第15話 勇者とアンの力
今日は少し短くなってしまいました。(手抜きではありません。)
しかし、勇者とアンは、不幸続きです。
なるべく毎日更新目指してますので、ちょくちょく見てみて下さい。
出口側の扉が開かない。
ボス戦は終わったはずなのに。しかも予定外の強力な魔物を5体もあいてにして。しかしさ無情にも反対側の扉が開きだした。
「アン、マズイ!このままではドリーンの奴らと一緒にまたボス戦をするはめになる!俺が先頭に立つから香織を頼む。」
「ドリーンの奴らがどれぐらいいるか分からないが、一気に通り抜けないとまたボス部屋に閉じこめられる。しかし、なんでこんなことに。」
勇者はアンへ香織を渡す。香織はまだ目が覚めない。
「アン、今日は付き合わせて悪かったな。しかもなにか大変な事に巻き込んでるようだ。悪い。」
「もう、今更でしょう?それより来るよ!」
「取りあえず、待機場所の奴らに切り込んだら、そのあとは当分は一直線。この時にあれを奴らに……」
「ちょ、ちょっと勇者!ダンジョン内であれやるの?」
「もう、出し惜しみ無しだ。一気に行くから香織の事頼む。」
アンはしょうがない、とばかりにため息をついて、香織を背負いアンのサイノウの一つ「身体強化」「3倍速」を、そして勇者は、「身体強化三倍」「一騎当千」の発揮準備に入った。
扉が開かれた。
「おら~捕まえたぜ。」
「お~っ、やはりいい女がいるぜ!」
「この数には勝てねえだろうけど、頑張ってみな」
「いっひっひっひひ」
「がっははははは」
「残念でした!」
そこらじゅうから品の無い笑い声や罵声が飛び交う。しかしここで勇者は「一騎当千」を発揮。勇者の身体中から煙が出て、シュウシュウ音が出ている。
勇者が剣を構えた瞬間およそ1000本からなる光が勇者の剣を纏い、勇者はその剣を振り下ろした。剣から放たれた光はドリーンの兵士達に向かう!一瞬の事と、斬激とは違い音もなくドリーンの兵士達は消え、辺りには何も残ってはいなかった。
勇者とアンは、再び扉が閉まらないうちに待機場所にすぐに移動。ダンジョン通路を見ると、先ほど勇者が使った技に驚きと恐怖で 固まったままのドリーン兵がいる。
「チャンスだ!身体強化3倍!一騎当千!」
「身体強化!3倍速!」
チャンスとばかりに、二人は一気に勝負に出る。
勇者から3倍まで強化された肉体から放たれた一騎当千の光は、先ほどとは比べ物にならないほど強力だ。
ドリーン兵は声を出す暇もなく、次々に消滅していく。光が放たれたあと、二人は一気に出口まで飛ぶように走り出す。しかし、やはりダンジョン内で使った技が影響して、天井や壁が段々と崩れてくる。
(ちっ、急がないとダンジョンが持たないかも。)
随分進んだが、ドリーン兵が一人もいない。一騎当千、身体強化三倍で、ダンジョンが崩れ始め、それでもやっと地上光が見えてきた。
やっと、出口付近に戻ったころには、ダンジョンがガラガラと音を出しながら崩れていった。
勇者とアンはおよそ常人では考えられない程の早さで地上を目指す。
光が見えてきた。でも、外ではドリーン兵がかなりの数で包囲している可能性が高い。
「アン、外にはおそらくドリーンの奴らがかなりいると思う。俺が囮になるから、一気走り抜けろ。例の場所で落ち合おう。」
「…………わかったわ、香織の事は安心してまかせて。勇者無茶しないで。」
「あぁ、せっかく香織に会えたのに、こんな所で殺られる俺じゃないよ。」
二人の後ろで凄まじい音でダンジョンが は崩れていく。
そして、3人がやっと外に出てくる。
あれだけのスピードを出して走ってきた為にほっと、一息きつきたい気分だったのだがが、
しかし、二人は驚きと、恐怖が襲う!
そこにはドリーン兵の死体の山があった。
どう見ても、1000や2000ですむ数の死体の山ではない。桁が一つ、下手したら二つは違う!
文字通り、山だった。明らかに死体の山だ。
「なっ!」
勇者は何があったのか見当もつかない。
勇者とアンの気配関知で死体の山の向こう側を確認する。
そこは死の戦場と化していた。
勇者とアンはあまりの惨状とドリーン兵を相手にしている怪物を見て驚愕する。
黒、銀、金、白、青。
あり得ない光景だ。5色のドラゴンが圧倒的な力で、ドリーン兵を次々に死体の山に変えていく。
勇者とアンは、立ち止まったまま、その蹂躙劇を見つめていた。




