Episode4 武器と魔石と運命と
★今回初めて登場する怪物★
マグマドラゴン
島の東に位置するバッファル火山の火口に住む龍。強い信念を持つ者には召喚魔石を授ける。罪の無い者を襲うことはない。
■今回初めて登場する書物■
『バッファル書紀』(エルフ・著)
バッファル島の正式な歴史書。約1000年前から約100年前までの、バッファル島及びその周辺の島々の歴史が書かれている。島の長・ウォルトの家に置いてある。
●今回初めて登場するアイテム●
マリリンの水晶
マリリンが占いに使う水晶。太陽の光を受けると、七色に輝く。
クリスタルソード
青く輝くクリスタルの剣。剣にしては短いが、太陽の光を貯めて空斬を放つことができる。
グランドロングソード
とても長い剣。とても威力が高いが、剣の初心者には使いにくい。
ホーリーダガー
魔力を秘めたクリスタル製の短剣。とても斬れ味が良い。
召喚魔石
レジェンドモンスターを召喚できる魔石。マグマドラゴンが強い信念を持つものだけに授ける。
今日もリドナーの家からはテレビの音が聞こえてくる。
今、僕はニュースを見ている。そして、こんなニュースが流れ始める。
「えー...ただいま島の長・ウォルト様よりお知らせが届いて参りました。内容は...!?」
アナウンサーさんが大いに驚ろく。そして、汗をだらだら流しアナウンスを続ける。
「申し訳ございません。ニュースを続けます。えー...ウォルト様によりますと雷・風・大地の3大神の石像が壊されたそうです。」
えっ!?3大神の石像が!?まさか...!あの夜か...?あの夜は大地の神あたりに誰かがいた覚えがある(まぁ、真実かどうかはわからないが)。 僕はあの夜のことを必死で思い出そうとする。しかし、思い出せない。だが絶対にソイツが怪しい。よし、これからウォルト様に伝えに行こう!
ってことで僕はウォルト様のところへ行くことにした。バーロンに馬車で家に来てくれと電話したところあっさりOKをしてくれた。どうやら彼もあの夜、同じものを見、同じことを考えていたらしい。こう思ったんだけどどう?と、僕の考えを伝えてみると、彼はすぐそっちに行くからなと言った。その直後にはもう電話は切れていた。
そして、一瞬の沈黙...次に僕はマジかよ!考えていることが同じなんて...!と思った。バーロンと久しぶりに意見が合って少し嬉しくなった。
それから、何分かしてバーロンの馬車が僕の家の前に着いた。ん?この馬車...『TAXI』の表札が貼られていない?おいおい...。
「バーロン、それ自分の馬車か?」
と聞いてみると、彼は
「いいや、弟に貸してもらったものだ。」
と答える。
「やっぱりな。おかしいと思ったんだ。」
僕は微笑をしながらそう言う。
「ほら乗れ!最初からとばすぞ!手すりがねぇから地面にしっかりつかまっとけ!」
わかってるっつーの。と、今度は少し苦笑しながら馬車に乗る。そして、地面にしっかりつかまる。
「つかまったか?」
「捕まってねぇよ!」
「そういうことじゃないっ!地面につかまったかって聞いたんだ!」
「ハハハ...ごめんごめん。つかまったよ!」
「よし!行くぞっ!」
「あぁ!」
そう言った瞬間には馬車が高速で走り始める。僕はあまりのスピードで投げ飛ばされそうになりながらもバーロンに言う。
「なんで、手すりが無いんだよ!?」
と。本当になんでだよ!?すると、
「リドナー。そりゃぁ、お前。これがタクシーじゃないからだろ。」
僕は「タクシーじゃなかったら手すり無いのかよ!?」と言おうとしがやっぱりやめた。絶対バーロンはそうだ、と言いそうだからだ。
そしてそれから何分かすると、馬車に急にブレーキがかかった。僕は何も考える間もなく外へ投げ出される。
いてて...いったい何なんだよ!?急にブレーキなんかかけて
「おい、バーロン!てめぇ...」
言い切る前に彼は言う。
「すまん。前に人がいたもんでな...。」
と。僕はその人を許さないぞ...って...テーラさん!?
「ごめんなさい。急に止めたりして....」
私が言い切る前に、
「ごめんで済むと思うか!?もしかしたら、僕も君みたいなことになっていたかもしれないんだぞ!?」
リドナーさんは怒ってそう言う。それは無いでしょと思った私は、
「アハハ...大げさ過ぎですよ!リドナー...」
私が言い切る前に彼は
「大げさじゃない!僕はもしものことを言ったんだぞ!?」
と言う。なんか、オーロラみたいで面白い。アハハ...
「笑い事じゃない!」
と彼が言う。とまぁ、こんな賑やかな会話を続けながら目的地へ向かう(ちなみに私もウォルト様に用があった)。いや、会話というより喧嘩という方が妥当か?まぁ、どっちだって良い。私は彼が親しい友人の1人のであるかような気持ちを持っていたのだ。どっちにしたって、その気持ちが変わることは無いのだ。
* * * * *
その頃、ウォルトの家では...
マリリンが水晶で占いをしていたのだった。石像を壊したのが誰かを知るために。
しかし、石像を壊した者は出てこなかった。
その代わり、とある3人の影。そして、元に戻る石像。そんな画が交互に映る。それが繰り返される。えっ?なんなの?この3人が石像を元に戻すとでもいうの?その瞬間、私は、はっ!と息をのんで私は本棚からとある本を取り出す。
その本の表紙には金色に輝く行書体で書かれた題。そして、その下にはバッファル島のシンボルマークと島のシルエット。この本は『バッファル書記』と言って島の歴史書である。(本はすっぽりと埃を被っていて、長い間開かれていないことが想像できる)。
この本に似たようなことが書いてあったような...
