兄弟?-1
次の日平日だったので、学校に行かなければならなかった。なんだか教室が騒がしい。自分には関係のないことだと思い、自分の席のついた。読みかけの本でも読もうと文庫本を広げようとすると携帯を見せながらクラスメイトがこう言った。
「お前、なんでここに居たんだ?」
そこには、僕が映っていた。ちがう、“僕”じゃない。僕によく似た、いや、僕と血が繋がった兄弟のような僕とは全くちがう誰かのようだった。姿は似てるけれど、目がちがう。僕みたいに、現実から逃げていない。しっかり真っ直ぐな目をしている。
「これは、僕じゃないよ、このごろバイトが忙しくてどこにも行っていないんだ。僕に似た誰かじゃないかな?」
咄嗟に出た答えだ。自分の方が驚いている。こんなに似た人がいるだなんて...
「そうか、お前じゃないのか。焦ったじゃんーこんなとこにいるだなんてありえねぇよな。いきなり悪かった。」
クラスメイトは納得してくれたみたいだ。でもなんでこんなに似た人がいるのか、他人の空似だろうか。その時は深く考えずにほっておいた。
いつも通りの授業受け、昨日よりちょっと早く学校を出た。その時だった。
「お前が○○○か?」
「えっ...どなたですか?」
誰だか、本当にわからない。僕の知り合いなんて手で数えられるほどしかいないのに誰かが訪ねてくるなんてなんかの間違いじゃないか?そうと思いたい。
「俺はお前の兄弟といえばわかるか?」
目の前が一瞬見えなくなった。僕に兄弟?この人はいきなり何を言うんだ?