プロローグ
「う、う~ん。」
「あたたたた。」
「はっ、ねぇ、太郎、太郎ったら!ちょっと起きてよ!」
「う~ん、あと3日くらい………休ませ………」
スパァーーーーン!
香織はなんの躊躇いもなく、太郎の頭を叩いた。
「いいから、起きてよ!」
「う、わかったよ。」
太郎は目を擦りながら、周囲を見渡した。
「うん?」
香織はある方向を睨んでいた。
太郎も、香織が見ている方向をみてみた。すると・・・
「あっ!」
太郎が思わず声を出してしまった。
太郎と香織が見ている場所には10人程度の人がこちらを見ていた。
そのなかで、明らかに一番偉いと思われる人物が、太郎達の近くまで歩いてきた。
しかし、歩く速度が段々と早くなり、何故かジャンプをしだした。
「「へっ?」」
太郎と香織が情けない声を出す。
ジャンプした人物はそのままキレイに着地を決めて、そのままうつ伏せの状態になり、いきなり大きな声で話し出した。
姿勢を真っ直ぐにした状態でいきなり
「助けて下さい。勇者様!」
まぁ、所謂土下寝?みたいです。
太郎と香織は呆気にとられ、土下寝をしている人物をマジマジと見ていた。
その土下寝をしている人物はどうやら人ではないような………頭に捻れた角が2本生えていた。
「「ま、魔族?」」
「は、はい。自分は魔王と言います。勇者様、是非、是非私達の話を聞いて、そして助けてはもらえませんか?」
(……………えーっ、ま、魔王が勇者に助けを求める?)
(な、なになに、この世界!)
「勇者様、是非はなしだけでも……………」
「あ、ムリ。俺達帰って休みたいから。」
「「「「「「えっーーーーー?」」」」」」
何故か、周りにいる人達から大ブーイングの嵐。
「さ、香織、元の世界に帰ろう。」
「う、うん。………でもいいのかなぁ。」
「お待ち下さい、勇者様。お願いします。話を、話だけでも聞いてもらえないでしょうか。」
「いやだ。帰る。」
「で、でも、帰る方法が………」
「大丈夫。帰る方法はいくらでもあるから心配しないでくれ。それより、もう二度と俺達を召還なんかするなよ。じゃないと、この世界無くなるからな。」
「ちょ、ちょっと太郎っら!」
「だってふざけすぎだろう?なんの義理があって俺達が…………勇者?」
「はい。勇者様。」
「で、そこで寝転がってるお前は?」
「はい。私は魔王です。」
「やっぱ帰ろう。」
またとんでもない世界に召還されてしまった。と香織はため息をついた。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
新章新たなる旅立ちが始まります。
これからもよろしくお願いします。




