私は水で死ぬ
私は水で死ぬ、火の性を持つ、炎ではなく、燻り続ける熾火の性を。
燃え上がることはなく、燃え広がることもなく、ただ燻る熾火の性、それが私。
溜まった水に沈むのか、それとも押し流されるのか。雨に降り込められるのか、それとも波にさらわれるのか。
それは私にも分からないが、私は水で死ぬ、それはひとつの予言であり真理だった。
だが、いつしか私は誤解していた。私は水以外で死ぬことはないのだと慢心していた。
予言で警告で忌まわしいものであったはずのそれに、私は安心を見つけてしまった。
たとえ私が水で死なないにしても、熾火の性を持つのは間違いのないことで、つまりそこに燃え広がるだけの何かがあれば火種になってしまうということに、私は気付かないままでいたのだ。
いやむしろ、気付きたくなかったのかもしれない。
私は水で死ぬ。熾火の性を持つ。簡単に炎に変わる、周りに状況が揃っていれば。
こうなってしまった今にしてみれば、私を殺す水が早く現れるのを願っている。