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空白  作者: 夏蝶
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今までは、

  人は、親から生まれ愛され成長する。そして、大人になり恋人ができ親となり子を愛す。

 そんな生き方が誰もが望むことだと思う。だけど、そんな綺麗なことだけでは収まらない。


 教室で話し声がする。

 まあ授業中だから先生か、当てられた生徒かどちらかだろう。僕は、空を見ながら思った。空は青くて、透き通っていて、雲が一つもない。もうすぐで、春が終わるだろう。風が、生ぬるい。その前に、ノートを取らないといけないなと思い、ノートを書き出す。授業が淡々と進んでいる。僕は、急いで書き出した。

「いつまで寝てるんだ、移動するぞ。」

 友達が、呼んでいる。僕の数少ない友達だ。僕は、こう言う。

「寝てるんじゃないよ、伏せてただけだ。」

「そうか、挨拶にも立たなかったやつがな。」

 友達は、そう言って笑う。僕は、友達のあとをついて行った。友達がまたこう言った。

「お前は、どうして逃げようとする。」

 僕は戸惑った。なんのことに対してか、授業なのか、友達作りなのか、それとも別のことなのか、思い当たるふしが多すぎて僕はこう言った。

「どうしてだろうね。」

 友達はそれ以上聞いてこなかった。まあ、教室についたからだろう。とりあえず、席につき外を見た。まだ、綺麗な空だった。それからしてまた授業が始まった。

 その後どうしていたか、ぼーとしていたよく覚えていない。HRが終わり、部活が始まっていた。僕は、部活に入っていないから家に帰るとした。夕方ごろの柔らかな日差しは校舎を照らし影ができる。それを呑気に見ながら、下駄箱でシューズを脱ぎ、靴を履き学校を出た。家に帰りながら夕日を見た。黄昏時なのかこの間授業で聞いた気がするけどこの時間が僕は好きなんだと思う。どこかの地方ではカタワレ時とゆうらしい。ゆっくりと日が沈むこと時は、空の色が少し時間をおいただけでも変わるから、飽きないと思った。なんだかんだいて僕は空が、空の色が好きなんだと思う。空が黒みを増してきた頃僕は家に着いた。学校から程遠い場所にあるわけでもないが、学校を出た時間が遅かったみたいだ。

「ただいま。」

 そう言って、鍵を開け家に入る。一人暮らしなのだから返してくれる人はいないよなと思い開けたはずなのだが、

『おかえり。』

 そう聞こえた。またか、と思うと同時にほっとする自分がいる。僕は、一人暮らしなのだが、1人?居候がいる。僕にしか見えてないそうだが、僕はその時ただただ驚いた。友達が来た時もいたが、友達には見えていなかったらしい。聞いてみたら

「何を言ってるんだ?まだ熱があるのだろう。」

 と寝かされた。熱で休んでいて来てくれた時だったからそう思うだろう。とりあえず、自分だけに見えるんだなと確信した。

『お前、今日は遅かったな。遂に、馬鹿すぎると先生に捕まったか!』

 とそいつは笑う。そいつは、120cmほどしかない小さな子供の姿だ、人間と少し違うのは現代とはかけ離れた和服を着ていることくらい、外見は子供のなんだけど中身は大人じゃないのかと疑うほどに喋ってくる。

「成績表は4か5だし、授業態度も良好。さらにはなんにも問題を起こさない優等生を捕まえる先生がいるかな?」

 と笑って見せた。正直、授業態度は悪いけれど。そいつは顔を真っ赤にしてこう言った。

『ふ、ふん!!別に自分には関係の無いことだ!』

 自分が負けと認めたくないらしい。

 僕がなんで一人暮らしなのかはただ単に、両親、親戚がいないからだ。正確に言えば、両親は何処かにいるらしいって聞いたけどホントの事はよく知らないし、知りたくもない。親戚は僕のことを、僕の両親をよく思ってないらしくあんまり近ずきたがらない。だからバイトできる高校に入り、なんとか自分で管理している。僕はもう子供じゃない。自分のことぐらいはできる。そろそろバイトに行かなければならない。さて、こいつをどうするか。とりあえず言ってみる。

「僕はこうそろそろバイトに行かなければならないが、お前はどうする?」

『ここにいる。』

 動くつもりは無いらしい。ならばこいつを留守番にしよう。

「わかった。ここにいるのはいいが帰るときは鍵を閉めろよ。」

 そう言って僕はドアを閉める。

 さっきとは、また違った群青色の空が広がっていた。何からも一人ぼっちになった気がして少しモヤッとした。

 僕がしているバイトはレストランだ。特にこの時間はディナーの時間で慌ただしい。僕はバイト服に着替え、注文を取りに行った。このレストランはかなり有名らしく、いつ見ても人が絶えない。そこで僕も慌ただしく駆け回った。注文を取りに行き厨房に言いに行き料理を出す。その繰り返しだ。今日もいつも通りの時間に閉店し、草刈機みたいなでっかい掃除機をかけたり、テーブルを拭いたりして仕事を終えた。店を来た頃には群青色だった空が真っ黒になっていた。薄くだが見える星が羨ましく見えた。ポツポツある電灯の光が地面に落ちて家に帰るとまだあいつがいた。飽きないやつだなと逆に関心するほどだ。

『自分は帰る』

 そう言ってあいつは帰った。僕の帰りを待っていたのだろうか、それとも気まぐれか、どちらでもいいが家に誰かがいるのは心地いい。夜ご飯はバイト先でまかないを食べたからあとは風呂でも入って勉強しようか。これほどに当たり障りない日が続いて欲しいと願い、僕は夜空を見上げ星を見た。街の明かりと星がキラキラと輝いていて僕には眩しかった。



 

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