第16話 勇者と英雄と香織と古代竜
今日は短すぎました。
白い所が、たくさん。今日の天気のようです。
勇者とアンは言葉が出なかった。
この「テラ」には5頭の古代竜が存在するとされている。あくまで「存在するだろう。」と言うレベルで、いまだかって確認がされていない。
ただし、これはあくまでも人間族の間での話で、他の種族ではわずかながらの確認や存在は確認されてた。
なので、この世界に来てから10年以上になる勇者だが、初めて見た古代竜だった。
アンは、この世界の住人であるが、やはり初めて見た古代竜だった。
勇者がポツリと
「俺、古代竜はいると思ってたけど、なんで今同時に……」
アンは言葉が出ない。
しかし、勇者とアンはなぜこれ程の数のドリーン国の兵士がこの場にいるのかが不思議でならなかった。
ドリーン兵は古代竜に戦いを挑み続けているが、まったく相手にならない。
古代竜達によって、ドリーン国の兵士へと蹂躙劇が続く。
「アン、今のうちに逃げるぞ。」
「わかったわ。」
二人は古代竜達に見つからないように、気配を消してその場を走り出す。
しかし、勇者と英雄、二人は古代竜達を見て焦ったのだろうか。まだ生きていたドリーン国の兵士に見つかり、戦闘になってしまった
。当然二人程は、古代竜に見つかってしまった。
ドリーン兵を相手にしていた古代竜が1頭、また1頭と飛び上がり、次々と勇者と英雄の後を追いはじめた。
すぐに勇者が気づくが、すぐに古代竜に行く手を阻まれ、1頭、また1頭と勇者とアンのまわりに着地をする。
勇者はどうにかしてでも、せめて香織だけはなんとかしないと。そんな思いから香織を守るようにアンとの間に座らせ、剣を抜いた。すると、
「ほぅ、この娘が香織か。」
古代竜の1頭、金色の古代竜が突然喋りだし、勇者とアンは唖然とする。
なぜ、香織の事を知っているのか?
勇者とアンは思考が少しの間ストップしてしまった。
「うむ、お主が勇者で、後ろの娘が英雄のアンか。」
今度は銀色の古代竜が、自分達の名前まで言いはじめた。
勇者とアンは半分パニックだ。
(なんで、香織の事を知っていて、なぜ俺やアンの事まで……)
「なんで、我々がお主達を知っているか?かなり疑問のようだな。」
今度は黒い古代竜が自分達の考えを読まれた。
「取りあえず、剣を置け。我らと話をしようではないか。」
白色の古代竜に話かけられたが、アンは剣を構えたまま固まっていた。そこへさらに青色の古代竜に。
「ふたり共、取りあえず落ち着け。」
勇者とアンはやっと言われている事の意味がわかり、一言も発する事なく二人は剣を下ろした。
そして勇者とアンは、香織を抱えつつ座り込んでしまった。




