Episode7 消えた『ジェームズ旅行記』
3人はリドナーの家に着いた。
僕は本棚の中から『ジェームズ旅行記』を探そうとする。しかし...あれ...?ない!?確かここにあったはずなのに...!
別のところにあるかもしれないと思い、ほかの本棚を探してみる。ふとテーラとバーロンを見てみると仲良くトランプをしている。のんきな奴らだなと思いながら本探しを再開する(てか、アイツらいつのまにあんなに仲良くなったし)。
やっぱりない...。
どういうことだ!?僕はこの家からは持ちだしていないし、今朝は確かに見たのだ。
ということは石像のある場所に行って、再び家に戻ってくる間に誰かに取られたのだ。
「おい!2人とも!トランプなんかしてないでさっ...!」
と僕は言う。でも、彼らは気にも留めない。何度も訴えるうちにやっと口を聞いてくれた。
「なによ!?今トランプしてんだけど?」
と、テーラ。バーロンはうなずきながら
「そうだそうだ!」
と言う。
「君たちも遊んでないで一緒に探したらどうなんだ!?証拠の本を!」
と僕が言うと、2人そろってはぁ!?と言いたげな顔になる。
3人がかりで探したが、結局その本は見つからなかった。
「誰かに取られたんだよ!何か痕跡があるはずだ!」
と僕は言うが、彼らは呆れたという顔で
「元から証拠が無いからってそんな言い逃れするなんてホントに呆れたわ...。」
「そうだぞ!証拠がないなら最初から言えばいいのにな。」
と言う。
「言い逃れだとかそんなものじゃないよっ!確かな筋で言ってることなんだぞっ!?」
と僕は言うが、テーラは
「そういってまた証明できないんじゃないのぉ?」
と言って相手にしてくれない。2人はまたトランプを始めた。
はぁぁぁ...。コイツら全然信じてくれない。まぁ無理はない。僕はさっきから言い訳ばっかりだし、自分が彼らならきっと僕に呆れるだろう。
しかし、リドナーの推測は初めから全て正しかった。
『テールンの呪い』の話はほとんどが実話であったこと。そして、『ジェームズ旅行記』が誰かに奪われたということまでも。
だが、それらを彼らは知るよしもない。そして、アレクの野望に気付くよしもないのである。
* * * * *
クリスが帰って来た。写真集『ジェームズ旅行記』を持って。
「アレク様。旅行記を持って参りました。」
彼はそう言いながら手にあった本を差し出した。そんな彼に僕は
「ご苦労であった。ありがとな、クリス。」
とお礼を言う。
しかし...僕たちの野望にまだ気付きもしないなんてね。兄さん...。あなたはそんなに鈍い方だったでしょうか?