人生のどん底2年目
西暦2016年 山田耕一、26歳
「あ~、仕事やめたいな。」
って、今、僕は無職だった。仕事をしていたときの口癖が、やめた後も出るとは、、、。仕事をしているときには、1人になると、僕はいつもこれが口癖だった。そんな言葉が口癖になるくらいなのだから、今になって考えると、相当、僕に合っていない仕事を無理してがんばって、よく3年も耐えて働いていたなと思う。しかし、失業、失恋がダブルで来るとは、全く予想していなかったな。
『神は真実な方ですから、あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます。』と、聖書に書いてある事は、本当だった。こんな試練に、僕は耐える事が出来ているんだから、、、。世の中には、もっと辛い目に会っている人もいるだろう。だけど、僕にとっては、この試練が自分の限界ギリギリだと感じた。
まさか、僕が失業保険や、職安のお世話に、こんなにたくさんなる日がくるとは、夢にも思わなかったな。最近は、定年までひとつの会社で働く人は少なくなってきているらしい。どんなところへ行ってもやっていける忍耐強くて、人柄の良い人材が求められているという。この機会に、自分に本当に合った仕事に出会えたらいいと思う。
最近、僕がはまっているのは、いわゆる”二次元”。
昔は、アニメ好きの妹を”アニメオタッキー”と呼んでバカにしていた僕が、今ではその妹に、「お兄ちゃん、漫画やアニメにはまりすぎ!どうしたの?」と言われるほどになってきている。そして、今、僕は世界中の二次元オタクの方々に心からお詫び申し上げたいと思っている。なぜなら、漫画やアニメの中には、愛と、感動と、勇気と、希望、、、そのような人生に輝きを与えてくれる、まばゆいばかりの光のシャワーが降り注がれていたからである。
神がこの世界を創造されたように、神の似姿に創造された人間も、素晴らしいものを、創造する事ができる。そして、その作品によって、僕のように、人生のどん底と思えるような場所で、もがき苦しんでいた人間に、光が与えられ、救われた人がたくさんいるはずだ。
今までは、不毛、不必要と、見下して考えていたものの中に、大切なものが隠されていた。僕の高慢は、”二次元”を通して語られる、神の愛により、粉々に砕かれた。そして、僕は、本当の意味でへりくだった人間へと変えられたのではないかと思う。合理主義で、自分の利益だけを考えていた冷たい考えの僕の心が、神の愛の光で明るく照らされ、暖められた。
以前の僕は、正直、”二次元なんて、、、”と思っていたが、実はそこに、信じる事の大切さ、お金では得られない大切なもの、愛こそ人間に必要なもの、、、、などなど、、、今の僕に必要な事がたくさん記されていた。
もしかすると、”二次元”は、僕にとって、神様が備えて下さった脱出の道だったのかもしれない、、、。