象徴詩『保健師』
偽善嗜好性の領野を
カツカツと徘徊する
スーツで隠す
艶やかな白い肌
黒い臓物
我が名を配る
超然と指示する
汚染地図に赤は鼠
寄生虫
ダニ
虱
増え続ける
物象化したものを探して回る
それはキノコの類
糞尿の寝床に生える
豚共の鼻に引っ掛かる
滞納
停止
暗闇
壁の薄い汚穢鳥の巣箱
餌を捕る力は無く鳴く哭く
菓子パンの袋
アルコールの缶
グラビア雑誌
精液に塗れた二次元の少女
歯の無い腔
腐敗臭
喉の奥から
胞子を吐き
空気は黄色
細菌絨毯が踵を腐蝕し
足首まで痒くなる
葡萄玉の産卵
紅斑の縁取りは疣
落ち窪んだ硝子玉
血走った骨
剥き出した陰茎の垢
勃起した社会の澱
生物の終わり
腫れて回らない舌で懇願される
動かない四肢で哀願される
悦に入る保健師
仮面を被った微笑
習った顔の高慢と快感
ああ人質を囲っている気分だ
ああ世界を支配した気分だ
私はオマエの神だ