一万の魔物対冒険者
太郎とのやり取りを終え、また一から冒険者達に(おもに太郎に。)緊急依頼の内容の説明が始まった。
「先ほど斥候から入った情報を元に、みんなに集まってもらった。……………事態はかなり切迫している。」
ギルマスの前にいる高ランクらしきガタイのいい30代ぐらいの男性が質問をした。
「ギルマス、今この場にいる高ランクはBだ。それも10人はいる。大抵の事ならなんとかなりそうだが?」
「そうだな。確かに大抵の事ならなんとかなるだろ。しかし今回は大抵の事ではすまない程の魔物の数なんだ。」
「100ぐらいならなんとかなるぜ。」
「……………そんなもんじゃない。……………………1万は越えてるだろうと報告が2度に渡って入ってきた。まず間違いないだろう。」
一万!!!
ギルドに集まっている冒険者達は唖然としていた。
「しかも、魔物達の進路は、間違いなくこの街に向かっている。一万もの魔物相手に城壁がどれぐらい持つか…………」
「ギルマス、その情報は間違いないんだな。」
「間違いない。よってまず編成を組む事になる。前衛と後衛、あとF,Eランクの冒険者は後方でのサポート。ギルド職員は街の住人の避難確保。それから……………」
ギルマスは太郎の方をチラリと見る。
「太郎、お前の魔法はどれぐらい使える?あと、今日、いや昨日か仲間にした古竜は手を貸してくれるだろうか?」
ギルマス、ギルド職員、冒険者全員が太郎に目を向けた。
すると太郎から飛んでもない話が出てきた。
「古竜ってスターシアの事?俺が言えば手を貸してくれると思うよ?」
なぜか疑問系の太郎。
しかし、ギルマスや冒険者達は揃って「おぉーーーーおっ。」
と期待にみちた歓声が上がった。
「なら、そのスターシアさんに是非共協力を太郎からお願いしてもらえないか。」
「え?やだよ、めんどくさい。」
「「「「「「「なっ!」」」」」」」
太郎の素っ気ない返事で、一気にみんなに顔が青ざめた。
「いや、しかしこれだけの魔物を相手では我々は全滅する。太郎、頼むからお前からスターシアさんに協力してもらえるよう頼んでくれ!依頼料も個別依頼だから通常の3倍早く…………じゃなく高くだす。だからなんとか頼んでくれないか?」
「いや、そんなめんどくさい事はしませんよ。……………魔物の数が一万ですか?なら俺一人で十分ですから、わざわざスターシアに頼む必要はないですから。」
「「「「………………………………」」」」
ギルド内に静寂が走った。
誰も太郎が言い出した事に考えが追い付かなく、ギルド内は10秒程静まり帰っていた。
(あれ?俺なんか変な事言ったかな?)
太郎の非常識さに、ここのギルマスや冒険者達はわかってはいなかった。
太郎にとって、魔物が一万だろうが、十万だろうが一匹の魔物を相手にするのと指して代わりがなかったからだ。
ただ、魔力を使うので少し疲れるだけだった。
太郎は一万の魔物を相手に戦っても、少しだけ疲れるだけだった。
(あれ、まだ静かだよ。………しずかちゃんだよ。)
くだらない事を思っている太郎だった。
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今回は少し短めです。




