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番外編:シシィ視点 生まれてからずっと

伯爵令嬢シシィ・ヒルレール

物心ついたときから、

私の隣には、必ずお姉さまがいた。


シェリア・ヒルレール。

伯爵家の長女で、私の自慢の姉。


お姉さまは、

いつも落ち着いていた。


叱られても、

誤解されても、

不機嫌な視線を向けられても。


決して、感情を爆発させない。


でも、私の前では違った。


私が転べば、

誰よりも先に駆け寄って来てくれる。


私が泣けば、一緒に寝て一晩中私の話を聞いてくれる。


幼い頃、

私は何度も不思議に思っていた。


(どうして、お姉さまは

 自分のことを後回しにするの?)


両親はお姉様のことを愛して、大切にしているけど、彼らが知っているのは仮面を被ったお姉様だけだ。


「シェリアはしっかり者だね」

「ほんと、良いお姉ちゃんだ。」



でも私は知っていた。


お姉さまが、

一人で泣いている夜があることを。


ある晩、

たまたま目を覚まして、

廊下を歩いた。


灯りの消えた部屋の前。


扉の向こうから、

小さな嗚咽が聞こえた。


――お姉さま。


私は、

ノックできなかった。


代わりに、

自分の胸をぎゅっと握った。


(……私が、

 お姉さまを泣かせているの?)


理由は分からない。


でも、

そう思ってしまった。

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