい。……………そうだな、三日間噂を上手に流した後に住人に告知してくれ。」
「わかった。すぐに人の手配をしよう。しかし、太郎君は冒険者なのになかなかどうして。」
「じゃあ、とりあえず俺達は街に戻って宿を取って、俺達もその噂話を食堂や酒場で流してみる。」
「ありがとう。」
「じゃあ、ギルマス行こうぜ。」
席を立ち、俺とギルマスは領主に挨拶をして、屋敷を出た。
帰りも馬車に乗せてもらい、街まで戻ってきた。
一応、領主には何かあった時の為に、宿の場所を教えないといけない。
「ギルマス、どこかおすすめの宿はないか?あと料金は高くでもいいから風呂つきの宿を頼む。」
「太郎、お前って奴は……………」
これだから金持ちは………なんでこんな金持ちはFランク冒険者がいるんだ?とかブツブツうるさかったから、
「ギルマスの分も俺が出すから、ブツブツうるさいから黙ってくれないか?」
ギルマスが振り返ったその顔は、気持ち悪い程の笑顔だった。
「太郎、本当だな?」
「あぁ、ちゃんと宿代も食事代も飲み代も女も奢ってやるから、ちゃんとした宿に案内を頼むな。」
「任せろ!太郎、お前っていい冒険者だな!」
いや、俺は普通の冒険者のつもりなんだが………
ギルマスはスキップしながら宿を案内していた。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
今年最後の更新になります。
今年も沢山の方に読んでもらい、本当にありがとうございます。
来年もまたよろしくお願いいたします。
では、皆様良いお年を………




