第262話 見える?見えない。
あれから3時間後…………
神様「みんな気分はどうじゃ?」
勇者「うん、もう大丈夫だ!」
アン「辛かったわ。」
『我らももう大丈夫です。』
香織「ちょっと待って……………あれって何?」
神様「うん?」
勇者「どうした香織?」
香織「お兄ちゃん、ちょっとあれを見て!」
香織が何もない、草も木も生えておらず、丘や岩も無く、ただ何もない広く平な地面が遠くまで続く。そんなある方向を指を指した。
アン「うーん、何も見えないけど。」
勇者「香織、俺達には何も見えないが、香織には何が見えるんだ?」
香織「え?」
勇者「ええ?」
アン「なに?」
香織「おじいちゃんには見える?」
神様「これは大変じゃ。」
『これはまずいぞ。』
勇者「おじいちゃん、香織何が見えるんだ?」
香織「え?でもあれなんなの?ここ陸地だよね?」
「「は?」」
勇者とアンがハモる。
神様「うむ、香織の言う通りここは陸地だな。で、あれは……」
香織「どうみても、船だよね?」
「「えっ?」」
またハモる。
神様「間違いないようじゃ。しかもかなり大きいな。」
香織「しかも、あの数は……怖いんですけど。」
香織が怖いとかどの口が………ギャン!
香織「うるさい!」
す、すみません。
殴られました。
神様「まぁ、何事も無くここも抜けられるとは思ってはいなかったが。」
何事も無かった事ありましたっけ?
香織「ね、お兄ちゃん見えた?」
勇者「あ、い、いや。俺には見えないが、おじいちゃんと香織には見えるんだ?」
アン「古代竜達は?」
『我らは見えるが、しかしなぜ陸地に船など。』
神様「確にの。なぜ陸地に船が?なぜいさむやアンに見えないのか?」
香織「おじいちゃん、あれどうするの?」
神様「うむ、今の所こちらには危害は加えてはいないが、あの船の大きさと数はちと危険かもな。」
勇者「え、じゃあどうするの?」
神様「今は何もしないで少し様子を見るとするかの。」
香織「おじいちゃん、あれなんだと思う?私イヤな予感しかしないんだけど。」
神様「まぁ、様子を見るとしようかの。」
勇者「いや、でも俺とアンには見えないから、おじいちゃん俺達はどうすればいい?」
神様「そうじゃな。今から二人に身体強化の力をさらに使えるようにするか。その前に、隠れる場所も無いから、香織は一応みんなに結界を張ってくれるか。」
香織「わかった。白達みんなも少し集まって。」
みんなが香織を中心に集まった。そして、香織は結界を張った。
神様「いさむとアンのさらなる身体強化の前に、こちらの存在を見えないように。フンッ!」
神様が何やら香織の結界を被うように結界らしきものを張った。
香織「おじいちゃん、今のは?」
神様「香織が張った結界が向こうから分からないように、わしがさらに結果を上から張ったのじゃ。認識阻害の結界じゃ。」
香織「認識阻害?」
神様「その話はあとじゃ。今からいさむとアンに、今お主達が使っている身体強化の力を3倍にまで引き上げるから、使い過ぎには気をつけるのじゃ。いいな。」
勇者「3倍?」
アン「それって、もしかして私の肉体の限界をはるかに越えますよね?」
神様「そうじゃ。だから使い過ぎると急に体が動かなくなるな。いや、筋肉や腱や神経もボロボロになる危険もあるな。但し、今の力が限定的とはいえ最高3倍にまでにるのじゃ。常時3倍にまでにする事はないぞ。1.5倍とかでも今までとはかなり違うから、慎重にな。」
勇者「で、なんで今その力を?」
神様「わし達が見える物が見えないと困るかもしれんからじゃ。」
勇者「それは、身体強化をしないと見えないと。」
神様「そうじゃ。あっ、何も体全部の力を何倍にもする必要はないのじゃ。今回は目と耳じゃな。」
アン「それじゃあ、目と耳を身体強化の力を振り分ければ見えるようになると?」
神様「その通りじゃ。今からその力を上げるぞ。ンッ!」
勇者「……………どうすれば、あっ、」
アン「勇者、あ、あれって。」
神様「どうやら見えるようになったようじゃな。」
勇者「あ、あれが香織には最初から見えていたのか?」
香織「うん。」
勇者「信じられない、陸地に船が……………」
アン「勇者、何あれ?あ、あれが船なの?」
香織「それで。認識阻害の結界って?」
神様「わしらがあの船の一団が見えるって事は、向こうの船からもこちらが見える可能性は高いって事じゃ。だから向こうの船からこちらを見た時に、見えづらくする結界じゃ。完璧に見えないようにすると、力の波動が大きくなって逆に見つかる可能性があるからな。だから見えづらくする結界なら使う力も小さくて済むし、力の波動で見つかる事が少ない。」
香織「なるほど。でも見つかったら?」
神様「その時はその時でまた考える事にしようかの。」
香織「……………ふーん。じゃあ考えて。」
神様「?」
香織「多分見つかったよ。」
一瞬で緊張感がはしる。
勇者「船の一団がこっちに進路を向けてる。」
神様「困ったな。結界が何の役にもたたなんじゃ。」
香織「おじいちゃん、どうしよう?」
神様「そうじゃな。とりあえず船に人が乗っていたら話でもしてみるか。」
「「「そんな悠長な。」」」
香織「でも、こっちに来るまで少し時間かかりそうね。」
神様「ならいいが。」
船の一団が徐々に向かってくる。
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