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番外編:おしおき

結婚して数日。

書類上は夫婦になったけれど、

生活も距離も、急に変わるわけじゃない。


……はずだった。


「アレクシード様」


そう呼んだ瞬間。


唇に、柔らかい感触。


「……!」


反射的に目を見開くと、

目の前には、至極真面目な顔の夫がいた。


「今のは、違う」


「え……?」


「“様”は禁止だ」


淡々と、当然のように言われる。


「結婚したんだ」


「だから――」


彼は、少しだけ言葉を区切ってから、

はっきり言った。


「アレクって呼んで?」


「……む、無理です……!」


即答だった。


「いきなりそんな……」


「2人っきりの時だけでいいから」


そう言われても。


染みついた呼び方は、

そう簡単に変えられない。


「……アレクシード、さ……」


無理だと言おうとした、その瞬間。


また、唇に軽いキス。


「違うよ」


「……っ」


「アレクって呼んで」


これは――

おしおき、らしい。


だが。


(……全然、罰じゃない)


むしろ、心臓に悪い。


「……ア、アれっ…」


噛んだ。


「……」


無言で、額にキス。


「今のも、違う」


「ひどい……」


「アレクシード様って呼ばれるたびに、

 こうする」


「それ、おしおきじゃありません……」


「俺にとっては、効果がある」


「どういう意味ですか……」


そう言うと、

今度は頬に、軽く触れるだけ。


「シェリアが照れてるのが見れる」


「……!」


顔が熱い。


絶対、赤い。


「……ア、アレク」


小さく、恐る恐る。


一瞬、

時間が止まった。


それから。


――満足そうな、笑み。


「よくできました」


「……っ」


今度のキスは、

“おしおき”じゃなかった。


ちょっと大人なキスで、

私にはただの、ご褒美。


「……ずるいです」


「何が?」


「呼び方一つで……」


「夫の特権だ」


シェリアは、

小さくため息をついた。


でも。


その声が、

今までよりずっと近くて。


(……慣れるまで、時間かかりそう)


そう思いながらも、

「……アレク」


もう一度、呼ぶ。


今度は、

からかうような響きを込めて。


「何だ?」


彼が返事をした、その瞬間。


シェリアは――

少しだけ、背伸びをした。


唇に、柔らかく触れる感触。


今度は、

彼女の方から。


「……!」


一瞬、

アレクが言葉を失う。


シェリアは、

すぐに離れて、少し照れたように微笑んだ。


「アレク」


はっきり、名前を呼ぶ。


「愛してますよ」


静かな部屋に、ひとつのリップ音と愛を告げる声が響いた。


「……反則だ」


低く、

どこか掠れた声。


次の瞬間、

今度は逃がさないとでも言うように、

しっかりと抱き寄せられた後、

今度はアレクからキスされた。


「……おしおきだ」


「それ、

 さっきから全然おしおきになってません」


そう言いながらも、

シェリアは抵抗しない。


(……やり返せた)


そう思った瞬間。


「次からは覚悟して、容赦しないから」


耳元で、

そう囁かれて。


シェリアは、

また顔を赤くするしかなかった。

やっぱいちゃいちゃが欲しくなったので書きました。

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