Episode12 地下牢からの脱出(中編)
◆今回初めて登場する登場人物◆
アラン(34)
地下倉庫の見張り役。かつて、シャインズ島にある、シャインズ城の衛兵長だった。
アイリ(25)
アスト村の人で、地下牢の鍵締係。最近、剣士に転職した美人な女性。
ロビン(40)
極悪人。だが、目は悪人らしくなく、それを見るとつい警戒が薄れてしまう。
★今回初めて登場する怪物★
レッドコブラ
リドナーが授かった赤の召喚魔石の中に封印されたレジェンドモンスター。
天井が見えてきた(正確にはマンホールだが...)。
僕はマンホールを少し開け、外を見る。そこは、あのコルクボードの紙に書かれていた通り倉庫だった。見張りはいない。それでも、罠じゃないという証拠にはならない。僕は用心して、慎重にマンホールから出た。
そして、後ろを見る。
そこには、木の棚があった。たくさんの荷物が入った籠の数々。それぞれの箱には3ケタの数字。
「牢屋の番号か?」
僕はそう呟く。試しに自分の牢屋の番号「091」の籠を探す(その数字は、鉄格子からドアを覗き見たときに知った)。すると...
あった!その箱の中には僕の剣と召喚魔石のはまった指輪。そして、ポーションがたくさん入ったポーチ。
カチャ、カチャ...
それらを取ると金属音が鳴った。そして、外にいた見張りに気づかれてしまう。
バタンとドアが開く。次に、中年の男性が目に映る。そして、
「お前、そこで何をしている!?」
と怒鳴られる。
クソッ!見つかったか!
僕は何か役に立つものはないかとポーチの中を探る。
「お...お前は...!どっから出て来やがった!?」
と彼は驚いている。
「さぁ、どこからでしょうか?」
僕は逆に聞き返す。すると彼は
「こっちが聞いてんだよ!」
とさっきよりもっと大きな声で怒鳴られる。
ん?これは...
卵色の液体入った瓶だ。
それは、眠りのポーションだった。僕は彼に向かってそれを投げた。
パリーン!
瓶が割れる。中から黄色いガスが出てきた。そして、それをまともに吸った彼は一瞬で眠りについた。
次に僕はテーラ、そして、バーロンの荷物を探す。
バーロンの荷物はすぐ見つかった。なぜって、彼の件ほど長いものはなかったからである。それらが入った籠の上には「110」の数字(同時に彼のいる牢屋は110番目だということがわかった)。僕は彼の荷物を全部担ぐ。
テーラの荷物を見つけるのに少し時間がかかった。なぜかというと、彼女と同じようなナイフはたくさんあって、区別ができるものは青く輝く召喚魔石だけだったからだ。そして、籠の上には「105」の数字(同時に彼女は105番牢屋にいることがわかった)。
倉庫から出るとまず、正面に55番牢屋が見えた。つまり、テーラの牢屋が一番近いか...。
そう思った僕は突き当りを右に曲がる。すると...
運の悪いことに牢屋の鍵締係の村人に出くわしてしまった。そして剣で襲ってきた。しかし、僕はそれをサラッとかわし後ろから、その人の頭を蹴る。するとその人は気絶した。そして、鍵を奪った(これから島を救うものとして非常に情けないとは思ったが、そうするしかなかった)。
そして、そんな僕に囚人である男性が話しかけてきた。
「おい、君!ココから出してくれよぉ...。」
「でも、僕は今から仲間を...」
僕が言い切る前に、彼が口を開く。
「頼むよ!私が悪人だと思うのならこの目を見てくれよ!」
そう言われて僕はその人の目を見る。それは、嘘などついてないような、怒りや憎しみなどに侵されていないような、澄み渡った目だった。僕は彼を信じ、鍵を開けてやった。その人が外に出てきた瞬間...
....!?
いきなり、僕の首を絞めてきた。僕は必死で暴れて、振り払おうとする。が、力が強すぎる。このままでは死んでしまう。
「フフフ...騙されたな。少年よ!どうだ?この目は。警戒できないだろ?」
と彼は言う。そして、
「鍵を渡してくれれば、お前の脱獄を手伝ってやろう。どうだ?悪くない話だろ?」
とも言う。あぁあ。渡せばいいんでしょ?渡せば!そう思った僕は鍵を渡した。
「賢明だ。」
彼は僕をほめてくれた(全然嬉しくなかったけど)。
鍵を渡して、首から手が離れた瞬間、僕は指輪から召喚魔石を外し地面に叩きつけた(召喚方法は記憶済みだったが、これが初めてであった)。魔石が地面に着いた瞬間、赤色の魔法陣が現れ、中から火のエレメントドラゴンの赤ちゃん・レッドコブラが出てきた。
「ソイツにかみつけ!」
僕は叫ぶ。そしてレッドコブラは彼に嚙みついた。すると、アイタッと悲鳴を上げて一瞬ひるんだ。僕はスキができた彼を牢屋の中に蹴り倒し、即座にドアを閉め、魔石にレッドコブラを戻して指輪にはめた。
やっと、テーラの牢屋の前に着いた。
「リドナー...なの?鍵を持ってるの...?」
僕が見えた瞬間、彼女が聞いてきた。
「あぁ。今開けるよ!」
僕はそう言い、鍵を開けてやった。すると...
彼女は僕に抱き着いてきた。よかった、よかったと言いながら。
「う、うわっ~!」
僕は思わず叫ぶ。 すると、彼女はすぐに手を放した。そして、
「ご...ごめん...。助けに来てくれたのが嬉しくって...。」
と、少し赤くなりながら言った。そんなテーラを見て、恥ずかしいのはこっちだし。そして、気づけば
「えっ...いや別にいいけど...。」
僕まで顔を赤くしてそう言っていた。
そして、しばらくの沈黙。僕はそんな気まずい空気を破るため、
「さ...さぁ...行こう。バーロンを助けに...。」
愛想笑いをしながら言う。すると
「え...えぇ。」
彼女が少し遅れてそう返事をした。そりゃそうだよな。あんなことがあったんだから...
って、ダ...ダメだ、ダメだ。考えただけで恥ずかしい(恥ずかしすぎてテーラを助けたことが賢明では無かったかのように思うほどだった)。
僕は彼女と距離を取る。彼女も距離を取る。そして僕たちは、無言のままバーロンがいるはずの110番牢屋に向かって歩き出した。




