第408話 エール共和国
神様「太郎、お主にちょっと話があるのじゃが…………」
深刻な顔をした神様。一体なんの話しなんでしょうか?
太郎「話しって何?」
神様「実はの、今幸せそうなお主には話しずらいんじゃが…………」
太郎「え?何その言い方。なんか凄い嫌な感じなんだけど…………」
神様「これら香織達に会いに行く前に言っておきたいんじゃ。太郎、これから儂の言う事をしっかりと聞いて欲しいんじゃ。」
太郎「な、なにその言い方。……………もしかして香織に何かあったとか?」
神様「……………、香織は無事じゃ。」
太郎「な、なんだ。良かった。……………え、もしかして他の誰かが………」
神様「シーバとノアが……………」
太郎「え、嘘、本当に?」
神様「近くに儂か太郎がおれば何とかなったかもしれんが…………」
太郎「は、早くみんなの所に!」
太郎様はまさか?と言う気持ちで神様達と香織達がいる場所に転移していった。
しかし、神様は香織達が居る場所には転移しなかった。
今回のこの世界を巻き込んだ騒動を起こした張本人がいる国の近くに転移した。
太郎「おじいちゃん、香織達はどこに?」
神様「ここには香織達はおらん。」
太郎「な、何言ってんだよ!一体ここはどこなんだよ!」
神様「太郎、落ち着け。今、お主以外は危険じゃから香織達が居る場所に連れていってくるから、お主は静かに待ってるんじゃ!」
神様はそう言うと、太郎様以外のみんなをまた転移していった。
太郎「あ、待って!俺も…………」
神様とクラスメイトは太郎様を置いて転移していった。
太郎「くっ!………一体何なんだよ!もううんざりだ。早く香織と…………みんなと地球に………日本に帰りたい。せっかく日本に帰れる手段があるのに。」
なんとも言えない気持ちが太郎様の中で渦巻いていた。
太郎「もう、こんな星の………こんな世界の事なんてどうでもいいじゃん。早く帰りたいよ。」
太郎様、もうこの世界の事は忘れて、太郎様が住んでいた世界にみんなと…………
太郎「え?今の声は。」
太郎様、もう会えないのが残念ですが、太郎様は幸せに生きて下さい。
太郎「また、違う声が………ノア?とシーバか?」
太郎様、またいつか会えたらその時は…………
太郎様、今までありがとうございました。
太郎様、お元気で…………
さようなら、太郎様。……………
太郎「あ、待って。ちょっと…………シーバ?……………ノア?」
聞こえていた声はそのあとは2度と聞く事はなかった。
太郎様の目からは、次かから次に涙が溢れていた。
シュン。
神様が戻ってきた。
神様「太郎………すまん。」
太郎「いや、おじいちゃんのせいでも誰のせいでもないよ。」
神様「太郎、こんな事になった元凶を叩き潰しに行くのじゃ」
太郎「おじいちゃんはこんな事になった原因を知ってたんだ。」
神様「いや、儂もつい最近わかったのじゃ。」
太郎「そうだよね。じゃなきゃこんな大事になってないよね。で、犯人はこれから行く場所に居るんだ?」
神様「そうじゃ。………犯人はこの国におる。」
太郎「あれ?でもこの国って確かに…………」
神様「そうじゃ。お主も知っておる国じゃ。…………………エール共和国じゃ。」
エール共和国。
ビールの名前がついた王様や王子がいる国。
そして太郎様がこの世界で一番まともだと思った国でもあった。
そして、古代竜達と初めて会った場所でもあった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。




