勇者と魔王?
「ま、魔王ってあなたが?」
「はい、私が魔王です。」
「で、勇者って言うのは?」
「はい、お二人の事でございます。」
「………………………」
「………………………」
「さ、帰るか、香織!」
「ちょ、ちょっとだけ本当にちょっとだけ、話だけでもお願いします、勇者様。」
「ねぇ、太郎………」
「……………ん~、わかったよ。話だけな。話だけだからな。」
「あ、ありがとうございます。」
「それで、話はいいけどいい加減起きてくれないかな?」
「は、はいっ!では、失礼します。」
「今度は正座かよ。」
「それで、なんで私達はここに呼ばれたのかな。」
「はい、実はこの世界を救って頂きたく…………」
「はい、話はオシマイ。じゃあ帰ろう。」
「そ、そんな。ま、まだ話が…………」
「どうせ、お前達じゃどうにもならないから、俺達に助けて欲しい。とか、相手は邪悪な神でとか、魔族が何者かに滅ぼされようとしているからとか、実はこの住んでいる星が隕石か何かに激突して助からないからとか、魔王が実は何人もいてその戦いに負けそうとか、勇者がそろそろ魔王討伐に訪れるからそれをとか、あとは……………」
「ねぇ、太郎ちょっと黙っててくれる?」
香織から恐ろしい殺気が放たれる。
「はい。」
シュンと落ち込む太郎と……
「あっ。」
香織の殺気をあてられ気絶している魔王。
「やっちまったな。しかし、さすが香織だぜ。殺気だけで魔王を倒すとか。さ、じゃあ帰ろうか。」
「ちょっと、かわいそうだよ。………しょうがない、キュア。」
「んん、……………ふぁ!い、今何が、何があったのですか!」
「何でもないから、話の続きをお願い。」
「あ、そうでした。実は私達のこの住む世界には魔王が7人います。」
「うん、それで?」
「魔王が7人いるのはいいのですが、最近になってある一人の魔王が他の6人の魔王に対して敵対する事が増えてきました。」
「え?魔王同士で仲がいいの?」
「はい、本来なら敵対などはしません。なぜなら………」
「「なぜなら…………?」」
「私達魔王7人はみな実の兄弟なのです。」
「「えっーーーーー?」」
「そんな事あるのか?」
「私に聞かれても知らないわよ。」
「その最近おかしくなった魔王は私達の中で末っ子になります。」
「なんか、魔王が末っ子とか………シュールだ。」
「それで、貴方は何番目なのかしら。」
「私は兄妹の中で一番の年上になります。…………長女です。」
「魔王が長女とか……………シュールすぎる。」
「そのおかしくなった魔王は妹さん?弟さん?」
「七女になります。…………一番下の妹になります。」
「魔王の妹とか…………なんか萌える。」
「「えっーーーーー?じゃあ、魔王ってみんな女の子なの?」」
「はい、そうなります。あ、勇者様はこの世界の常識が………えっとですね、この世界には常に魔王が7人います。それから、魔王になれるのは女性だけなのです。」
「うん、話はわかった。じゃあ、面倒だから帰ろうか、香織さん。」
「シクシク、勇者様あんまりです。話を聞くだけきいて帰るかだなんて……………」
「いや、最初から話だけって約束だから。」
「それで、それで、話の続きは?」
7人の女の子魔王姉妹。の話に香織が興味をひいてしまった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。




