第335話 2度のド忘れ!
神様「さて、では出発するかの。」
白達古代竜は翼を羽ばたかせ、空に次々と上がっていく。
その時、ふと神様は町をチラリと見た。
神様「はぁ~。」
ユーナ「どうしたのじゃ。」
神様は町の方を指を指した。
ユーナ「あっ!」
町では騎士団が、謎の軍団と戦っていた。
神様「しょうがないのう。香織の事もあるから、奴等を捕まえて問い詰めんといかんし、戻るか。」
ユーナ「お~い、みんな!ちょっとストップストップ!」
勇者「どうした?」
先生「ユーナ様、なんですか?」
ユーナ「あれ、あれ!」
ユーナ様は溜め息をつきながら、町の方に指を指した。
一同、
『…………………………はぁ~。』
ため息。
勇者「ったく、二度手間だな!」
アン「そうだね。疲れるわ。」
く
先生「みんな、香織さんの事もあるから、なんとかしましょう。」
勇者「あ、香織か。あいつの事すっかり忘れてた。」
『いやいや、それは兄として不味いでしょう。』
勇者「いや、でもあいつ強くなってから、やたらに神経が図太くなったようだから、案外敵のど真ん中でイビキでもかいて昼寝でもしてそうだし。」
先生「流石にそれは…………」
神様「おいっ!いさむ。自分の妹を忘れるだけじゃなく、なんて事まで……………まぁ、確かに昼寝はありそうじゃな。」
ユーナ「自分の孫に対して酷い事を言うもんじゃな。」
先生「それより早く町の人を助けに行かないと。」
神様「そうじゃな。もう面倒だから、白達はここから奴等に向かって、ブレスしてくれぬか?」
ユーナ「そんな事をしたら……加護を与えた後じゃから、町ごと消し飛んでじうじゃろ。」
一同、顔が青くなる。
先生「加護ってそんなに凄いのですか?」
ユーナ「うーん、私とおじさんの二つ分の加護じゃから……………前の10倍くらいは強くなってるはずじゃ。」
一同、青から真っ青に。
勇者「そうなの?おじいちゃん。」
神様「うむ、今のいさむは、太郎より強いかもな。」
ユーナ「そんな訳じゃ。みんな手加減して戦うのじゃぞ。」
本来なら、強くなれれば嬉しいはずなのに、なぜか嬉しくないみんな。
神様「じゃあ、逝くかの。」
ユーナ「いや、神様が死んだら不味いじゃろ。」
先生「じゃあ、みんな気を付けて戦ってね。」
リーン「手紙とか、超わかんないし。」
マリー「リーン様は全力で戦いたいのですね。」
リーン「できれば。」
ニーナ「私は?私は全力で殺してもいい?」
先生「ニーナ様、香織さんの事がわからなくなってしまいますから、殺したらダメですよ。」
ヒトミ「先生、それって香織さんの事がなければいいって事?」
シーバ「いいに決まってるだろ!太郎様の事も、もう忘れたの?」
『あっ!』
一同、今日2度目のド忘れ!
主人公二人を忘れるとは。
神様「早く逝くぞ!奴等はもう持たないみたいだから。」
ユーナ「いや、奴等は別に死んでも構わぬが、神様は死んだら不味いじゃろ。………って、これも2度目じゃないか!」
そんなコントを繰り広げている間に、敵が町に侵入していた。
神様「うむ、騎士団長はぶじかの?」
ユーナ「知らん。」
白達古代竜は町に向かって飛んでいた。
みんな、面倒だなぁ~、かったるいなぁ~と思いつつも助けに向かったのでした。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。




