謁見と復活
「あれ? ケイと一緒に部屋に入ったはずじゃ…」
「そうだよ、部屋に入ったはずだよね」
「あの~。もしかして私達は部屋に入れなかったのでしょうか?」
制御室から出た僕は、亜空間の通路トラップから解放されたエステル、リリー、ミシェルの三人と合流した。
亜空間の通路トラップに囚われていた間は時間が凍結されていたのか、三人は僕が制御室に入ったところで記憶が途切れていた。
「ああ、僕しか部屋に入れなかったんだ。でもちゃんと証拠のアイテムは手に入れてきたよ」
僕は外部装甲の小物入れからゴルフボールぐらいの大きさの水晶玉を取り出して、三人に見せた。
「これが証拠? 巨人じゃないの?」
「遠見の水晶玉というマジックアイテムでしょうか?」
「きれいな物だね。こりゃ高く売れそうだ」
「いや、ミシェルさん。これは売りませんから」
ミシェルの目が盗賊モードになっていたので、釘を刺しておく。
「どうやって使うの?」
「えーっと、こうやって僕が念じると…」
三人がどうやって使うのか興味津々なので、僕は使ってみせることにした。
(まず、ストレージから"不死の蛇"が降臨した時の動画データを選択して…魔力を伝達するようにして、データを送信するんだっけ)
ロンパンが教えてくれた手順に従って、動画データをマジックアイテムに送る。
《外部デバイスにデータを送信します。しばらくお待ち下さい》
するとログが表示され、データが転送され始めた。
そして転送が完了すると、水晶玉の上に60インチほどのスクリーンが出現して動画が再生され始めた。映し出された動画は、小人達のこだわりか、フルハイビジョンの上を行く4k解像度であった。
「うぁー、凄い。絵が動いてるよ」
「邪神降臨の光景ですね。まるで見てきたようです」
「これなら、証拠として十分だね」
この世界には当然テレビと言った物は無い。三人は食い入るようにスクリーンに映される動画を見ていた。
◇
地下迷宮を出ると、外は月が暗くなり太陽が輝き出すまでひときわ暗くなる時間帯であった。
迷宮への入り口を警護していた兵隊は交代しており、僕達が地下迷宮から出てくると、「まだ封鎖中だったはずだが?」と驚いて誰何してきた。
ルーフェン伯爵から迷宮に入ることの許可をもらった旨を告げたところ、入るときに応対してくれた兵士が戻ってきて説明してくれ、事なきを得た。
「明るくなってから出発かな?」
「今から王都に向かえば、朝の混雑時期の前に門にたどり着けるんじゃないかな?」
「そうですね。今日から地下迷宮が解放されるなら、混雑する前に門をくぐりたいですね」
エステル達は僕と一緒に王都に戻るつもりらしく、出発するタイミングを話し合っていた。
「エステル達三人にはこのまま地下迷宮の入り口で待っていてほしいんだけど…駄目かな?」
しかし、僕は三人に地下迷宮の入り口で待っていてもらうつもりだと話した。
「えっ?」x3
僕にそう言われた三人が驚く。
「途中で僕を狙った暗殺者が襲ってくるかも…いやきっと襲ってくるだろう。そのとき、僕だけなら暗殺者を振り切って王宮までたどり着けるから…済まないけど、エステル達はここに残ってほしい」
そう言われて、三人は悔しそうにしながらもここに残ることを納得してくれた。
「王宮で疑いが晴れたら、エミリーを連れてもう一度地下迷宮に入りに戻ってくるよ」
そう三人に言い残すと、僕は空が一際暗くなるのを見計らって王都に向かって走り出した。
◇
予想通り地下迷宮から王都への道中で、僕は貴族に雇われた冒険者や暗殺者に襲われた。
「貴様がサハシか、迷宮に向かったと聞いて待っていた。こら、無視するな待て~」
「待てと言われて待つ人なんていないでしょう~」
前に立ちふさがる冒険者に対して、僕は足を止めることなくその横を猛スピードで走り抜けていった。冒険者の足では僕の走る速度に付いてこられるわけもなく、そのまま置き去りとなる。
