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悪役令嬢はあなたのために  作者: くきの助


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エイレン次期侯爵の幕引き

モリス侯爵令息アラン卿がハーフナー伯爵邸にやって来たとの報告を受けたのはつい先日のこと。

ハーフナー伯爵家の執事長には変化があればすぐ報告するよう指示してあるからすべて通通だ。


アラン君はリーネとの接近禁止であるにも関わらず、近付いたことの詫びに訪れたという。

だが、それは表向きの理由。

実際はリーネとのお付き合いを認めてほしいとの挨拶だ。

もちろんアラン君は結婚前提だろう。


(さあて、リーネがそんな一筋縄で行くかな?)


せせら笑う。


一度手にしていたものを諦めるのは難しい。


彼がリーネを諦め切れないのは想定内だ。


可愛い姪っ子リーネも、情の深い優しい子だ。

後一歩なかなか彼を忘れられずにいただろう。


そんな2人が再会すれば、こうなる。


アラン君は新聞に載る度に「想い人のために」と言い続けていた。

最初こそリーネの学園での悪い噂を払拭する為だったろうが、とっくに卒業した今も言い続けているのはリーネへの色気だろうことは簡単に想像できる。


でもリーネが正しく自分へのメッセージだと受け取るかな?


彼は知らないようだが、リーネはあの女にアラン君はカーティス元子爵令嬢との恋仲だって話を信じ込まされている。


それに加えて侯爵夫人に相応しくないとアラン君の口から大々的に言ってしまったよね。


恋人になったとしても、リーネが結婚まで期待してるかな?



ただ、だ。


リーネさえ望むなら、モリス侯爵家は家の強さといい財力といい、嫁ぎ先としては申し分ない。

アラン君も頑張ったようだしね。



妹のセレーナは国外追放。


カーティス元子爵家、マーチ元男爵家、共に跡形もなく潰した。


重畳。


カーティス元子爵家もマーチ元男爵家も完膚なきまで叩き潰した上で、二度と王都の地は踏めない土地に追いやった。

令嬢達を修道院から出す余裕など無く、彼女達は未だ修道院暮らし。

もう出られる見込みは無い。


貴族籍を抜かれたセレーナ嬢はどうなるかな?

見目の美しさや平民ではあり得ない気品に隣国の高位の令息達は最初こそ群がったようだが、高位貴族ならいくらでも情報を手に入れられる。

色々知られた途端、潮が引くかのように居なくなったらしい。


そりゃあ犯罪を犯罪と気付かず唆しただなんて頭の加減が知れるというものだ。

すっかり噂になってしまったようだし、平民に嫁ぐのが嫌なら修道院逆戻りだな。



まあ、それにしても短期間でよくここまで追い詰めたものだ。


モリス侯が多少は手を出すかと思ったが全くその気配がなかったあたり、上手くいかなければ本気で廃嫡を考えていた事が窺える。

流石は貴族筆頭侯爵家の当主。

これだからこちらも油断できないのだけどね。



ハーフナー邸に彼が挨拶に行ってしばらく経った。


「そろそろかな。」


執務室でひとりで呟く。

そして執事を呼び、モリス領主邸にいるアラン君に先触れを出した。


今頃気付いているに違いない。

自分とリーネとの未来の認識に大きな溝がある事に。


リーネの心に自分の軽い発言が深く刺さっている事を知り、打ちのめされていることだろう。


さあて、と呟きながら紙とペンを用意する。

アラン君は結婚の最大の難関は私だと考えているはずだ。

その為リーネの結婚後の生活を条件に纏めて挑んでくるのは想像に難くない。


彼が考えている条件とこちらの条件は一緒だろう。

リーネを大事に思っている者同士だからね。


だからこちらが書面を作ってしまう。


リーネの研究の利権の保護

ハーフナー家の利権の保護もねじ込む。

あとは結婚後のリーネの環境。


これだけで十分だ。


この上で八方塞がりの彼の今の状況を打開してやろう。

ハーフナー家の説得も、リーネの説得も、私なら容易いことだ。

ここに彼がサインするだけで、私が味方になる。


得はあれど損はない。


ただ君が私に一生頭が上がらないだけ。


これくらいモリス侯も想定内だろう。

リーネと再婚約するなら私がこんな書面をつくることくらい、あのたぬき侯爵ならわかってるはずだ。

アラン君がハーフナーと関わるというのに何も言わず静観しているということは是ということ。


ま、アラン君が私に頭が上がらん位でお釣りが来るくらい、ハーフナー家と縁を結ぶのはモリス侯にも利があるのだから当然だな。


私が主導で書面にまとめ進めることによって、私がこの縁談をまとめたことになる。

そこまでの事したのは私だと示すためだけの書面。


これをアラン君に指し示せば、彼は迷う事なくペンを取った。



さあ契約は成立。



私はサインを確認して手を差し出すと、彼も手を差し出した。



ねえアラン君。


君が自分の価値をどの位に考えているのか知らないけどさ。


そこに立っているだけで人々が吸い寄せられる、まばゆい光の塊のような氷の貴公子アラン卿。

それが君だ。


そんな君が私に頭が上がらないというのは、もう得しかないんだよ。


仲良くしような、アラン君。


がっちりと固い握手を交わしながら、私はにっこりと微笑みかけた。


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