番外編:夫婦喧嘩…?
「離してくださいっ!」
「ま、待ってくれシェリア。
お願いだから、俺を置いていかないで。」
腰にしがみついて離さないアレクとひっぺはがそうとするシェリア。この状態がかれこれ30分。家令もメイドもどうにもできずあたふたするのみ。
「離してくれなきゃ離婚です!」
離婚という言葉を聞いた途端冗談だと分かっていても
アレクシードの動きが、ぴたりと止まった。
腰に回された腕の力が、
ほんのわずか、弱まる。
「……り、りこん?」
その口からこぼれた声は、
騎士団長とは思えないほど震えていた。
シェリアは、
しまった、と思った。
(あ、言い過ぎた)
だが、もう遅い。
アレクシードは、
ゆっくり顔を上げ、
涙目でこちらを見上げてくる。
「冗談、だよな……?」
「置いていかないよな?」
「わ、悪かった。でも、シェリアが危険な目に遭ったらと思うと怖くて」
助けを求めて家令達を見ても
皆、そっと視線を逸らした。
シェリアは、
深く息を吸い込む。
(……ああもう)
「わかってます。貴方が私のことを心配してのことだってことは。私も言いすぎました。でも、今日は譲れないんです。」
「じゃ、じゃあ俺もついて行こう。」
「それこそ離婚ですっ!もう行きますから!」
離婚という言葉で一瞬緩んだ隙を狙ってシェリアは走って出て行った。
「シェ、シェリア」
シェリアが飛び出して行った扉に向けて手を伸ばす情けない当主に家令達は言った。
「旦那様、奥様は妹君に会いにいかれただけです。」
メイド達から慕われる奥様と奥様に過度に過保護なせいで情けない姿の多い旦那様。
メイドには呆れられたような冷めた視線で見られている旦那様でした。