また、道に人影が無くなると今度は暗殺者が襲ってきた。彼等は弓やクロスボウによる狙撃をしてきた。また通りすがりの商人のふりをして、突然斬りかかってきた。
狙撃の矢を軽々と避け、襲いかかってきた者は拳で叩き伏せて、まさに鎧袖一触という感じで進んでいった。
マラソン選手を少し越えるスピードで地下迷宮から王都の門まで走り抜けた僕は、人通りの少ない門を駆け足で抜けて王都に入った。
王都は、日が明るくなる前だというのに大通りで露店や屋台の場所取りなど、朝市の準備する人が大勢街に出ていた。
(これだけ人が多いなら早々襲ってこないはず。このまま大通りを通って王宮まで行こう)
大通りの人混みを縫うようにして僕は早足で歩き出した。
◇
「ふぅ~。まさか暴れ馬とか漫画のような手で来るとは思わなかったよ」
王宮の正面の門にたどり着いた僕は、かいてもいない汗をぬぐってしまった。
人通りの多い道を歩いていれば大丈夫だと思ったのだが、まさか馬の暴走を装って襲ってくるとは予想していなかった。危うく関係ない人を巻き込んでしまうところであった。
もちろん、僕は馬に蹂躙されるほどのろまではない。しかし僕が避けると後ろで露店の準備をしていたお姉さんが馬にはね飛ばされるという状況では、僕に馬を避けるという選択肢はなかった。
(周りは人で一杯だ。投げ飛ばすことも難しい。ここは馬を受け止めるしかないか…)
《主動力:賢者の石 出力2.0%で稼働します》
とっさに出力を上げて僕は馬の足を掴むとそのまま突進を受け止めた。
体重差のためにはじき飛ばされそうになるが、大地に足をめり込ませて何とか踏みとどまった。
馬を暴走させた犯人は、僕が馬を押さえ込むのを見て慌てて逃げ出した。周りの人を巻き込むテロのような行為に怒った僕は、犯人を捕まえようとしたのだが、助けたお姉さんが僕にしがみついてきたので、取り逃がしてしまった。
その後、馬を取り押さえたことで周囲の注目を浴びてしまった僕は、「お名前を~」と叫ぶお姉さんをおいて慌ててそこから逃げ出した。
それから後は、大通りを進むのを止めて人通りの少ない路地を選んで走り抜けた。途中何度か曲がり損ねて家の壁に穴を開けてしまったが、それは仕方が無かったと目を瞑る。
王宮正面の門番は、早朝から正面の門にやって来た僕のことを不審人物だと思ったのか、槍を構えてきた。
「すいませんが、ルーフェン伯爵にお取り次ぎをお願いします」
僕がルーフェン伯爵から貰った家紋入りの手形を渡すと、彼は敬礼して王宮内に入れてくれた。
◇
ルーフェン伯爵の執務室に通されると、僕は暫し待たされた。
三十分ほどしてルーフェン伯爵が執務室に現れた。ルーフェン伯爵は早朝にもかかわらず、ビシッと服装と髪型が決まっていた。
「サハシよ、もう戻ってきたのか? 昨日迷宮に入ると言っておったが、気でも変わったのか?」
「いえ、昨晩の間に地下迷宮に入って、今朝戻ってきました」
「と、言うことは…もう証拠が手に入ったのか?」
ルーフェン伯爵は驚く。
僕は小物入れから水晶玉を取り出し伯爵に差し出した。
「これが証拠となる魔法のアイテムです」
驚きが覚めぬまま、ルーフェン伯爵は水晶玉を手にとってしげしげと眺める。
「ほう。綺麗な水晶玉だな。しかし、これにソフィアが邪教徒、いやリッチとなってしまった事の証拠が入っているのか?」
「はい。失礼します」
ルーフェン伯爵から水晶玉を受け取り、手のひらに載せるとソフィアがリッチと変化した際の動画データを送り込み再生する。
ルーフェン伯爵はスクリーンに映し出される動画に驚き、次にその内容を食い入る様に見つめていた。
「おぉ、絵が動いておる。…なるほど、ソフィア夫人はこうやってリッチとなったのか。うむ、良く分かる。…しかしもの凄いアイテムであるな。これは、お主が話していた巨人が持っていた物か?」
「ええ、幸いなことに巨人はまだ部屋にいました。倒したところ、これが出てきました」
実際は小人達に作って貰った物だが、そんなことはルーフェン伯爵には話せない。