そう思ってパラパラと本をめくってみる。
すると、あった...!およそ100年前に同じことがあったことが記されている。
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今より100年ほど前、3大神の石像元賢者により壊される。さらに、島の自然破壊され、秩序乱れる。
その日からバッファル死の島となる。
だが、そのとき3人の英雄現る。彼ら占い上手の賢者により導かれん。そして一人ずつ武器と魔石授かり、事件の元を断つ。
よって、失われた全てが再生す。
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ってことは石像を壊したのは今回も元賢者か?私は今一度元賢者の名前をを思い出してみる。
たしか、私の知っている限り2人いた。クリス、そしてジョーカーだった気がする。ん...?クリス?そうだ、クリスだ...!クリスは闇属性の魔法を使いこなしていた。しかし、魔力が高まり過ぎて力を奪われったんだった。だから、賢者ではなくなったんだ。その後も、さらに魔力が高まっていったのなら...もし、石像を守る結界の魔力をも超えるほどまで高まったのだとしたら...。簡単に結界は破られてしまう。なんて考えていると...
カラン、カラン
鐘が鳴った。私は玄関の扉を開ける。外には、なんと水晶に映っていた3人がいた(男が2人、女が1人だった)。私はなんだか意味が分からなかったが、とりあえず上がってといって彼らを家の中に入れる。入った瞬間、若い男剣士らしき子が
「もしかして、あなたがウォルト様?」
と聞いてきた。私は
「いいえ。私は7賢者の1人で、ウォルト様の秘書も務めている者です。」
と答える。すると、中年の男剣士が
「あれは『バッファル書記』か!?始めて見たぞ!」
と言った。
「はい、そうです。コチラは島の歴史書『バッファル書記』です。」
と私は返す。そうだこの人たちにあの事を伝えなきゃ...!
「あの...そちらの本、見せてもらってもいいでしょうか?」
今度は若い女の子がそう言った。私は礼儀正しい子ねと思いながら
「もちろんいいですよ。」
と返す。そして、彼女が本に手を伸ばそうとした瞬間...!
どっかっーん!
すさまじい爆風とともに、とてつもない邪気が巻き散る。私はとっさに水のシールドを作る。邪気が消え、シールドを解除すると、そこには...
元賢者のクリスがいた。
「フン...、ウォルトの家がこんなにもろかったとはな...。」
と、彼が言う。私は
「アンタ!何してんの!?」
と怒って言う。すると彼はニヤリとして
「おや...マリリンさんではないか。久しぶりだな...。」
と言う。そして、床に落ちていた『バッファル書記』を拾う。次の瞬間に彼は、消える。私は
「くっ...本を奪われた...!」
と苦笑する。でも、とりあえずあの事を伝えないと...!
「みなさん、私の話を聞いてください。」
と声をかけ、あの事を私は伝える。すると、彼らは
「本当ですか!?」
と声をそろえて驚く。
「とまぁ、そういうことで...お3方に冒険の旅に出てもらおうと思ったのですがどうですか?」
と私が尋ねると2人の男剣士はすんなりOKをしてくれた。しかし、もう1人の女の子は
「私、学校に通ってるんです。まだ卒業式が終わってないんです...。ごめんなさい。」
と言って、OKをしてくれなかった。まぁ、別に命令じゃないから良いんだけど。すると、彼女が訂正する。
「いえ...行きます。学校があの状態なら卒業式なんて無理です。だから、行かせてください。いや...行きたいです!」
と。
ってことで3人ともOKをしてくれた。私は彼らに棚にある武器を授ける。
若い男の剣士には魔力を秘めたクリスタルソードを、
中年の男の剣士にはグランドロングソードを。
若い女の子にはホーリーダガーを渡そうとしたのだが、彼女は
「いいえ...いりません。私にはこのナイフがあるので。」
と首を振って言った。ならいいかと思った私はそれを棚に戻す。
そして、次に私は『バッファル書記』に書かかれていた通り魔石を渡さなければと思ったのだが...
魔石って何だ?えっと...バッファル島で魔石と言えば...。魔石...魔石...魔石!?そうだ、思い出した。『召喚魔石』だ。
その魔石はバッファル火山に住むマグマドラゴンが持っている。強い信念を持つものだけに、成長すると最強の竜になるレジェンド・モンスターを召喚できる石を授かることができるのだ。
私はそのことを説明し火山に行くことにした(もちろん、瞬間移動で)。
占いが正しければこの3人は召喚魔石を授かるはずだ。私はそれだけを願って、それだけを祈って火山の外で待っていた。
何分かすると3人は1人ずつ魔石を持ってコチラにやって来た。マグマドラゴンからあの石を授かることができたのだ。やった...!と、嬉しくなった私は、
「おめでとうございます!」
と彼らを祝福し、瞬間移動で共にウォルト様の家に戻ったのである。
私は家に戻ると棚にあった3つの指輪を取り出し、それに彼らの魔石をはめる。
そして、3人をそれぞれの家へ送った。準備ができたらすぐ行ってねと告げて。
3大神の石像が壊され、とある3人がその真相を追う。これは、100年も前から決まっていた運命なのかもしれない。そう思った私は心の中で彼らに囁いた。バッファルの命運はあなた方にかかっていますよ。どうかご無事で...!と。
大変長くなりましたことをお詫び申し上げます。( TДT)
次話はできるだけ短くしたいと思います。