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異世界ワープ~剣と魔法と魂の世界~  作者: キノコの山脈
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3話 魔法

鑑定と冒険者登録が終わったあと、俺は街の外に来ていた。街の外は草原になっていて殺風景な景色が続いている。その草原をぬけたところには林がある。さらに奥には山々が連なっている。ツバキとはギルドで別れて現在一人だ。時刻は午後六時。沈んでいく夕陽のなかで緑の草原は赤く燃え上がっている。


ここに来たのには二つ目的がある


一つ目はクエストをこなすためだ。現在一文無しで、宿に止まるどころか飯すら食べられない状態だ。このままでは死んでしまう。だからお金を稼ぐためにクエストを受けた。

収集系のクエストで難易度はD。このクエストは既に達成して、(ぶつ)をギルドに持っていくだけだ。


二つ目はある実験をするためだ。


「オープンザウィンドウ」

俺は右手に付けている指輪に向かって唱える。指輪はそれに応えかのように光り出す。

それと同時に頭の中に情報が流れくる。


クラス:魔剣士

クラスレベル:1

ステータス

MP:100/100

物攻:62

物防:24

魔攻:53

魔防:30

敏捷:40


スキル

スライムスレイヤー

無心


この指輪は生命エネルギーを分析し、ステータスを調べる。そして光信号でステータス情報を脳に送る機能があるのだ。


クラスは生まれた時から決まっていて、十八歳になると発現するらしい。

そしてクラスに応じてパラメータが上昇する。

俺のクラスは魔剣士。物攻と魔攻に特化した攻撃型で、前衛向きのクラスだ。一つ問題があるとすれば物理と魔法に対する耐性がかなり低いことだ。しかし、これは攻撃を喰らわなければ問題ない。


次にクラスレベルだ。これは生き物を殺すと経験値(ソウル)がもらえ、レベル上がる。ステータスはこのクラスレベルによるパラメータと元々のステータスの合計値となる。


元々のステータスは筋トレをすれば物攻が上がり、魔法をたくさん使えばMPや魔攻が上がる。しかし、元々のステータスとクラスレベルは別のため、レベルは上がらない。


最後にスキルだ。スキルと魔法は別物で、違いとしてはMP消費の有無がある。スキルはあくまで技術なのだ。ゆえにMPを消費しない。

それに対して魔法はMPを消費する。魔法は生物の身体に流れる生命エネルギーを利用して発現させることが出来る。つまりMP=生命エネルギーの量だ。


スキルに関して一つ気になることがあった。無心のスキルが発現したことには納得がいく。女性と話す時はいつも、心の中で無心と唱えて心を落ち着かせていたからだ。

問題は次のスライムスレイヤーだ。このスキルは死ぬ前にやっていたVRMMOで持っていたスキルなのだ。ガチャ運がない俺はよく爆死して、八つ当たりでスライムをオーバーキルしていた。それによって身につけた悲しいスキルをこの世界で持っているというのは偶然とは思えない。


そこで一つの仮説を立てた。それはVRMMOで使えた魔法やスキルをこの世界でも使えるのではないだろうかということだ。それがここにきた目的の二つ目につながる。


「『無心』」

一言唱える。心を落ち着か、集中するためだ。

魔法発動に必要なことはイメージ力だ。

自分が使いたい魔法をイメージする。

--紅色に燃える火。小さいながらも猛々しく燃える火。


「《イグニ》」

――ぼっ! ……しゅっ

俺は小さくガッツポーズを取る。出来た! 威力が低く過ぎて空中分解してしまったが、間違いなく今のは初期火魔法の《イグニ》だ。つまり、VRMMOの魔法をこの世界でも使うことが出来るということが分かった。

俺はステータス画面を再び開く。消費MPを確認するためだ。

MP:85/100


「あの威力で15も消費したのか。燃費悪すぎだろ……」

これでは《イグニ》の最上位魔法である《イググリムゾン》は使えないな。某モンスターみたいに、「〇〇を唱えた。しかしMPが足りない!」というかっこ悪いことになりたくない。


「燃費が悪いのは、《魂操(ソーサリー)》が未熟だからですよ」


――びくっ!

驚きのあまり背筋がピンっと伸びる。


「うわっ! びっくりした」

後ろを振り返ると若葉色のドレスを身にまとった女性が立っていた。

細いウエストにより強調された胸。流れるように伸びる金髪は夕陽にあたり、黄金色に光っている。聖女のごとき優しい表情と、流麗な佇まいについ見惚れてしまいそうだ。


「あ、びっくりさせてしまってごめんさない。凄く集中なさっていたみたいなので話しかけるタイミングを後ろで(うかが)っていました」

凄く丁寧な話し方だ。服装といい、佇まいといい。とごかの貴族なのだろうか?


「あ、こちらこそすいません。それより《魂操(ソーサリー)》とはなんですか?」


「魔法を発現させる上で大切な技術です。驚かせてしまったお詫びに少しだけレクチャーしましょうか?」


「え、いいんですか?」

魔法を使うことこそは出来たが、威力は低く、途中で消えてしまった。あれでは戦闘には役立たないだろう。とは言っても知識がない俺には一人でやる限界がある。だからありがたい話だ。


「はい。若者の頑張ってる姿を見てるとつい応援したくなってしまうのですよ」

そう言って女性は上品に笑った。

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