第259話 本当の理由。
キーーーーーーーーン!
神様も勇者も、もちろん火のブレスが得意な古代竜も神様の張ったバリアーの内側で唖然、呆然としてた。
あまりにも強力な火魔法で、バリアーの外側の景色が一変していた。
そう、強力な火の嵐により何も無くなっていた。
神様「いきなり、なんちゅう魔法を放つのじゃ。」
勇者「こ、これは一体?」
バリアーの内側から外の景色がハッキリ見えてきた。
少し先に、小さなドーム状の結界を張っている場所があった。
段々と光が弱まり、結界が解けていった。
そこには、香織とアンが抱き合ったまま、横になっていた。
神様はバリアーを解いて、勇者と共に急いでその場に駆けつけた。
勇者「香織、アン、大丈夫かっ!」
神様「うむ、二人共なんとも無いようじゃ。」
勇者「良かった…………。」
神様「しかし、一体何があったのじゃろう?」
勇者は二人を放して、楽な形にそれぞれ寝かした。
勇者がふっと、何かに気がついた。
香織の服に黒い虫みたいな物がくっついていた。
何となく懐かしい感じがして、手を伸ばして、その虫みたいな物を香織の服から引き剥がした。まるで、木の蜜を求めて集まっているカブトムシやクワガタを採るように。
その虫を採りゆっくりとどんなクワガタか確認してみた。すると、勇者がいきなりその虫みたいな物を投げつけた。
勇者「Gかっ!気持ち悪ッ!おじいちゃん手を消毒したいから、アルコール出して!」
神様「………………はぁ。」
神様は懐からお酒を出して、勇者に渡した。
勇者「マジで気持ち悪い!」
勇者はお酒の蓋を開けて、触った手にかけて一生懸命手を洗っていた。いや、消毒していた。
神様「なるほどな。これじゃワシも同じ様な事をするかもな。」
神様と勇者はなぜ香織があんな強力な魔法を放ったかを理解した。
勇者「おじいちゃん、二人共どうする?今あった出来事の記憶だけ消すことできないかな?」
神様「バカ言うな。そんな都合がいい事………そうするか。」
「「「「「出来るのか!」」」」」
古代竜達が一斉にツッコミを入れた。
よく考えたら、何でもできる神様と女神様はかなり怖い存在だ。何でもできる。何でもできる………………。
勇者「おじいちゃんはやっぱ最強だね!」
勇者、誇らしげに神様を称える。しかし、神様がとても怖い存在だと思わないようだ。身内だからか?孫だからか?
しかし、古代竜達は違っていた。恐怖で身が縮む思いをしていた。
そんな事もお構い無しに、神様は香織とアンの頭を軽く触り、記憶を消したようだ。
神様「いさむ、二人を運んでくれ。少し場所を移動してそこで今日は夜営するぞ。二人は朝までは起きないからな。」
神様怖いです。軽く頭を触って記憶を消して、睡眠操作までするなんて。
勇者「OK、おじいちゃん。」
勇者、まったくこの怖さをわかっていなかった。逆に嬉しそうだった。
そして、びくびくしていた古代竜達と共に空に消えていった。
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