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ホラー

じゃんけんで鏡の自分に勝つ方法

作者: 山目 広介

 じゃんけんで鏡の自分に勝つことは通常不可能だ。

 だが、勝てる方法はある。まあ、不可能ではないって条件と主観によるっていうものだけど。


 まず月にコーナーリフレクターを置きます。ってこの部分でもうあれですが……

 月って部分は月まで光が1.3秒ほど掛るらしいから往復で2.6秒掛る。地上だと時間が早すぎるため、このぐらいは時間がいるかと思ってね。

 それでコーナーリフレクターってのは普通の鏡だと角度が厳しいため、ですね。


 次いで自分の指、せめて「じゃんけんの手」が判別できるだけの望遠鏡ですね。

 月に設置したコーナーリフレクターに映った自分の手が分からないと話になりませんからね。

 まず「手」を出します。「ぐー」でもなんでもいいです。

 次に最初の「手」に勝つ「手」を出します。それを2.6秒以内に出し続けます。

 これは遠くを見るということが過去を見るということだという意味から分かるでしょう。

 衛星通信のタイムラグのようなものです。








 これじゃあ、気に入りませんか?

 そうですね。では、別の方法をお教えしましょう。

 これは僕が幼いときに聞いた方法ですがね。

 三面鏡の前に行き、自分とじゃんけんをします。もちろん鏡なので相手も同じ手です。

 これも次に出す手はその前の手に勝つ手です。

 何度も繰り返すと横の鏡に映る自分がミスって負けます。

 それは無視しましょう。

 左右両方がミスっても無視です。

 三面全部がミスったら、あっちむいてほいっと言ってどこかに指を差し、三面鏡をそっと閉じてください。

 注意事項は負けないこと、です。


 簡単でしょ。

 ただ、負けるとどうなるか、がよく分かりません。




 これを聞いたのは父方の実家に法事で出かけたときです。

 同い年ぐらいの女の子が三面鏡の前でじゃんけんをしていました。

 その子に教えてもらった後に、親に呼ばれて席を外し、部屋へ戻った時、廊下から部屋の声が聞こえました。


「負けちゃった」


 すぐに部屋を覗くと、誰もいませんでした。

 その後、両親に聞いたのですが僕には同い年の親戚がいなかったのです。

 実は男の子とかそういうオチではなく、近い年の親戚がいませんでした。

 あの子はいったい誰だったのでしょう?





 負けたらどうなるか? 疑問に思いました。

 ある時、友人の家に招かれてそこに三面鏡がありました。

 その前で一人遊ぶ友人の弟にじゃんけんのことを話しました。残酷なことに、子供は疲れると同じ手を出したりしてしまうと考えて教えたのです。

 友人と遊ぶうちにそのことを僕は忘れました。

 そして友人の家にまたお邪魔した時思い出したので、友人に聞きました。


「弟どうしてる?」

「うん? 弟なんていないよ」

「…………」


 僕は怖くなりました。

 なにかの間違いで記憶違いを僕がしていたのでしょう。

 しかし当時は怖くなって、開いていた三面鏡を閉じました。

 閉じるとき、鏡の中の物陰に人影がいた、気が、しました。

 振り返っても物陰には何もありません。

 ただその人影は、いなくなった友人の弟に似ていた気がします。





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― 新着の感想 ―
[一言] いえ単純に後出しなので反則負けっていう話ですよ
[良い点] 拝読しました、とても不思議な作品ですね。 [一言] 酷く下らない事で申し訳ないですが実は鏡とのジャンケンは無条件に勝利するという話があります。 鏡に映る像は必ず物体に光が反射して…
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