第312話 相手は誰?
………………ん。
……………さん。
「だ、誰だ?」
……………太郎さん。
「悪い、もう少し寝かせてくれ。」
…椿太郎さん。
「わかった、わかったから少し静かにしてくれ!」
椿太郎さん、起きて下さい。
うっすらと、瞼を上げる。
「うっ、眩しい。」
クラクラする頭と眩しい光に顔を歪める。
やっと、起きて下さいましたか。
まだ、体がまともに動かない………
「がっ、か、体中が痛いっ!」
もうすぐ楽になります。
すぅーっと体の痛みが消えていく。
ゆっくりと周りを見渡すと……
「ここは?」
楽になりましたね。少し話をしましょう。
「ところで、ここはどこだ?それよりさっきから話かけてるのは誰だよ?」
これは失礼しました。私あなた方から見れば神になります。
「……………また、神様かよ。」
大変申し訳ありません。こう度々神が人との接触や干渉する事は不味いのですが、今回ばかりはそうも言っている場合ではないので。
「言ってる意味がわからない。それよりここは?」
はい、神界です。
「霊界に神界に、色々あるんだね。」
そうですね。
「で、俺はなぜここに?」
椿太郎さんの最後の記憶は何処までありますか?
「……………えーと、確かマリーとニーナが…………あっ、ニーナだ。そう言えばニーナは?ニーナはどうなったんだ?」
ニーナさんですね。大丈夫です。あなたの命と引き換えに無事みなさんの元に帰りました。
「はぁ~、良かった。そっか。無事ならいいんだ。」
随分と冷静ですね。
「えっ?なにが。」
いえ、ニーナさんは貴方の命と引き換えに助かったのです。
「えっ?そうなの。………えっ?」
………………………大丈夫ですか?
「て事は、俺って死んだの?」
そうなります。
「いやいやいや。今の俺は…………何?」
椿太郎さん。落ち着きましょう。
「これが落ち着ける………ふにゃ~」
どうです、落ち着きましたか。
「あ~、何だかふにゃふにゃになった感じ。」
それでは椿太郎さん、お話をしましょう。
「あのう、なんかさっきから椿太郎さん、椿太郎さんてなんか落ち着かないから、どっちかで呼んで。」
わかりました。太さん。
「どっちかじゃなく、真ん中かよ!」
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。
今回から新章になります。




