第315話 夫婦漫才
「ぜぃ、ぜぃ、ぜぃ、女神様いい加減泣き止んでもらえませんか。」
う、う、うっおぇー!
(嗚咽が酷すぎて吐いちゃったよ。………女神様なのに。)
うっおぇー!げっほっ!がっ、うっ、おぇーーーっ!
「うっ、気持ち悪っ!声だけでここまで気持ち悪いとは。ダメだ俺まで………うっおぇー!」
☆☆☆☆☆
はぁ、はぁ、ゴロゴロ……ペッ!
(ダメだ、この女神様)
はぁ~、少し落ち着きましたか?
「このポンコツ女神がぁ~!」
ちょっとお腹がすきませんか?
「うっおぇー!うっおぇー!」
椿さん、随分失礼な方ですね。いきなり吐くなんて。
(お前が言うか?お前が言うのかそれを?)
では、これからは食事をしつつ今後の事について話をしていきましょう。
「あ、いや、すみません。俺今食欲なくて…………」
そうですか。でもしっかりと食べて栄養を取らないと体に良くないですから。
「そ、そうですね。でも今は大丈夫なんで、お一人でどうぞ。」
そうですか。わかりました。では、私もご一緒しましょう。
「は?」
いえ、だから椿さんとご一緒に食事をしましょ…………
「きさまに耳はついてるのか?ついてるよな?だったら俺が言った事の意味がわかるよな?」
えーと、「あなたの様な綺麗で素敵な女神様と一緒に食事がしたいな。」ですよね?
「…………………おい、ポンコツ!」
…………………。
「おい、そこのポンコツ女神の事だよ。聞いてるか?」
……………。
「あ、そこの綺麗で素敵な女神様。俺の声が聞こえますか?」
はい、椿さん。なんでしょう?
「聞こえてるじゃねぇか!」
えっ?なんの事でしょう。
「俺はお前がポンコツだって言ってるんだよ!」
………………。
「すっとぼけるなぁーっ!」
……………。
「あのう、そこのブスでポンコツの女神様?」
誰がブスでポンコツですかーっ!
「聞こえてるじゃねぇか!いい加減しろっ!ったく、どうでもいいが、なんか腹減ってきた。飯にしよう、飯に。」
はい、あなた!
「だれがあなただよ!おいよーく聞け女神。俺は一体ここに何しに来たのかを早く話せ。いいか、もう一度言うぞ。俺はなんの為にここにいるんだ?まさか、お前と夫婦漫才しなきゃいけないためにここにいるのか?………あっ?」
ヒッィ!
「早くして欲しいかなぁ~?」
は、は、はい。ちゃ、ちゃんと説明しますから、その拳を引っ込めて下さい。
「はぁ~、で、俺はなんの為にここに、このめんどくさいポンコツ女神の相手をしてるのかな?」
う、う、うっ、そこまで酷いこと言わないで下さい。私、これでも椿さんの心を和らげようと……あと、仮にも死んでますから、楽しませようと…………
「はい。ちょっと待とうか。また凄い言葉が出てきたような。」
えっ?なんでしょう?あ、仮にも死んだ。でしょうか?
「ビンゴ!」
やったー!景品はなんでしょうか?楽しみ楽しみ!
「俺はポンコツを楽しませる為にここにいる訳か?」
あ、いえ、……………、あの、景品は?
「景品?あ~ぁ、景品ですね。ありますよ。ちょっと待って下さい。…………景品はこちらです。」
えーと、どこですか?ワクワク
「それは、俺からお前に死をプレゼントしよう!」
きゃー!助けてぇ~、誰か、助けてぇ!犯される!
「もう、地上に帰っていいですか?」
キリッ!
椿さん、それは不可能です。あ、違いました。可能ですが、不可能なのです。
(ほっとうに、帰りてぇ~。)
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