第十七話:平治の乱、建設への道を開くための試練の排除
あらすじ
西暦一一六〇年。保元の乱で武士の力を中央に導入した平清盛(創造柱)は、次の創造のステップとして武家政権の樹立を目指していた。しかし、短慮な野心に駆られる源義朝(創造の斥候)の存在は、その緻密な創造の邪魔となる。平治の乱で清盛は、義朝を排除した。しかし若き源頼朝のことは、あえて生かす決断を下す。それは、未来に長期安定政権を建設する、建設柱が源頼朝に宿っていたからであった。義朝という試練の排除により、清盛は平氏による武家政権の創造に本格的に着手する。
本編
西暦一一六〇年一月。京都に冷たい雪が舞い落ちていた。平清盛(創造柱)が熊野詣に出発した隙を突き、源義朝(創造の斥候)は二条天皇の側近である藤原信頼と結託し、クーデターを決行した。
義朝は、白銀の雪を踏みしめる自軍の足音を聞いて、全身が熱くなるのを感じていた。雪の冷たさとは裏腹に、保元の乱で受けた不当な恩賞への苛立ちが彼の胸を突き上げ、今こそ、全てを力で掴み取ろうと、馬の手綱を強く握りしめた。彼の目は、刹那の権力への渇望でギラギラと光っていた。
彼は配下に向かい、雪に声を吸われながらも強く言い放った。
「今日、平氏ではない源氏の武士の真の力を京に示すのだ!この雪を溶かす熱意を見せろ!」
清盛は熊野からの急な帰京の途中、義朝の反乱を知ると、口を一文字に結び、顎に力を込めた。彼の創造は、この衝動的な武力による短命な権力ではない。公家の権威と武士の実力を融合させた新しい統治システムの確立であった。
彼は馬を止め、遠くの京の方向を見つめた。
「義朝の野心は私の創造にとって、早急に取り除かねばならぬ毒だ。短慮は長きにわたる安寧を生まぬ」
京に戻った清盛は、後白河上皇を自邸に迎え入れ、体制の正統性を確保した後、一気に義朝を攻めた。六波羅の平氏の武士たちは整然と進軍し、義朝軍の突撃を、周到に準備された兵法で受け止めた。剣戟の金属音と武士の叫び声が京の街に響き渡る中、清盛は静かに茶を啜り、勝利を確信していた。茶碗から立ち上る湯気が、彼の冷静な決断を包んだ。
源義朝は敗走し、尾張で非業の死を遂げた。清盛は、短慮な野心を代表する義朝を取り除いた。そして源義朝の息子たちの処遇が問題となった。当時、まだ幼かった源頼朝は清盛の前に引き出された。頼朝は恐怖で震え、清盛の足元で静かに土下座した。冷たい床の感触が彼の額に伝わる。
清盛は、その細い背中と、微動だにしない姿の奥に、将来、長期安定政権を建設する建設柱の意識の萌芽を感じ取っていた。清盛は周囲の助命を求める声に応じる形で、自らの考えを固めた。
彼は頼朝の頭上に向かい、静かに語りかけた。
「命を与える。しかし、二度とこの京に野心を持って戻ってはならぬ」
清盛は、周囲の意見を押し切り、頼朝を伊豆へ流罪とする温情を決めた。
この決断は単なる温情ではない。清盛の創造した武家政権(平氏)は、やがて腐敗し、時代の転換点を迎えることになる。その時に、創造を引き継いで時代を作る「建設柱」へバトンを渡すことが、創造柱の役割の一環であった。
建設柱を助け、将来への布石を置き、清盛は平氏による武士の新時代の創造を完成させていく。京の邸宅の庭には、新たな創造の静かな熱気が満ちていた。