「この証拠があれば、我らにかけられた嫌疑も晴らせるであろう。…うむ、早速国王陛下に御覧になっていただこう」
ルーフェン伯爵は水晶玉を持って行こうとしたが、それを僕は押しとどめた。
「伯爵様。この水晶玉のマジックアイテムを操作できるのは僕だけなのです」
「ぬ、そうなのか? そうなると、またお主を国王陛下との謁見の場に連れて行く必要があるのか。…ええい、どうせじゃ、あの場にいた者を全て集めてしまうとするか。済まぬが国王陛下との謁見が可能となるまで待たせるぞ」
即断即決でルーフェン伯爵は段取りを決めたようで、慌てて執務室を出て行こうとする。
そんな伯爵に対して僕は、
「それは分かりましたが、実はまだお願いしたいことが…」
とお願いしたのだが、
「そちらの方はグレースに任せる~」
そう言い残して、ルーフェン伯爵は執務室を飛び出していった。
ルーフェン伯爵と入れ替わりにグレースと侍女らしき女性が数名部屋に入ってきた。
侍女はパンやスープと言った朝食を載せた台車を押して、料理をテーブルに並べていく。
早朝だったのでルーフェン伯爵は朝食をとっておらず、ここで僕と食べるつもりだったようだ。
「伯爵様が慌てて出て行かれましたが、もしかしてもう証拠を持ってこられたのですか?」
「ええ、これがそうです」
グレースにも水晶玉を見せて、説明を行う。また、ソフィア派の貴族達による暗殺者や冒険者の派遣を止めさせるようにして欲しい旨を伝えた。
「ソフィア派の貴族による暗殺者ですか…。工作はできるとは思います。ですが、ソフィア夫人が邪教徒であったことを国王陛下の名の下に発表されれば、そのような事は直ぐに無くなるでしょう」
「そうなのでしょうか?」
「ええ、もしソフィア夫人が邪教徒であった事が正式に発表され、それでもサハシ様を狙うとなれば、その方は邪教徒の疑いをかけられます。邪教徒として疑われる危険を冒す者はいないので、慌てて依頼を取り消すでしょう」
「それは良かった。…後、僕のパーティのメンバーが地下迷宮の入り口で待っています。彼女たちに僕が国王陛下への報告を済ませるまで待っていて欲しいと伝えてください」
「了解しましたわ。その旨伝えさせます」
◇
ルーフェン伯爵が準備してくれた朝食を取った後、僕は別室で仮眠を取らせてもらった。ソフィアとの電子戦から一睡もしていなかったので、疲れていたのだ。
「…シ様。サハシ様。伯爵様がお呼びです」
「ん?」
先ほど朝食を運んできた侍女が呼ぶ声で僕は目を覚ました。内蔵時計を見ると、時刻は13時と昼過ぎであった。
僕が目覚めたのを確認した侍女は、部屋を退出し、誰かを呼びに行った。
その間に僕は身支度を調え、脱いでいた外部装甲を身に付けた。もちろん小物入れを確認して、水晶玉があることを確認する。
次に入ってきたのはグレースであった。
「お目覚めでしょうか? 伯爵様からサハシ様を謁見の間にお連れするようにと仰せつかっております」
「はい、目は覚めました。…謁見が決まるのが、意外と早かったですね」
「ええ、伯爵様も頑張られたみたいです」
ともあれ、国王陛下との謁見が決まったので、僕はグレースに案内され再び謁見の間に赴くことになった。
◇
「うぁ、貴族様が大漁だね」
僕は誰にも聞こえないように呟く。
謁見の間に入ると、前回の数倍の貴族や官僚達がいた。
これだけの出席者が集まったのは、ルーフェン伯爵が頑張ったおかげもあるが、実はロベール殿下が、ルーフェン伯爵を糾弾するために密かに貴族達に招集をかけていた為であった。
つまりここでソフィアが邪教徒であった事を立証できなければ、そのままルーフェン伯爵の糾弾の場となるのだ。
王座の方を見ると、王を挟んで左側にルーフェン伯爵が、右側にロベールが立っている。つまり貴族達は指示している方に座っているとみて良いのだろう。
ルーフェン伯爵を指示しているのは年寄りか、大貴族らしい物が多く、ロベール側には若い貴族達が集まっていた。もちろん、ウーゴ将軍、アナスタシア・カレーラス伯爵夫人、宮廷魔術師のギデオンもその中に並んでいた。
