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第五十話:新新約時代、進化の終わりなき旅

あらすじ


 意識の発達段階をグラデーションの要領で分け、居住地を分けてから暫くの時が経過し、各意識は隣接した上位者に導かれ、ゆっくりと上昇していった。その過程で生き残れないものは自然と肉体が滅び消えていった。最終的に地上には完全体が定めた調和の周波数以上の存在しかいない状態になった。

 「最後の審判」の選別が完了し、完全体は、進化に適応した魂たちを導き、新たな地球時代、「新地球」へと移行する。これは、単なる物理的な場所の移動ではなく、存在の次元そのものの上昇であった。新地球は、宇宙の根源的な調和の法則に基づいており、そこで人類は、「宇宙との調和時代」(新新約時代)を始める。完全体が語る、新時代の存在の在り方と、人類の最終的な使命が明らかになる。

 物語の終盤で、人類は歴史を追体験し、創造・破壊・建設という三つの光の真の意味を五感で再定義する。完全体は新地球の空気と一体化し、人類は終わりなき進化の旅へと踏み出す。


本編


 宗教の統合を経て、東京の旧江戸城跡地には、新時代を象徴する塔が立ち、イスラエルの第三神殿も、新時代の象徴として建設されていた。

 旧地球の貨幣や国境、権力の階層は消滅し、代わりに、信頼の連鎖という精神的なピラミッド構造が、資源の調和的分配を機能させていた。そして新地球の図書館には、過ちと成功の記録として旧地球の記憶がデータで残されていた。


 東京の旧江戸城跡地に立つ白金の塔の周囲に、選別された人々が静寂の中、深い期待を胸に立っていた。完全体は、彼らに向かって静かに両手を広げた。

 目には見えない光が人々を包み込むと、彼らの肉体は時間の制約から解放される。人々は、深い息を吸い込むごとに歴史の重圧が霧散するのを体感した。意識は完全体の意志と一つに繋がり、その光の中で、地球が繰り返した創造、破壊、建設の螺旋のパターンを、一瞬のひらめきとして理解する。脳裏に数万年の歴史が走馬灯のように駆け巡った。

 やがて、光が収束すると、彼らは自身が「新地球」と呼ばれる場所に立っていることを悟る。吸い込む空気は甘く、肺を満たすごとに体が浄化されていく。眼前に広がる自然の色彩は旧地球の何倍も鮮明で、音もなく輝いていた。彼らの思考は分離されることなく、調和的に繋がっている感覚が強化された。

 新地球の中心に立つ完全体の声は、振動として全ての人々の意識の核に同時に響く。

「あなたたちは、長きにわたる試練を経て、調和の法則に目覚めた。これが、『新新約時代』、すなわち『宇宙との調和時代』の始まりである」

 完全体が語る新時代に、貨幣、国境、権力は存在しない。

 建設の中心は、個々の意識を繋ぐ「集合的調和の場」の構築に移った。人々は、特定の場所へ集まる必要はない。必要な情報や感情は、意識の奥底で瞬時に共有される。この意識のネットワークこそが、旧時代のインターネットの究極の進化形であった。

 創造の行為は、この集合意識の中で純粋な喜びとして発現する。一人の意識が美しいメロディーを創造すると、その歓喜の振動が澄んだ響きとなって、全員の心に同時に触れる。また、別の意識が新たなエネルギー理論の青写真を閃くと、その発見の驚きが光の束となってネットワークに流れ込む。創造は、競争や利益のためではなく、万人の喜びと集合的な美意識に基づき、音もなく進行した。


 新時代の人類にとって、「破壊」は自己の進化を妨げる固定観念を手放す「自己解放」の行為と化した。

 ある研究者が、数週間をかけて築き上げた複雑な理論が、宇宙の新しい法則と矛盾することに気づく。新地球では、彼は静かに目を閉じ、その理論を自らの心の中で「燃え尽きる光」として破壊し、新たな学びを全身で受け入れた。彼の唇には穏やかな笑みが浮かんだ。

 彼は微かな声で語った。

「だめだと分かることもまた調和への道、ありがとう。今、私は、さらに、ちょうどよいという中心のバランスへと向かう」

 この穏やかな、しかし徹底した破壊が、文明の停滞を防ぎ、進化の螺旋を押し進める鍵となった。

 完全体の振動が新地球の空気に溶けていく。

「あなたたちは、『地球の意識を体現する者』となる。そして存在そのものが、宇宙に調和を広げる光となるのだ」

 完全体の言葉は、全ての時代において人類の自立を促した「始まり(α)」であり、今、その文明を完全へと導いた「終わり(Ω)」であった。

 完全体の姿は、新地球の空気と一体化している。三柱は、「宇宙の調和」という新時代の法則そのものと化した。


 新地球の集合意識の中で、人類は歴史の回廊を追体験し、三つの光の真の意味を五感で再定義した。

 「創造」とは、単なるアイデアの発明ではなかった。それは、「無限の可能性」への、理由を問わない根源的な肯定であった。常に現状を超えようとする生命の衝動が、光の粒子となって瞬時に具現化する行為。

 「破壊」とは、単なる暴力や戦争ではなかった。それは、「停滞を拒否する意志」であった。古くなりすぎた固定観念の殻を解体し、新しい命を受け入れる「器を作る儀式」としての解放であった。

 「建設」とは、単なる秩序や平和ではなかった。それは、「調和への持続的な愛」であった。創造と破壊の荒々しい力を統べ、意味ある永続性を与える、宇宙的な愛の行為としての機能であった。

 そして完全体は宇宙的階層の法となり、新地球の空気と一体化した。三柱は、人類の活動の全て、そして宇宙の根源的な法則そのものとなって、永遠に続いている。

 物語は、今、静かに終わる。数千年の時を越え、人類の文明が袋小路に入ったときに何度も生まれ変わり、時代を導いてきた三柱、その熱くロマンのある物語は、完全体として融合し、最後の審判の主宰者となるに至った壮大な旅であった。

 信頼の連鎖による精神的な導きを経て、人類の新地球への次元上昇を成し遂げ、人類は地球文明の卒業生として、宇宙に遍在する他の文明や生命体と意識的な交流を行い、調和の法則を広めるという終わりなき進化の旅へと踏み出した。これこそが、「三光転生録」の真の終焉であり、新たな創世記の始まりであった。

 

 この物語を読んだあなたもまた、今、この瞬間も、創造のアイデアを抱き、旧い習慣と格闘し、あなたの人生という「建設」を行っている。

 「進化の螺旋」は、遥か遠い銀河にあるのではない。それは、あなたの日常の中にある。


 恐れず、新しいものを創造せよ。

 執着を、破壊せよ。

 そして、調和を、建設せよ。


 この壮大な旅の中で、あなたの魂が輝かしい光で満たされることを。


「三光転生録」


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