魔王様、勇者を召還!
「魔王様、異世界からの勇者様の召還準備が整いました。」
「ありがとう。これでこの世界の未来が決まるのですね。」
「はい。魔王様なら強くて心優しい勇者様を必ず召還する事ができるはずです。」
私はこの世界にいる7人の魔王の一人。
今、この世界はある一人の魔王によって滅びの道に向かってしまっている。
その一人の魔王とは…………私達7人魔王姉妹の一番下の妹。
なぜこんなことになってしまったのか。
しかし、今考える事は勇者様を確実に召還すること。そして、勇者様にこの世界を救ってもらえるように協力をお願いすること。
「では、勇者様の召還儀式をはじめます。」
この世界の古代から伝わる勇者召還儀式。
難しくも長い呪文の詠唱を間違いなく続ける必要がある。
もし、一ヶ所でも呪文を間違えてしまえ失敗をしてしまうと、次の勇者召還儀式は1年後になってしまう。
この勇者召還儀式は1年で一回しか出来ない儀式なので、失敗は許されない。
三時間に及ぶ儀式が無事に終わり、魔方陣が強く光だした。
「おぉ~!」
周りから儀式の成功に歓声が上がる。
光輝いていた魔方陣がしだいに輝きを失い、二人の人間族の姿があらわれてくる。
「勇者様………」
私は儀式の成功と勇者様に会えた感動でゆっくりと歩きだしていた。
「う、う~ん。」
「あたたたた。」
「はっ、ねぇ、太郎、太郎ったら!ちょっと起きてよ!」
「う~ん、あと3日くらい………休ませ………」
スパァーーーーン!
一人の勇者様がなぜかもう一人の勇者様の頭を叩いていた。
「いいから、起きてよ!」
「う、わかったよ。」
勇者様が私を見る。
「うん?」
「あっ!」
二人の勇者様が少し驚いていた。
私は歩く速度が段々と早くなり、何故かジャンプをしだした。
「「へっ?」」
太郎と香織が情けない声を出す。
ジャンプした人物はそのままキレイに着地を決めて、そのままうつ伏せの状態になり、いきなり大きな声で話しを切り出した。
姿勢を真っ直ぐにした状態で。
「助けて下さい。勇者様!」
土下寝をしている私ををマジマジと見ていた。
そして二人は声を揃えて。
「「ま、魔族?」」
「は、はい。私は魔王と言います。勇者様、是非、是非私達の話を聞いて、そして助けてはもらえませんか?」
私は勇者様に真剣にお願いをしてみた。
「勇者様、是非はなしだけでも……………」
「あ、ムリ。俺達帰って休みたいから。」
「「「「「「えっーーーーー?」」」」」」
何故か、周りにいる人達から大ブーイングの嵐。
「さ、香織、元の世界に帰ろう。」
この二人は本当に強く心優しい勇者様なのだろうか?
ちょっと泣きたくなってしまった。
いつも読んで頂き、本当にありがとうございます。
新たに始まった物語はいかがですか?




