第274話 やっと、これから……
転移門から出てきた香織達は驚愕する。
勇者「お、お前………」
香織は目に涙が、胸が一杯になり、突然走り出した。
太郎…………
転移門から少し離れた場所で、太郎様は仲間と呑気に夜営をして、みんなで食事をしていた。
太郎様はまだ、香織達が今すぐ側にいることに気がついていなかった。
夜営をするときはユーナが結界を張り、魔物や盗賊、害虫などが入れないようになっている。しかも、調理中の臭いや、話し声などが外にも漏れないようにもなっていた。
当然、話し声や料理の臭いなどで、余計な厄介事に巻き込まれないようにするためなのだが、香織はその事を知らない。
香織「………太郎、太郎!」
香織は全速で太郎の所に走っていく。
神様「香織、まつのじゃ!これ、落ち着け!」
神様はおそらく知っている。
勇者「おじいちゃん、ありゃ、ダメだよ。」
神様「まぁ、しょうがないかの。」
香織「太郎!太郎!太郎!」
太郎様もさすがに誰かが勢い良く近づいてくるものがいれば、気がつき戦闘態勢になる。
香織「たろーーーーう!…………ぶぎゃ!」
香織はユーナの張った決壊に思いっきりぶつかったのだ。
香織はそのまま、倒れる。
太郎「か、香織か?」
返事がない。当然である。全速で走ってぶつかったのだ。HPも半分くらいは減ったか?
太郎「ユーナ、一度結界を解いてくれ!」
拗ねたような顔で、結界を解いた。
太郎が走り出す。倒れている香織に向かって。
神様「まったく。本当にせっかちなんじゃから。」
勇者とアンは呆れた顔で見ている。
太郎「香織、香織、香織」
あ~、なんて感動的な再会なのでしょう。香織が結界にぶつかって倒れていなければ。
太郎(やっと、やっと。香織に。)
太郎様とか香織が離ればなれになってから、一体何日、何ヵ月、いや何年たったか。
香織「あーーー、いたたたたた。な、何これ?バリアー?結界?」
太郎「かおりーーーーーっ!」
香織「た、太郎!」
ふっふふふふふ。そんなに簡単に二人を一緒にすることはできないな。
どこからともなく、不気味な声が聞こえる。
太郎は一瞬で状況を理解し、香織に瞬間移動で近づく。
太郎「香織、大丈夫か?」
香織「た、たろう。うっわーーーーーん。」
香織は太郎の腕の中でも泣き出した。しかし、
香織の周りに黒い靄みたいな物が纏いだした。
神様「しまった。」
神様は太郎と香織の側までワープをして、香織にまとわりつく黒い靄を払おうとしていた。
しかし、黒い靄は香織を段々包みだし、地面の中に徐々に沈んでいく。
神様「おのれ!逃しはせん!」
神様が太陽より眩しい光を香織の頭の辺りに取り付ける。
黙って見ていた太郎突然怒りだした。周りに普通の人間がいたら大変な事になるくらいのオーラを放ち怒りに震え、空気が振動する。
香織が沈んでいく。それを見て太郎様は、地面にに渾身のパンチを何度も打ち付ける。
太郎「ウォーーーーーーーーーーーッ!」
ドッゴーーーーーン!
ドッゴーーーーーン!
ドッゴーーーーーン!
ドッゴーーーーーン!
地面は割れ、香織が沈んでいく場所は地面の中では無い事に気がつく。
神様「太郎!香織は空間転移をさせられている。今儂が香織にマーカーをつけたから、少しは落ち着け。」
太郎「し、しかし!」
香織は完全に消えてしまった。
神様「香織は大丈夫じゃて。すぐどうこうする奴らじゃない。いや、もし何かあれば儂の命に変えても助けるつもりじゃ。」
…………………。
太郎「あのぅ、ところであなたは一体。」
神様「お、忘れておった。儂はな…………」
ユーナ「ただ孫が可愛くて大好きなじじぃだよ。」
「「「「「「えっ?」」」」」
いつも最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
すみません。誤字脱字が多くて。もし見つけた時はスルーしてお読み下さい。
あと、皆様からの感想やご意見などもお待ちしています。