(紅白じゃあるまいし、そこまで綺麗に分かれなくても…)
そのような感想を抱きながら、僕はグレースの後に続いてウード四世の前に進んでいった。
僕とグレースが臣下の礼を取った後、ルーフェン伯爵がウード四世の前に進み出る。
「国王陛下。サハシが持ってきた証拠を御覧にいれます。サハシよ!」
「はっ。国王陛下、これを御覧ください」
僕は水晶玉を取り出すと、ロベール殿下と三人は薄笑いを浮かべる。ただの水晶玉が何の証拠になるかということだろう。
しかしその薄笑いは、僕が邪神降臨からソフィアがリッチに変身するまでの光景を映し出したとたん消え去った。
「おぉ凄い」
「あれが邪神か…」
「ソフィア夫人があのような姿に」
「しかし、邪神は勝手に帰ったようですが?」
「王都で出回っている、あの絵とは内容が違うようで」
ウード四世と周りの貴族達は映し出された映像にくぎ付けとなり、そしてその内容に驚き騒ぎ出す。
動画は、ソフィアがリッチとなったところで終わる。これ以上映し出すと僕がソフィアと戦っている場面となってしまうからである。
「…サハシとやら、今余が見たことは本当のことなのか?」
「はっ、国王陛下。全て事実にございます。この水晶玉は邪神が降臨し、ソフィア夫人がリッチと変わってしまった場所にいた、巨人から取り出した魔法のアイテムでございます。巨人の一部には、このように自分の見た物を記憶して映し出す魔法のアイテムを持つ物がいるのでございます。今回はそれを探し出して参りました」
「余はそのような話は聞いたことがないのじゃが…」
「黒鋼鎧巨人からごくまれに出る魔法のアイテムです」
「黒鋼鎧巨人からとな。サハシは、まさか黒鋼鎧巨人を倒してその魔法のアイテムを入手したというのか」
僕が黒鋼鎧巨人を倒したと聞いて、ウード四世は驚く。貴族達の何人かとウーゴ将軍、宮廷魔術師のギデオンも驚いた顔をしていた。
(あれ? 黒鋼鎧巨人って倒すのが面倒だからみんな避けてるけど、上級の冒険者なら倒せるよね)
僕は上級冒険者であれば黒鋼鎧巨人を倒すのは可能だと思っていた。しかし、上級冒険者であればそのような危険なことはしないため、ここ数百年で黒鋼鎧巨人を倒したという事実が確認されたのは、3件しか無かったのだ。
その事実を知る人は、僕が黒鋼鎧巨人を倒した聞いて驚いていたのだった。
「国王陛下。御覧になったように、ソフィア夫人は邪神の力でリッチとなりました。そしてリッチとなってしまったソフィア夫人は魔獣として討伐されてしまったのです。これで私がソフィア夫人を謀殺したなどと言う話は根も葉もない嘘であるとおわかりになったと思います」
そこに、うまい具合にルーフェン伯爵が割り込んできてくれた。
「う、うむ。これだけの証拠があれば、そのような話が根も葉もない嘘であると言えるだろう。そうだなロベール!」
ウード四世に言われ、ロベール殿下が唇を噛んで下を向く。
が、直ぐに顔を上げると、
「父上、あのような物は幻…偽りでございます」
と言い切った。
(えっ? あれを見ても信じないのか…)
僕だけでは無く、ロベール側の貴族達も驚いた顔をしている。
「ロベールよ。先ほどの光景が偽りと言うか。ならばそれ以上の証拠をお前は持っておるのか?」
ウード四世は、強情を張るロベールにあきれた顔で尋ねる。
「証拠ならあります」
それに対してロベールは証拠があると言い切った。
彼が合図すると、謁見の間の扉が開かれ鎖につながれた女性が、兵士に連行されて入ってきた。
(あのローブ姿は…)
見覚えのあるローブ姿の女性は、僕が地下迷宮から連行してきた"不死の蛇"の神官の一人であった。
「父上、この者が真実を語ってくれるでしょう」
どうやらロベールは、"不死の蛇"の女性神官に何事か証言させるつもりのようだった。
(どう見ても、嘘の証言をさせるつもりだよな…。薬か魔法で操っているのか?)
