どん底から30年目
西暦2045年 山田耕一、55歳
「神様、どうか助けてください。」
日本の総理大臣、山田耕一は、今、窮地に立たされ、神に助けを求めていた。
発電システムの会社も軌道に乗り、僕の会社の発電システムが世界の発電の3分の一を占めるほどに成長し、成功した。
報道の自由も回復され、真実の報道がなされている今、世界はイスラエルに対して好意的になってきている。
神の愛される、神の選ばれた民、イスラエルの幸せは、僕たち神に創られた人間にとっての幸せなのかもしれない。理屈抜きで僕は嬉しいし、神を、そして、イスラエルを愛している。
僕は48歳で選挙に出馬し、55歳の今は日本の総理大臣になっている。
神の約束はことごとく実現されてきている。
そして、今、僕は、窮地に陥っている。政治の世界は僕が思っているより、色々複雑なしがらみがあって、僕に与えられたミッションがひとつも実行できないのではないかと不安で眠れない夜が続いている。
神を喜び、神にも喜ばれる、そんな国づくりを僕は目指している。かつては国を挙げて侵略戦争を仕掛けた日本が、今度は国を挙げて、世界の平和のために、本当の神の子供として働く国になる事を願い、それを目標としている。
かつて満州で祝福の民ユダヤ人の能力の高さ、優秀さを自分たちの利益のために利用しようとした日本。
偶像礼拝とは神より上の立場に立ち、神を自分の利益のために利用しようとすることである。
あの日、失恋、失業のどん底の僕が、そうなるまえにしていたことがまさにそうであるように……
イスラエルの祝福、聖書の真実の神の祝福、そんなことばかり求めて、肝心の愛がどこかへ行ってしまっていた。神の祝福を求めることが悪いことではないと思うが、そこに神への愛が無ければ、聖書に書いてあるとおりに『愛が無ければ何をしてもむなしい。』のである。