メイグロック王国
メイグロックの中心部。とある酒場にて、酔っ払い噂話に花を咲かせている男たちがいた。
「そういや、3日前に捕まった元国王軍参謀の話だが間違いだったみたいだぜ。」
「だけど、その参謀は証拠を持っていたとか言ってたぞ?」
「実はハメられたって話だ。」
「誰に?」
「それがよー。…っぶふぁはははは」
「「ぶあははははっ」」
「この噂に便乗したんだろうなっ、くくっまだガキの小僧が参謀をはめてドラゴンも手に入れたと騒いでたよ。魔物使いらしくてなぁ、トカゲを連れてたよ。」
「ぅあははは、思い出すだけで笑っちまう。運良く兵士がいなくて助かったようだが、あのガキは今頃逃げ回ることになってたな。」
「マヌケなやつだな、俺ならうまく逃げたね。」
「バカだなお前は、逃げる前にバレないよう陰でするんだ。広場で馬鹿騒ぎしたら終わりだってんだよ。生命がいくつあってもここの国王軍からは逃げられねーよ。」
「どこの田舎もんだろうな、本当のところどうなんだ?」
「子供の遊びみたいなもんだろ」
突然、酒場の端で大きい音が聞こえる。立派な鎧装備に包まれた男たちが、机に拳を打ち下ろした音だ。小さな机の上にあるコップは倒れた。笑っていた酔っ払いは、一瞬で今の状況を理解し気が大きくなっていたことに後悔した。仕事を終えた後の褒美としてここにいた国王軍にとって、名を傷つけられ笑われているのが許せなかった。例え子供を笑っていたのだとしても、その話題に関わっていることすら許せないのだ。
最近の国王軍が、人々に煙たがられ嫌な目で見られているこの町では嫌な空気が流れている、このことも彼らを苛立たせている原因の1つだ。
メイグロックという国の中心に位置する町、そこにある広場。入国してすぐ、広場を見下ろせる位置に宿を1部屋借りる。ジークはその部屋で待機し、ロジ丸とラキを連れ広場に向かう。
夕刻前に子供や奥様方に、参謀を罠にはめたことやドラゴンが消えてしまったと噂を広めておいた。辺りが暗くなり、仕事帰りの男たちがこれから酒場に向かうため、広場を通り過ぎる瞬間を狙い大声で叫ぶ。こうして、全ての準備は整い国王軍に伝わるのを待つのみとなる。
たかが噂だが、元国王軍の醜態や誤認逮捕の可能性が広まれば放置できない。
そして翌日、今朝は早くからジークは食べ物を買いに行き、自分は部屋から町の様子を見張りながら動きがあるのをひたすら待つ。辺りは暗く人通りが減ったそんな時、酒場で何やら騒ぎがあったようだ。先ほどまで笑って飲んでいた男たちは、店の外に引っ張り出され国王軍に囲まれていた。
「噂の元はどこの誰だ?」
「しっ知らない、ここで騒いでたガキがいただけだ。」
「噂は子供や女房が聞いたって言ってた。俺たちは、何も知らない。」
「ではトカゲを連れた小僧がどこにいた?子供だろうが、事実は確かめなければいけない。」
「そのガキなら、広場にいた。男だった。トゲのあるトカゲと白い犬を連れていた。でも、本当なわけないだろ?」
「それはこちらが確かめる。情報を提供してくれたので、酒場の件はお互い水に流そう。」
鎧を着た男は、目の前にいる頬が腫れ上がった男にそう告げるとその場を去る。魔物を連れた少年の情報を集めるべく、解散した。
その状況の一部始終を広場の陰から覗き、静かに部屋へ戻りジークたちに伝える。
「うまくいってるみたいだな、ここからはササがどうにかするしかないけど…大丈夫なのか?」
「まあ何日かかるかわからないけど、死なないように頑張るよ。」
「ラキがついてるから大丈夫」
どこから来るのか、自信満々のラキと曖昧な返事の自分に不安になったのか、大きくため息を吐き明日に備え早めに休む。




