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 次の日の朝、部屋に来た王様は目を見開きました。


 部屋にあったわらがすべて金糸になっているのです。


 これがどういうことなのか王様にはよくわかりました。ですが、見張りに引っかからなかった、というのは気に食わないのです。


「よくやったな」


 王様にほめられたビアンカは、ほっとしました。これでようやく苦しみから解放されるのです。


 しかし物事はそう簡単にはいくものではありません。


「すばらしい! ではもっとつむげるな!」

「……え?」


 ビアンカが呆然としているうちに、城の召使いが昨日の倍ほどもある量のわらを持ってきました。


「明日の朝までにこれをつむいでおくように」


 さらりと言われ、ビアンカは気絶しそうになりました。ですが、気絶している場合ではありません。


「ではよろしくたのむぞ」


 王様はそう言って部屋を出て行きました。


 どうしよう、とビアンカはため息をつきました。昨日のことは奇跡だとビアンカも思っています。まさかあの小人も、二日連続でビアンカが難題をふっかけられてるなどとは思ってはいないでしょう。


 困っているうちに夜になり、ビアンカは今度こそ絶望しました。


 きっと明日の朝には処刑でしょう。これですべてが終わるのです。


 扉の外から規則正しい寝息が聞こえてきます。きっと見張りが寝ている声でしょう。うらやましい、とビアンカは思います。


 しかしため息をついたその時、窓が開いてあの小人が入って来たのです。


 まさか来てくれるとは思っていなかったビアンカは目を見開きます。


「こんばんは、ビアンカさん」

「こびと……さ……」


 ずっと緊張していたのでしょう。ビアンカの目からまた涙がこぼれます。


「泣きすぎだよ、ビアンカさん」


 そう言いながらも小人は昨日と同じように頭をなでてくれます。何故でしょう。この小人といるとほっとします。


「この量なら二つむぎくらいか……」


 ビアンカが泣いている間に小人は今日のわらの量を確認しています。


「では早速始めるよ。見張りが起きる前にね」


 どうして小人は見張りが寝ていることを知っているのでしょう。少しだけ疑問に思ったビアンカですが、それを口にする前に小人はさっさとわらをつむぎ、金糸にしてしまいました。昨日もそうですが、とんでもない早業です。


 これにはやはり対価が必要です。ビアンカは今度はネックレスを外し、小人に差し出しました。これは小さい頃に露店で気に入っておこづかいをためてがんばって買ったものですが、この優しい小人にあげるのなら苦になりません。


 小人もそれを分かっているのか、黙ってネックレスを受け取ってくれました。


「じゃあ、また明日」


 小人はそう言ってまた窓から出て行きました。

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