番外編 日本に帰ってから………16
ここは、都内市ヶ谷の地下にある会議室。そこには、陸海空自衛隊のトップ、それから国の首相や外務大臣、法務大臣などが集まりある事について会議が行われていた。
「まず、始めにこれだけは言っておかなくてはならないと思う。」
長テーブルの中央に位置した席から立ち、集まっていたお偉いさん達に話し始めた。
その男は、年齢にして50代の品のある少し背の高い紳士だ。
「5年前に(太郎達がいた世界と時空軸が異なっています。)例の高校生集団失踪事件の内容がようやく判明した。その事で今、我が国に対する隣国からの危機問題を平和的に解決できる事に繋がると判明した。」
ガヤガヤ、ガヤガヤ。
いきなりの発言により、会議室に集まった面々が驚いていた。
先ほど発言したのは、この国の首相、椿信二郎だ。
椿信二郎は、この国が20年不況に陥っていた状況を打開し、また世界に冠たる経済大国にした人物で、ここ10年以上首相の座に就き世界的にも名が広がっていた。
「今日、私の権限で一部の陸上自衛隊を派遣し、とある場所を訓練と称し護衛任務に就いてもらった。」
「首相、それはまずいのでは?」
陸上自衛隊のトップがいきなり反論した。
「今から話す内容は、科学が絶対のこの世界では信じられない事が起きた。それを説明するが、これは今後国を大きく左右する話しをするため、第一級の国家機密として扱う為、話す前にみんなに誰にも絶対に秘密を漏らさないと言う契約を結んでもらいたい。今日はそのために法務大臣をつれてきている。」
会議室では、みんな緊張した面持ちで静まりかえっていた。
「なお、契約を結んだ後に秘密の漏洩が発覚した場合の内容は、今から法務大臣が説明する。」
「え~、法務大臣の田部です。これからみなさんには話を聞いてもいいと言う人と国で契約を結んでもらいます。その後、もし機密を漏らした事が発覚した場合は、刑罰に処せられます。因みにこの事に関しては、裁判や弁護などは一切無く、直ぐに刑に処せられます。刑罰の内容はまだ話す事はできません。国と契約をした後に内容を話す事ができます。」
会議室に集まった人達の顔が青くなっていった。
なぜなら、この国家機密の内容を例え聞かなくても、もう今の時点で同じようなものだと悟ったからだ。
座っている各自に契約書が配られていく。
「もし、この内容を聞く事を拒否する者は、今すぐこの場から去って欲しい。そして、この国を大切に思い守りたい、そしてその為になら契約してもかまわないと思う者は、契約内容を良く読んでから、最後にサインをしてくれ。今から30分の時間でお願いする。」
誰も席を立たずに契約書を読んでいた。
この国の為、この国を守る為、この国の人々………家族や親類、友達、恋人、知人を守りたい為、この様に聞こえた首相の話しにみんなは真剣になり、契約書を読んでいた。
今、この国は隣国の核兵器や生物兵器等に脅かされていた。
しかし、この事と太郎達に何の関係があるのか。
それから、首相の椿信二郎………
太郎と同じ名字のこの首相は太郎の親族のように感じる。
しかし、今の太郎はそれを知る事はまだ無い。
30分がたち、法務大臣がそれぞれの契約書のサインを確認しながら、回収していった。
数十分後………
「ここに集まった者は誰一人欠ける事無く契約書にサインしました。」
「みんな、本当にありがとう。」
「それでは、これから第一級国家機密の内容と、その後作戦を話したいと思う。」
いよいよ、内容が語られていく。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。