端から見ても、女性神官の目は虚ろで焦点が合っておらず、まともな精神状態で無いことがうかがえる。
「国王陛下、あんな訳の分からない魔法のアイテムなんかより、自白が一番真実に近いですぜ」
「ウーゴ将軍の言うとおりです。宮廷魔術師である儂も知らぬ魔法のアイテムなどまやかしに違いありません」
「そうですわ。国王陛下、騙されてはなりません」
ロベールの背後では、三人組がそう叫んで援護をしていた。
「おい、早く真実を話すんだ」
ロベールが促すと、兵士が女性神官の鎖を引っ張る。それが合図であったのか、女性神官はたどたどしく話し始めた。
「わ、私は、…"不死の蛇"様の信者で…はありません。本当は、…"大地の女神"の…シスターで…す。ルーフェ…ン伯爵に…頼まれ…て、ソフィ…ア様を…嵌めたの…です」
そこまで女性神官が語ったところで、彼女は口から血を吐くと倒れてしまった。
「どうです父上、これが真実なのです。この女の言うとおり、ルーフェン伯爵がソフィア夫人を謀殺したのです」
ロベールは得意げな顔でウード四世の方を振り向く。
(いや、突っ込みどころ多すぎるだろう。こんな猿芝居に騙される分けないだろう)
どう見ても無理やりしゃべらせていることが見え見えの芝居である。僕と同じように、ルーフェン伯爵側の貴族は誰もそれを信じている様子はない。
それどころか、ロベール側の貴族の中にもあきれた顔をしている者が何人もいた。
「ろ、ロベールよ。さすがに今の証言は…。それにその者が"大地の女神"のシスターだという証拠はどこにあるのじゃ?」
「父上、この者が"大地の女神"のシスターだというのは…」
「ううっ」
ロベールがそこまで言ったところで、血を吐いて倒れた女性神官がうめきだした。
「ええい、うるさい。その"大地の女神"のシスターをここから連れ出すのだ」
ロベールが兵士に女性神官を連れ出すように命じた。兵士は女性神官の両手を引っ張り立たせて退出しようとした。
「誰が、"大地の女神"のシスターですって?」
「き、貴様何をする…ぐはっ」
「ひぃ、す、吸われる~」
今にも死にそうだった女性神官が、突然兵士の頭を両手で抱きかかえると二人の兵士は倒れてしまった。倒れた兵士は二人ともミイラ状になっていた。
「な、何がっ、何が起きた」
ロベールが突然の出来事に狼狽して叫ぶ。
「彼女…いえ、今は私になってしまったけど、私と彼女は"不死の蛇"様の神官よ!」
女性神官が顔を上げる。そこには先ほどまでの女性神官の顔はなく、僕やルーフェン伯爵、いやここにいる貴族達がよく知る女性の顔があった。
「ソフィア!」
僕は驚きの声を上げる。
女性神官は、いつの間にかその姿をソフィアに変えていた。
すいません、推敲と誤字脱字チェックいい加減です。とりあえず更新です。
チェック次第、再更新するします。
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