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断罪後のアランとセレーナ

ーセレーナー


「許可するわけないだろう!こんな悪趣味な催しなど!」


ニコラス様がお兄様を怒鳴りつけた。


バッとお兄様がこちらを見る。

私の肩がビクリと跳ね上がった。



男性の怒鳴り合う声に恐怖で立っていられないほど足が震える。

後ろでメグとエイミーがへたり込んだ。


どうして?


そんな大袈裟な話じゃないでしょう?


確かに催しとして申請したら却下された。

それでも大丈夫だと思った。


いつだって田舎貴族は嘲笑の的。


キャリーをみんなの前で断罪すれば大盛り上がりだと思っていた。

生徒会のニコラス様もきっと大笑いするんだと。


そうなればニコラス様はお兄様のお友達。

無許可でも見逃してもらえるものだと思っていた。


実際は会場は静まり返り、拍手もまばら。


なぜなの?


罪を挙げ連ねる事が出来なかったから?

だってそれはキャリーが泣きもせず、あっさり退場してしまうから計画が狂ってしまった。


それでも、みっともなく会場を後にしたキャリーの姿は道化そのものだったというのに。


私達は強引に会場の外に出されたかと思うと、ニコラス様はお兄様に掴み掛かった。


「ハーフナー伯爵令嬢は何も知らなかったのではないのか!」


当然だわ。

あらかじめ言っておいたら面白くもなんともないじゃないの。



どうしてそんなに怒っているの?


中央貴族は田舎貴族をいつも馬鹿にしているでしょう?

笑い物にしているじゃない。


計画はずっと思い通りに進んでいたのにどうして?

ここに来てニコラス様の態度は予想外だった。


皆自分に賛同してくれるものだと思っていた。

どうやってキャリーを追い詰めたか、それを話せば皆手を叩いて面白がってくれるものだと思っていた。


どうしてよ……


震える足は耐えられなくなり、とうとう私はその場に崩れ落ちた。






ーアランー


「仰せのままに」


そう丁寧にカーテシーをすると、ハーフナー伯爵令嬢はあっさりと背を向けた。


拍子抜けしていると、強引にニコラスが入ってきた。


確かに悪役令嬢が退場した今、断罪すべき相手はいない。

俺達も退場すべきなのだろう。


だが俺を連れて行くニコラスは腹立たし気だ。


会場を出た途端ニコラスは俺の胸倉を掴み壁に押し付け怒鳴り出す。

理不尽に思った俺は頭に血が上り彼を怒鳴り返した。


しかし俺以上の大声で言い返された言葉に愕然とする。


「許可なんかだすわけないだろう!こんな悪趣味な催しなど!」


沸騰していた頭がみるみる冷えていく。


許可が出ていない?


「ハーフナー伯爵令嬢は何も知らなかったのではないのか!」



ぐっと黙り込んだ俺を見るニコラスの目は軽蔑。


「どうする気だ、アラン。」


静かに問いかけてくるニコラスの視線が次第に憐れみに変わっていく。



「本当に残念だよ……」



最後に失望の言葉を投げかけニコラスは去って行った。



どの位立ち尽くしていたか。


今俺にわかるのは、断罪劇は失敗したという事だ。


俺は腰の抜けたセレーナと令嬢達を落ち着かせて馬車に乗せ、それぞれの家へ送り届けた。


最後にモリス侯爵邸に帰ってくれば、待ち構えていたかの様に父上から呼び出された。


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